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第217回国会 衆議院 環境委員会 第2号 令和7年3月14日

○近藤委員長
これより会議を開きます。
 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官岸川仁和さん、金融庁総合政策局審議官川崎暁さん、総務省大臣官房審議官須藤明裕さん、総務省大臣官房審議官伊藤正志さん、総務省総合通信基盤局電波部長荻原直彦さん、財務省大臣官房審議官植松利夫さん、林野庁森林整備部長長崎屋圭太さん、経済産業省大臣官房審議官田尻貴裕さん、経済産業省大臣官房審議官田中一成さん、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官木原晋一さん、国土交通省大臣官房審議官松原英憲さん、環境省大臣官房地域脱炭素推進審議官大森恵子さん、環境省地球環境局長土居健太郎さん、環境省水・大気環境局長松本啓朗さん、環境省自然環境局長植田明浩さん、環境省環境再生・資源循環局長白石隆夫さん、環境省環境再生・資源循環局次長角倉一郎さん、環境省総合環境政策統括官秦康之さんの出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第五局長片桐聡さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○近藤委員長
御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――

○近藤委員長
質疑の申出がありますので、順次これを許します。佐々木紀さん。

○佐々木(紀)委員
おはようございます。自由民主党の佐々木紀です。
 早速質疑に入らせていただければと思います。
 令和六年能登半島地震から十四か月余り経過いたしました。改めて、お亡くなりになられた皆様に御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 また、御支援をいただきました全国の皆様に対しまして、地元選出議員として、また石川県民を代表しまして、感謝申し上げたいと存じます。
 これから能登半島は復旧から復興へと入ってまいります。石川県は、今年を復興元年と位置づけて、創造的復興に着手をいたしております。
 この復旧復興を成し遂げるために重要な役割を果たしてきているのが、公費解体です。地震と豪雨により被害を受けた家屋を速やかに撤去して、新たな生活やなりわいを再建していく必要があります。
 本年一月末に石川県が改定した公費解体加速化プランでは、地震と豪雨を合わせて、解体見込み棟数が約三万九千棟、災害廃棄物の推計発生量が約四百十万トンと、平成二十八年の熊本地震を超える規模となっております。
 この公費解体は、当初はなかなか進まないとの報道もございましたけれども、現在は計画を上回るペースで進捗しております。昨年末までに解体目標数の一万二千棟を設定しておりましたが、これを達成したということは、関係者の御尽力のたまものであり、高く評価をしたいと思います。
 さらに、昨年二月に災害廃棄物処理実行計画を策定したときの公費解体の見込み数は二万四千、その後、八月末に公費解体加速化プランを作成したときは三万二千、そして、今年一月末に同プランを改定したときは三万九千と、徐々に増えていっているわけなんですね。その一方で、公費解体の完了目標を本年の十月末ということで変えていない。
 特に、昨年九月には豪雨災害もありましたし、今年二月には大雪の影響もあった中において、解体しなきゃいけない建物は増えるんだけれども、解体を完了する十月末という目標は変えていないということでありますから、より一層の加速化が必要なわけでありますけれども、現在の公費解体の進捗状況と今後の見通しについて御説明をお願いします。

○角倉政府参考人
お答え申し上げます。
 環境省では、これまで、石川県と連携し、被災市町の支援に最大限取り組んでまいりました。これらの取組により、解体完了棟数が昨年十二月末時点で累計一万四千百五十二棟となり、昨年八月に石川県とともに公表いたしました公費解体加速化プランに定める中間目標である、昨年末までに約一万二千棟を解体完了するとの中間目標を達成したところでございます。
 また、公費解体加速化プランは、今年一月三十一日に改定しております。これは、公費解体の申請状況や奥能登豪雨による影響等を踏まえ、被災市町と調整の上、石川県において改定したものであり、この改定された加速化プランでは、解体見込み棟数を、これまでより七千棟ほど多い約三万九千棟と推計しているところでございます。
 本年一月、二月の間は、大雪の影響により一時的に公費解体作業等が中断したものの、二月末までの累計の解体完了棟数は約一万九千棟となっており、この改定されました公費解体加速化プランの計画のペースを上回るペースで解体作業が進捗しているところでございます。
 本年十月の解体完了目標達成に向け、四月以降の解体ピーク時には約千二百班の解体工事体制まで拡充をし、解体工事を更に前に進めてまいりたいと考えております。

○佐々木(紀)委員
角倉次長、ありがとうございます。御自身も石川県御出身ということで大変なお力添えをいただいておりまして、この場をおかりして御礼を申し上げます。目標達成に向けて全力で取り組んでいただきますようお願い申し上げます。
 着実な目標達成に向けたこの努力、その影というか、その目標には、自治体や被災者の負担を軽減しながら、更に公費解体を加速化させていくという様々な工夫があったわけであります。
 例えば、昨年九月の奥能登豪雨災害の際には、災害廃棄物処理については特例的に能登半島地震と同水準の支援を行っていただいたりとか、公費解体の手続についても、地震に伴う火災で一面が焼失をした輪島の朝市地区ですけれども、法務省と環境省との連携により、滅失登記を行うことで公費解体申請を簡素化して、面的な解体撤去が推進したということもありました。
 また、災害廃棄物処理についても、北陸や中部だけでなくて、関東や近畿ブロックの自治体の廃棄物処理施設を使ったりとか、道路の輸送だけではなくて海上輸送や鉄道輸送などの手段を駆使して、アクセスが悪い半島特有の地理的制約を克服する工夫などもしてきているわけでございます。
 こうした様々な工夫は、将来の災害対応にも生かせるものと思います。公費解体、災害廃棄物処理を円滑、迅速に進める上で、どういった課題があって、それぞれの課題についてどんな対応をしたか、環境省から、そういった工夫について御紹介をお願いいたします。

○角倉政府参考人
お答え申し上げます。
 令和六年能登半島地震における公費解体では、これまで、公費解体申請手続や、工事に先立って行う現地調査、解体費用算定といった工事前調整に時間を要していたこと、さらに、解体によって発生する廃棄物の処理を行う際の半島特有の地理的制約といった点がボトルネックとなっていたところでございます。
 このうち、公費解体申請手続につきましては、地方自治体職員の派遣等による申請受付事務の支援や、公費解体・撤去マニュアルの策定による申請書類の合理化の周知等により、市町村の事務負担を軽減するとともに、申請手続の円滑化を図ってきたところでございます。
 また、昨年五月二十八日には環境省と法務省の連名の事務連絡を発出し、倒壊家屋等を解体する場合に共有者全員の同意を不要とするなど、公費解体申請手続の更なる円滑化、簡素化を図ってきたところでございます。
 さらに、工事前調整につきましては、その効率化に取り組みつつ、補償コンサルタントと呼ばれる専門の技術者を大幅に増員するなど、体制の確保、強化等を図ってまいりました。
 さらに、公費解体を円滑に進めるためには、解体によって発生する廃棄物を円滑、迅速に処理することも重要でございます。地理的制約を克服するため、道路輸送だけでなく、海上輸送、鉄道輸送も活用し、廃棄物の広域処理を実施しているところでございます。
 引き続き、石川県や関係機関と連携し、早期の復旧復興に向けた支援に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

○佐々木(紀)委員
ありがとうございます。  様々な工夫をしていただいて、公費解体の円滑化、迅速化に取り組んでいただいたこと、大変ありがたく思っております。
 災害はいつ、どこで発生するか分からないような状況になっております。今回の能登半島地震やその後の豪雨災害での環境省の皆様のお取組、特に石川県庁や被災自治体に常駐をして、現地で公費解体や災害廃棄物処理の支援を行っていただいたわけでございまして、こういった多くの知見が今回得られたことと思います。
 是非、こういった知見を、今後発生が見込まれているような南海トラフ地震や首都直下地震などの広域にわたる被害が予想されている災害に是非生かしていかなければいけないわけでありますけれども、その取組についてお伺いしたいと思います。

○角倉政府参考人
お答え申し上げます。
 今後の巨大地震や集中豪雨等における災害廃棄物の適正かつ円滑、迅速な処理に向けて、公費解体、災害廃棄物対策のための体制整備など、平時から発災時までの対策の充実について検討を行う必要があります。
 このため、災害廃棄物処理に専門的知見を有する有識者で構成される検討会におきまして、今回の能登半島地震を始めとする近年の災害廃棄物対応を改めて検証し、本年度末までに、平時から発災時までの対策に関する方向性を整理していただく予定としております。
 この方向性も踏まえ、中央環境審議会循環型社会部会に設置いたしました廃棄物処理制度小委員会においても更に御審議いただき、本年夏頃までを目途に中間取りまとめを行っていただく予定としております。
 環境省といたしましては、ただいま御指摘いただきました点も踏まえ、能登半島地震、豪雨災害で得られた教訓、知見を今後の大規模災害に活用すべく、審議会での御議論の内容も踏まえ、災害廃棄物対応の強化に向けて必要な措置を講じてまいりたいと考えております。

○佐々木(紀)委員
ありがとうございます。
 今回の能登の教訓を是非今後の災害対応に生かしていただくよう、充実強化をしていただければと思います。
 こうやって公費解体が進んでいくにつれて、一方で、空き地が増えていって、更地になっていく光景が寂しい、能登の美しい町並みを残していくべきではないかという声も聞かれるようになってまいりました。
 石川県では、こうした声に応える形で、解体だけではなくて、修繕にも力を入れていく方針を打ち出しました。例えば、一旦解体申請をしたとしても、留保し、被災古民家を保存、活用する場合の相談窓口を設置するなどの取組を開始したと聞いております。家屋の修繕を進めることにより、町並みを残すだけではなくて、地元に残り、住み続ける方を増やすということにもつながる重要な政策だと思います。
 公費解体が増えてきたというのは、修繕するよりも解体した方がコストがかからないという事情も影響しているんだろうと思います。
 そこで、古民家の修繕を含む町並みの再生等の取組を後押しする必要もございます。こうした事業に充てることができるよう、令和六年度補正予算で措置された予備費について、能登創造的復興支援交付金として五百億円手当てしていただきました。石川県の設置した基金への繰入れを可能としていただき、柔軟かつ機動的予算にしていただいただけではなくて、補助率も原則三分の二と、引き上げていただきました。地元選出議員としては大変ありがたく思っております。
 ただ、三分の二と補助率を引き上げていただきましたけれども、残り三分の一は地元負担ということでございまして、財政力の弱い被災自治体には、今回の災害対応で更に厳しい財政状況にもなっているわけでありまして、この三分の二を、何とか負担を少なくしていく、その努力をしていただきたいというふうに思っております。
 今回の交付金の地元負担分、これについて格別の御配慮をいただきたいと思いますけれども、総務省について、地方財政措置についてお伺いしたいと思います。

須藤政府参考人
お答えいたします。  能登半島地震からの復興に向けて、石川県が設置する復興基金に対して、昨年六月に五百二十億円を特別交付税措置したところであります。
 今般、予備費で措置された能登創造的復興支援交付金を活用した事業に係る地方負担についても、この復興基金を活用することが可能と考えております。
 さらに、能登半島地震等については、石川県及び石川県内市町に対して、昨年三月及び十二月の特別交付税において、復旧復興に要する経費として七百八十九億円を措置しております。
 加えて、現在、算定作業を進めている今年三月分の特別交付税においても、復旧復興に要する経費を措置することとしております。
 能登創造的復興支援交付金の地方負担については、これらの特別交付税の交付額も活用いただけるものと考えております。

○佐々木(紀)委員
ありがとうございます。
 これまで積んでいただいた、昨年六月の五百二十億円の能登半島地震復興基金、さらに、その後の、三月、十二月の特交なんかも活用して限りなく地元負担がない形にしていただいた、さらに、これから算出される三月の特交でも御配慮いただくということで、本当に重ね重ね、地元被災自治体に対する財政支援に感謝を申し上げて、質問を終わりたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。

○近藤委員長
次に、篠原孝さん。

○篠原(孝)委員
おはようございます。立憲民主党、略称民主党の衆議院議員の篠原孝でございます。
 浅尾大臣になってから初めての質問でございます。大臣就任おめでとうございます。本当に心から、おめでとうと申し上げたいと思います。
 大歓迎したいところですが、歓迎しているんですけれども、環境行政、どうなっているのか分かりませんけれども、小泉進次郎さんも、環境委員会になんか一度もいたことない人が来ておられるんです。何か浅尾大臣も似たようなものですか、事務方から聞いたら、そういうことだったんですけどね。
 誰でも、何も、委員会に所属していなくても、見識があって大臣になっていいんだろうと思いますけれども、私が長年というか、三十年務めた農林水産委員会は、農林族以外は大臣になったこと、皆無じゃないですけれども、ないですね。周りが許さないです。複雑で、そんな簡単にできるものじゃないんです。
 環境行政は、私はもっと複雑だと思います。地球環境問題から水俣病というようなことで、私は実は、農林族議員と思われていますけれども、部門会議では、私ほど出席率が高いのはおりません。今日は欠席しましたけれども、これがあったので。エネルギーを蓄えるためにわざと行かなかったんです。ですけれども、いるのは、実は環境委員会が、正確に数えてはおりませんけれども、二十一年か二年目になるんですけれども、十三回か十四回、環境委員会なんです。私をしのいでいるのは近藤昭一さんです。
 昔は、自民党にも北川さんとか山本公一さんとかいて、公明党には江田さんという環境族議員がいて、これは、族議員はいい意味の族議員ですよ、ずっと環境行政をやるんだ、政治をやるんだと言って、正直言って、利権とかそんなものはないですね。幾ら一生懸命やっていたって、有権者のよほど関心がある人以外、それがゆえに名前を書いてくれるというのはないですよ。ボランティアでやっているようなものです。まあ、政治は元々ボランティアのようなものですから、これを機会に是非環境をきちんとやっていただきたいと思います。
 就任されて、所管事項説明をたっぷり受けておられると思います。聡明な浅尾大臣は、次から次にみんな頭に入って、こなしておられると思いますけれども、この広さについてどう思われますか。

○浅尾国務大臣
敬愛いたします篠原委員から御質問をいただきまして、心から感謝を申し上げます。
 環境行政、今お話がございましたように、大変幅が広いところでありますし、元々の原点は、もちろん公害から健康被害を守るということもありますし、そしてまた、東日本大震災、福島の復興に関わる様々な、除去土壌とかALPS処理水の課題とか、そういったようなものもございます。あるいは、先ほど佐々木委員が御質問されておりましたけれども、能登半島の震災、倒壊家屋の瓦れきの処理、公費解体といったようなものもございますし、そして、地球環境の問題といえば、今、気候変動の問題といった、本当に多くの分野があるわけでありまして、しっかりとそれに取り組んでいかなければいけない。
 同時に、動物の鳥獣被害に関するものとか、あるいはそういった観点の課題についても取組を進めていくといったことでありますし、また、循環型経済という点においてもしっかりと環境行政を前に進めていきたい、こういうふうに考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○篠原(孝)委員
誠実な気持ちで取り組んでいただきたいと思います。
 また古い農林族の話ですけれども、羽田孜さん、農林族のドン、いっぱいいたんですけれども、加藤紘一さんと羽田さんが一時、農政を相当きちんとやっておられたときがありますけれども、きっかけは農林水産政務次官になったときなんです。それまで、自民党の間、井出一太郎さんが同じ選挙区にいて、でんと構えた農林族だったので、遠慮して農林水産委員会に入れなかったんです。それをきっかけに農政をやられて、農林水産大臣を二回もやって、総理までなられているんですね。
 だから、僕は、環境問題というのは非常に大事で、これをちゃんとこなせるような人こそが総理大臣にふさわしいと思っています。こういうお世辞はやめておきますけれども、小泉進次郎さんには、環境大臣をやらなかったら総理大臣になれないという最初の第一号になってくれといって、お世辞を言って励ましたんですけれども、浅尾さんにはまた同じことを言いません。これは石原さんは聞いていると思いますけれども、実はそれ、石原さんのお兄さんにも一回やっているので、三回もやりませんけれども、同じ気持ちです。
 それで、環境問題、地球環境問題とかいうのはどんどんやっていただきたいんですけれども、後から触れますが、私は、二十一年間の政治家で、いろいろ取り組んでいる問題で、一番胸が痛み、どうしたらいいか分からないというのが、水俣病の患者の救済です。これは是非、浅尾大臣の間に一歩も二歩も、完全な解決なんてないと思います。
 皆さん、水俣病といえば、これは私の同僚議員の、筆頭理事の松木さんがよく言うんですけれども、松木さんは長らくやっていますが、環境委員会としては新参者です、だから正直に、水俣病なんて、まだ問題になっているなんて知らなかったと。大半の国民は、とっくにもう手当てが済んで、皆さん困っているけれども、それなりに救済措置が講じられているんだと思っているはずです。実はそうじゃないんですね。
 これは是非やっていただきたいと思うんですけれども、具体的なのは今ここでは申し上げませんけれども、これについての御見解をお伺いしたいと思います。

○浅尾国務大臣
御指摘のありました水俣病は、環境が破壊され、大変多くの方が健康被害に苦しまれてきた我が国の環境行政の原点だというふうに認識をしております。
 これまでの経緯でいえば、もう御案内のことでありますけれども、平成二十一年に制定された水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法、いわゆる特措法の前文において、「地域における紛争を終結させ、水俣病問題の最終解決を図り、環境を守り、安心して暮らしていける社会を実現すべく、この法律を制定する。」というふうに示されております。
 環境省としては、御指摘ありましたように、こうした最終解決の実現を目指して、現行法の丁寧な運用や医療、福祉の充実、地域の再生、融和、振興などの取組を進めていきたいというふうに思っておりますし、今御指摘がありましたように、本当に最終解決を図っていかなければいけない、こういう思いでございます。

○篠原(孝)委員
それでは、ここでちょっと、戻しませんけれども、この間、予算委員会で省庁別の予算の削減というのを議論をやりましたけれども、私はネクストの環境大臣ですから、安住大予算委員長からの指示だと思いますけれども、環境予算の無駄なのを削れという。無駄はないと。ないことはないんだろうと思いますけれども、たかだか五千億円で、どこかの省庁の事業で、一事業でも五千億より多いのありますよね。そんなところを削るのは嫌だといって、環境省に対する私の情け心で、一切やりませんでした。ですけれども、誰も文句は言いませんけれども。
 その代わり、経産省の予算は無駄が多過ぎるということで、皆さんのお手元にお配りしておりますけれども、この表、そのまま使わせていただきます。あっちはちょっと時間がなくてできなかったんですけれども。
 これを見ていただくと、環境省の予算の下にあります、太字で書いてありますけれども、全予算に占める割合です。これだけしかないんです。ばかにしていると私は思いますよ。その前の農林水産の予算も、これは武藤容治大臣に対して、お父さんのときはこうだったんですよと言ったんです。武藤嘉文さんは、農林水産大臣も通産大臣もやっているんですよ。九%近くあったんです、全体の。それを今は二%です。こんなに減っているところはないんですよ。こんな状態ではよくないので、やはり。環境はただでは維持できない、動物愛護にしたって水俣病だってそうですけれどもね。これだけの予算でこれだけ幅の広い環境行政をやるというのは非常に難しいと思いますよ。
 今、世界中から言われているらしい、日本はなまくらだと、石炭火力なんかまだやっているというので文句を言われています、そのとおりだと思いますけれども、CO2の削減等については、日本は率先していろいろなことをやっていいんだろうと思いますよ。環境省が旗振りして進めるべきだと思いますけれども、この点についてどのようにお考えでしょうか。

○浅尾国務大臣
二酸化炭素、CO2の削減、しっかりと取り組んでいかなければいけない重要な課題であるというふうに思いますし、そのためにできることは総動員をしていかなければいけないというふうに思っております。
 その中には、新たな技術を、日本にあるものを育み育てていくというようなことも大変重要だというふうに私自身は考えておりまして、篠原委員の御地元の、今、信州大学にいらっしゃいます堂免先生という方は光触媒の専門でありまして、これは、植物に光が当たると最初に電子が励起をして、そしてその電子でもって水を分解し、更にその二酸化炭素をつけていくという、カーボンサイクルの最初のところの世界の第一人者というふうに言ってもいいんだと思いますが。
 昨年の補正予算で、一億円ほど人工光合成のこういったところを進めていくというためのところもつけていただきまして、いろいろな形でまだ既存では確立されていないような技術といったようなものも前に進めながら、そして既存の技術も様々活用しながら、脱炭素を進めていかなければいけない重要な課題だというふうに認識しております。

○篠原(孝)委員
びしばしやってください。
 この予算のところを見ていただきたいんですが、下です、下を見ていただきたいんですが、経産省は、私はこれは必要じゃないとは言いませんけれども、本当にここまでやる必要があるかと。ガソリン価格の補填に八兆円使っているんです。経産省の予算の何年分でしょうか。農林水産省の予算の四、五年分ですよ。それから、TSMC、ラピダスの、この三、四年か四、五年で十兆円を投入する。これはあり得なかったと思いますね。ジャパン・インク、日本株式会社で護送船団で、経産省がかじ取りをして日本の高度経済成長を成し遂げた。金なんかほとんど出さずにやってきた。いろいろな融資とかそういうのでは優遇されてきましたけれどもね。それを今、こんなに補助金を使っているんです。農業過保護論というのがありましたけれども、私は、今、半導体過保護論、日本の産業過保護論というのは、もう世界では言われていると思いますけれども、言われているんです。
 その次のページをちょっと見ていただきたいんですけれども、私は選挙期間中も文句を言われながら主張しました、ガソリン価格の補填なんて何でするのか。御存じかと思いますけれども、長野県ではカルテル、ガソリンスタンドがやっていけないからですけれども、かわいそうだと思うんですけれどもね。だから、カルテルで長野県が一番ガソリンが高い、リットル百九十何円とか。どこに効いているんだか分からない、本当に安くなっているか。もっと上がるのに、上がらなかっただけいいといいますけれども。
 これを見ていただきたい、二ページ。日本のガソリン価格は高い高いと言われていますけれども、これは為替レートの関係もあってドルで比較しているからというのもあるんですけれども、そうじゃなくてもなんです。アメリカに次いで安いんですよ。ヨーロッパよりずっと安いんです。高くないんです。
 長野なんかは、山の中で公共交通がなくなってしまったから車がなくちゃいけないというので、本当にひどいので、車が一家に三台か四台ある。勤めに出ていたら必要なんです。公共交通機関がなくなっているから。だからといって、それでいいのかと私は思います。そういうことをちゃんと言っていかなくちゃいけないと私は思います。
 だから、ガソリン価格が高かったら、それに対応するのは金出してと、こんなのは、また来年もCOPに行かなくなると思いますけれども、石炭火力でもって、毎年、化石賞を一日目にもらっているはずです、名誉の賞状だか何だか知りませんけれども。ガソリン価格に補填しているということ、この事実を世界の環境団体等が知ったら、何やってんのというふうに言うんじゃないですか、しかも日本のような国で。そんな小さな国で、そんなに車で行ったり来たりする必要があるのかと。車好きのアメリカ人の家庭にだって、車は三台も四台もないと思いますよ。
 こういうことですけれども、そういうことに対してびしばし言って音頭を取っていくべきだと思いますけれども、そういうふうに旗振りしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○浅尾国務大臣
脱炭素を進めていく上では、先ほど申し上げましたように、全てのことに取り組んでいかなければいけないというのは間違いのないことであります。
 一方で、御指摘のいわゆるガソリン補助金は、物価高の家計への影響を抑え、足下の国民の暮らしや我が国の経済を守るために必要な措置というふうに認識をしております。
 他方、中長期的な脱炭素の方向性は揺らぐことなく、二〇五〇年ネットゼロに向けてあらゆる対策を総動員していきたいというふうに考えておりますが、ガソリンの補助金ということでいうと、先ほども言いましたけれども、激変緩和措置は、物価高の家計への影響を抑え、足下の国民の暮らしを守るという意味で必要だということを申し上げましたが、確かに、為替が少し円安になっているというところからガソリンの値段が高くなっているということもあろうかと思いますし、また、御地元を含めて、公共交通機関が余りないところにおいては、どうしても車に頼る部分というのも出てくるだろうというふうに思います。
 そういった総合的な観点から、激変緩和措置としての必要性というのはあるというふうに思いますが、繰り返しになりますが、中長期的には、しっかりと脱炭素に向けて取り組んでいかなければいけないというのが環境省の方針だというふうに私は理解しております。

○篠原(孝)委員
いろいろな取組方はあるんですが、CO2の削減というのももう一つ、まあ一石二鳥みたいな。
 あと、森林の話をさせていただきたいんですけれども、吸収源として使われている、こういうのも変なやり方と思います。そういう考えがあって、ブルーカーボンというのもあります、海藻に吸収させるとかね。それよりは出すのを抑えるのが一番ですけれども、それがあるんだったら、あるでいいんだろうと思います。それで森林を整備していけばいいと思うんですけれども。
 森林の吸収の量は一体幾らなのか。それで、こういうことをやっているんだということを世界にアピールしていけばいいんじゃないかと思いますけれども、小林副大臣、いかがでしょうか。

○小林副大臣
直近の二〇二二年度における我が国の年間のCO2吸収量は五千二十万トンでありまして、そのうち、森林における吸収量は約四千六百万トンです。これらの森林については、所管の林野庁の下で森林管理、整備が行われているものについて吸収量を算定し、国連に報告しております。
 先月閣議決定した地球温暖化対策計画では、適切な森林整備の実施等によって、二〇四〇年度には七千二百万トンの吸収量の確保を目標として見込んでおり、引き続き連携してまいりたいと思っております。

○篠原(孝)委員
頑張っていただきたいと思います。
 次に、農林水産副大臣ですけれども、農林水産副大臣は環境委員会にもおられたことはありますし、私の質問は、別にとっちめるつもりの質問じゃありません。全部、支持するためのよいしょ質問ですから、ちゃんとうまくよいしょされていただきたいと思います。
 日本の山はどうなっているか、緑であふれています。ちょっと山火事で相当ダメージを受けたのはありますけれども、雨が降って、ほかの国と違って鎮静化する。
 私は、パリに三十年前にいたときにデモが行われて、日本は輸入し過ぎだというので、鯨の肉を輸入している、マグロも輸入しているので、何か輸入し過ぎだというのでデモがあって、私はOECD代表部というところにいたので、それはフランス大使館の仕事なんですが、手伝わされてやりましたら、世界の森林を痛めつけていると。日本はけしからぬ、材木の輸入量が多くて。そのとき、その後を聞いたら、びっくら仰天ですよ。日本はずるい国だ、自分の国の山の緑を守りながら、全然手をつけずに、世界の木を切りまくっていると。へえ、そんなふうに見られているんだと。全然切っていないというのを知っているんです。伐採していないんですよね。
 私のじいちゃん、ばあちゃんたち、まあ、じいちゃん、ばあちゃんたちのもっと前も真面目ですよ、父親も真面目だったんですけれども、戦後、丸裸になった山を、それは植林しろというので、まあ真面目ですから、苗木は軽いから、坂道を登って山のてっぺんまで植えたんです。でっかくなったときに切り出そうと考えたら、簡単に切り出せるわけないのに、てっぺんまで植えて、もう本当に人工林がそこら中にでき上がったんです。
 困ったのは誰でしょう。我々民主党では居場所と出番と言っていますけれども、熊やイノシシや鹿や猿の居場所がなくなって、そして、とうとう出てきたのが里で、里に散歩に来て、散歩に来ただけじゃなくて、何かスーパーにも、買物じゃないだろうけれども、入っている。これはやはり問題で、これは、環境省も真剣になって、今度法律が用意されていますけれども、熊が出てくるから撃ち殺すと、かわいそうですね、ちょっと。
 悪い臭いは元から断たなくちゃいけないので、森林の整備をちゃんとやっていかなくちゃいけない。森林の整備を、切った後、再造林しろじゃなくて、再造林するときに熊のことも考えて、人工林ばかりにするんじゃなくて雑木林にして、複層林とかそういうふうに言われていますけれども、そういうやり方を前面に出していかなければいけないと思うんですけれども、農林水産省、林野庁にはそういう気持ちがおありになるでしょうか。

○笹川副大臣
御質問いただきまして、大変ありがとうございました。
 お気持ちがありますかとお聞きされましたので、気持ちは十二分に持っております。私も県議会出身者でありますので、今日、たまたま委員の中で福重先生が私の一期先輩なんですけれども、県議会の中でもそういった御議論もございました。
 やはり、今の人工林の面積で考えたときに、およそ林業に適さない面積もありますので、これをどういう形で針広混交林に切り替えていくのかということは、これは我々林野庁にとっても、農林水産省としても大切な課題と受け止めておりますので、特に政府として、今ちょうど時期でございますが、花粉症そのもので考えれば、やはり針広混交林事業というのも側面とすれば大事な面があるというふうに思っておりますので、この事業がしっかりと拡充できるように努めてまいりたいというふうに思っています。

○篠原(孝)委員
日本の山は問題だらけなんですけれども、手がつけられない。採算が合わないんです、切っても。
 今、米価が上がって問題になっています。かつては、米価が下がっている、最盛期と比べたら全然安いんだと。だけれども、もっと最盛期と比べたら下がっているのは、実は材木なんです。まあ高過ぎたんだろうと思いますけれども、好景気のときには、みんながうちを建てるから材木が不足になって、一番最初にでかい品目で関税ゼロにして、すっからかんにしたのは材木なんです。だから、日本の山は疲弊し切っているんだ。あんな山の中で、ちょっとばかりの田んぼと斜めの坂の畑で、どうやって農業で食っていけるか。山の木で食べていけたんです。裕福だったんです。それががたがたになっているんです。だから、地方創生、初の大臣をやられた方が今総理になっています。簡単というか、一つの突破口は、山の木がちゃんと売れるようになればいいんですよ。それをちゃんとやっていない。
 次のページ、木材関連の指標というのを見ていただきたいんですけれども、ずたずたになっているんです。どうしてかというと、山の木が切れない。だけれども、切ったところで、製材所が近くにないんです。お分かりになりますか。あんな丸太を遠くに持っていったら、輸送コストでパンクしちゃいますよ。すぐ近くに製材工場があって、木にして持っていく。
 私の地元、長野県中野市というのが、余り中野市というのは、ちょっといろいろな事件があったので言いたくないんですけれども、信州中野駅です、高校三年間、そこから長野の高校に通いました。駅の右側は材木の置場です。材木だらけです。そこで貨車に乗っかって、全国に長野県の材木が出荷されていたんです。いつの頃からか、完璧に消えました。お金が地方に行かないんです。ほったらかしになっている。
 原因の一つはここです。見てください、製材工場、一九六〇年、今から六十年前と比べて、三千七百四十九、四十七都道府県で割ってください、都道府県に百もないんです、製材工場。精米工場なんか、そこら中にありますよ。これが原因なんです。ラピダスに十兆円、一割、一〇%が一兆円です。百分の一の一千億円投入して、私は、製材工場を維持しなかったら、潰れて、どうしようもなくなると思うんです。こういうことをしていかなくちゃいけないと思うんですが、そういうことをされておられますでしょうか。

○笹川副大臣 
馬県、私は選挙区が群馬県でありますから、群馬県の業者の方に聞いても、やはり、そうはいっても、急に生産を伸ばすわけにいかないと。今委員御指摘いただきました、加工施設、流通施設含めて、生産能力等々、大変疲弊しているというようなお話をお聞きをいたしました。
 私自身も、民間の会社にいたときのおつき合いのあった会社も、親子二代だったかな、百年近い会社でありましたけれども、やはりこれも数年前に会社を閉じて、事業譲渡もしませんでした。そんな事例も私自身の身近にもございますので、やはり、今ちょうど、人工林のいわゆる利用期と言われるものが、六〇%ぐらい利用期に入っておりますので、そういった意味のことを考えますと、加工流通施設というものの委員の御指摘というのはやはりしっかりと受け止めて、対策を講じていかなければならない。
 特に、また、もう一つは、やはり生産後、どういうふうに国産材の使用についての拡大をしていくかということもあろうかというふうに思いますので、そういった面での技術革新も大切だなというふうには認識しております。
 以上です。

○篠原(孝)委員
よろしくお願いします。
 群馬県では立派な国会議員がおられまして、谷津義男さん、珍しいんですけれども、農林族と環境族、両方をきちんとやっている。農林族は、何か防衛族と農林族というのが、石破さんが典型ですけれども、そういうのが多いんですよね。谷津さんのような立派な政治家になっていただくことをお願いして。やっぱり答弁がちゃんとしていますよ。
 次のページを見ていただきたいんですけれども、森林環境譲与税。格好だけはつけるんですよね。一人当たり幾らかお金を取って、森を何とかバックアップしようと。だけれども、全然そうなっていないんです。これを見てください。お金がたくさん行っているところから順番に書きましたけれども、北海道が一位はいいでしょう、二番目に東京なんです。私が試算したんですけれども、BマイナスAと。人工林面積なんてちっともないのに、二位に堂々と東京都がなっているんです。そんなのばっかりです。このバツ、バツ、バツというのはそういうのです。見てください、もらい過ぎているところと全然足りないところ。
 もっと典型的なのは次のページです。
 市町村に行くわけです。譲与が行っている一番トップが横浜市です。私有林の人工林面積が五百七ヘクタール。浜松市はいっぱいあるんです。五万ヘクタールもあります。こういうようになっているんです。
 何か、これを決めたときの総務大臣が横浜市を基盤とする有力政治家だったようで、こういうでたらめが行われているんです。何のためにお金を取っているんだと。横浜市の人は知っていると思いますけれどもね。道志川の水源林のところに、山梨県に水源林としてお世話になっているから、お金を出しているんです。そういうことを全国ベースでやろうとして森林譲与税ができたのに、このでたらめな運用です。この間五%だけちょっと直しましたけれども、直ったうちにならないです。
 そうしたら、ちょうどいいというか運悪くというか、横浜市会議員をやられて、今、政務官をやっている方がおられるわけですね。横浜市が何に使っているか知っていますか。何にこの森林環境譲与税を使っているんですかね。こんなのは全部上流の、田舎の何とか村に送ってやらなくちゃいけないと思いますけれどもね。
 これについてどうお考えですか。

○古川大臣政務官
お答えさせていただきます。
 森林環境譲与税の使途については、法律上、森林整備、人材の育成、木材利用の促進等と定められております。そのため、譲与基準の指標についても、使途と相関が高いものとして、私有林人工林面積、林業就業者数のほか、人口を用いているところです。
 今年度からは、これまでの活用実績等も踏まえ、私有林人工林面積の割合を五〇%から五五%にするなど譲与基準の見直しを行っており、自治体における森林整備を始めとする必要な施策の推進につながるものと考えております。
 その上で、森林整備を進めていくためには、川上の自治体における間伐、造林等や川下の自治体における木材利用の促進等を一体的に進めていくことが重要と考えております。
 森林環境譲与税の創設を契機として、都市部における公共施設の木質化に取り組む事例や、川上の自治体と川下の自治体が連携して森林整備等に取り組む事例も見られているところでございます。
 今後とも、森林環境税に対する国民の理解を深めていくことが重要であることを踏まえ、関係省庁と連携し、全国の自治体における譲与税の一層の有効活用を促してまいります。
 ちなみに、私の地元では、木材を利用した小学校を今建設中でもございます。

○篠原(孝)委員
済みません、時間が来たので短くしますけれども、最後、鳩山政務官においでいただいているので。
 お父さんの鳩山邦夫さんは、別荘が軽井沢にあったせいで、私の選挙区にチョウチョウを採集にいっぱい来ておられて、地理をみんな知っているんですよ。そういう山が疲弊しているんですよ。これを守っていって供養をするのが、息子さんの役割の一つだと思います。
 是非、地方創生の肝は、森林をちゃんと活用して中山間地域が食っていけるようにすることだということをお考えになって、内閣府で仕事されるのも当然ですけれども、総理にこのことをきちんと言っていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。一言お答えいただきたいと思います。

○鳩山副大臣
御質問にお答えをいたします。
 これまでにも、自治体の創意工夫の下、森林、林業に関連する様々な地方創生の取組が実施されており、例えば、地元の未利用森林資源を活用する産学官連携拠点施設の整備や、CLT等の地域の森林資源を活用した木材製品の製造などを支援してきたところであります。
 こうした森林、林業関連も含め、地方創生に資する取組を更に推進するため、令和七年度当初予算において、新しい地方経済・生活環境創生交付金を二千億円計上しているところであり、引き続き、林野庁とも十分連携しながら、意欲ある自治体をしっかりと支援してまいりたいと思っております。

○篠原(孝)委員
ありがとうございました。

○近藤委員長
次に、馬場雄基さん。

○馬場(雄)委員
皆さんお疲れさまでございます。福島県出身の馬場雄基でございます。会派を代表し、質問させていただきます。
 冒頭、中田副大臣に感謝を申し上げたいと思っております。三月十一日、福島県主催の東日本大震災追悼復興祈念式に御参列いただき、地元の一人として感謝申し上げます。
 そして、浅尾大臣にも感謝をお伝えさせていただきたいと思っています。それは、言葉です。東日本大震災、原子力発電所事故、浅尾大臣は繰り返しこの言葉を使ってくださいます。東日本大震災だけではなく、原子力発電所事故をつけてくださっています。
 福島の問題が、なぜある意味で特別に扱われているのか。時がたつにつれ、知らない人も多くなり、分かりづらくなっている点があると思います。しかし、それは、震災が自然災害ということのみにあらず、原子力災害という、世界でどこも体感したことのない、放射能を完全にコントロールし、廃炉を実現していくためには、まだまだ何十年という長い道のりがかかっていく、今だけではなくて未来に対する責任というものがこの言葉には私は含められていると思っています。
 しかし、事実、他の省庁の大臣の所信を見ると、東日本大震災のみの言及にとどまっている場合があります。加えて、石破総理の所信表明演説には、東日本大震災という言葉すらなくなっています。
 そこで、浅尾大臣、東日本大震災、原子力発電所事故と言葉を併記させていただいたその御理由について伺わせていただきます。

○浅尾国務大臣
御質問ありがとうございます。
 いろいろな思いはございますけれども、私自身、東日本大震災発災の割とすぐ後に福島にお邪魔をいたしまして、当時の佐藤雄平知事や、今の内堀、当時副知事でありましたけれども、とお話をする機会がありまして、そのときの印象が大変強く残っていることもありまして、今御質問がありましたようなこともございました。
 被災地の環境再生ということについて言えば、着実に進展しているという部分もあると思いますが、まだまだ復興は道半ばでありまして、取り組むべき課題は依然残っていると認識しております。そういったことも含めまして、今申し上げましたように、東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故の対応について、今後も着実に取り組んでいく、そういう思いを込めて入れさせていただきました。
 引き続き全力で取り組んでまいりますので、よろしくお願いいたします。

○馬場(雄)委員
大臣、ありがとうございます。
 この問題に与党、野党は関係ないと思っていますし、まさに今お言葉にありましたが、内堀知事から直接言われている言葉でもあります。是非ともその思いを、浅尾大臣だけではなくて、関係閣僚の皆様方、そして石破総理にも、その思いを是非とも伝えていただきたい、政府の意思としていただきたいということを重ねてお願い申し上げます。
 それでは、中間貯蔵施設について伺います。
 先ほど、復興の特別委員会でも、まさにこの話題が取り上げられておりましたけれども、最終処分というものは福島県外というのが法律で定められています。その以前の再生利用というところは、日本全国どこでもやれる、浅尾大臣の御地元でもできるというふうな状況であります。しかし、これがなかなか進まない。
 その中で、双葉町の伊沢町長から、個人的な考えという中で発言がありました。あれは本当に重いものだと思います。これを私たちが、あるいは政府が、あの発言をしてくれてよかったと考えてしまっては絶対にいけない、それだけの重みがあったというふうに思います。
 委員の皆様もいらっしゃいますので、双葉町の伊沢町長はこんな発言をされました。中間貯蔵施設を引き受けた双葉町が再生利用することで、他の自治体でも理解が波及していくのではないかという話です。本当は、国が、政府が率先してその道を切り開いていかなくてはならない中で、一番に住民の代表として、まさに身を裂かれるような思いでこの立場に立つ伊沢町長にこの発言をさせてしまったということは、私は政府の本当に失点だというふうに思っています。
 復興は正々堂々進めていかなくてはなりません。世界の皆が注目しています。日本独自のやり方ではなくて、国際的な理解が得られるやり方で、正々堂々進めていかなくてはならないわけです。その中で、私は、環境省さんと今日ここに至るまで長らく議論をさせていただきながら、IAEAの最終報告書に対する日本の和訳、こちらを作成させていただいております。これは昨年の九月作っていただいたものでありますけれども、念のために確認をさせていただきたいのですが、環境省のこれからの本事業に対するものは、このIAEAの報告書のレビューに基づいて行うということでよろしかったでしょうか。

○白石政府参考人
お答え申し上げます。
 議員御指摘のとおり、昨年九月に、除去土壌の再生利用等に関するIAEA専門家会合の最終報告書が公表されたところでございます。
 その報告書におきましては、再生利用及び最終処分について、これまで環境省が実施してきた取組や活動はIAEAの基準に合致している等の評価をいただいております。
 これまでの取組の成果やIAEAを含む国内外の有識者からの御意見等も踏まえながら、除去土壌の再生利用、最終処分に係る基準の策定や理解醸成の取組を進めるなど、除去土壌等の県外最終処分に向けた取組を適切に進めてまいります。

○馬場(雄)委員
ありがとうございます。
 しかし、ここから気になる点があるんです。まずはここに対してのっとっていくということで確認を取れたことはよかったんですけれども、この点に書かれている点では、例えばですけれども、環境省の情報発信、こちらは高く評価するとあるんです。
 そこで、皆様にも資料を見ていただきたいわけですけれども、そもそも、除去土壌の再生利用に関するウェブアンケートの結果、これは毎年環境省さんが行っているものではあるんですけれども、内容を全く知らない、聞いたことがない、ずっと変化がないんです。ずうっと知らない、聞いたことがないということが、県内も、県外も、全く変わらない状況が続いています。一体、IAEAは何を評価しているのか、政府のやっている情報発信の何を評価しているのか、私はここから読み取れなかったんですけれども、この点について、環境省さん、いかがでしょうか。

○白石政府参考人
お答え申し上げます。
 議員が資料として配付されている資料でございますけれども、環境省が行っている全国的なウェブのアンケート調査におきまして、福島県内の除去土壌等を三十年以内に県外で最終処分するという方針についての認知度、福島県内で約五割、福島県外で約二割という結果でございました。
 この全国的なウェブアンケート調査は平成三十年度から毎年実施してまいりましたが、県外最終処分の方針に係る認知度はおおむね横ばいで推移しており、認知度、理解度の向上は引き続き課題であると認識してございます。こういった事実も含めまして、IAEAには御説明しております。
 我々としては、こういう結果になっているということは大きな課題であると考えておりますので、引き続き全国民に対する理解醸成に努めなければならないというふうに考えております。

○馬場(雄)委員
何を評価されているのかという点を実は一番伺いたかったんですけれども、こちら、レクの中で聞いてみると、IAEAに聞いてくださいと言われました。それはないでしょうというふうに思うわけであります。
 IAEAが確かに書いているんですよ、このレビューは。ですが、これに基づいて環境省が実施主体になっていくと考えるならば、IAEAにそこは聞いてくださいじゃ駄目だと思うんです。しっかりと理解をした上で、ここに書かれている一語一語の重みを理解した上で、堂々と政府にはやっていただきたいということを重ねて申し上げたいというふうに思いますし、大臣もその点はどうぞよろしくお願い申し上げます。
 含めて、一番大事になってくるのは、現地にどれだけ行けるか、一番は現地に足を運ぶということだと思うわけです。
 福島の復興というものは、報道ではたくさんいただきます。本当にありがたいことです。ですが、皆さん行ったときに必ず言われるのが、文字だけでは分からなかった、映像だけでは分からなかった、その土地に行って、その土地のにおいを知って、その人と会話して、その人の人情を知って、初めて復興の問題が分かるんだというふうに、ほとんどの方がおっしゃっています。だとするならば、この現地視察プログラムを一層強化していくことが私は環境省に求められている姿だというふうに思うわけです。
 しかし、今回の予算を見させていただいていますと、そこに対する変化というものが正直感じられませんでした。だからこそ、ここは浅尾大臣にお願いしたいんですけれども、閣僚会議もあります、昨年末からまさに、筆頭として、副議長として進められているものがあると思います。だからこそ、例えば観光庁、モニターツアー、強化しましょう、あるいは文科省、しっかりと研究ツアー、強化しましょう、そういったことをまさに浅尾大臣から率先して進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○浅尾国務大臣
除去土壌等の県外最終処分、再生利用の実施に当たっては、必要性、安全性に関する国民の理解が大変重要だというふうに認識しております。
 その理解を醸成するに当たって、御指摘の現地視察については、これまで、中間貯蔵施設において延べ二万名、飯舘村長泥地区において延べ約四千三百名の方に視察にお越しいただいたと承知しております。また、この他、他機関と連携したイベントでの展示等を始め、様々な取組を実施しているところであります。私自身も行かせていただいて、様々学ばせていただくことが多かったことであります。
 さらに、実は、明日三月十五日に、福島県大熊町の産業交流施設内に新しい中間貯蔵事業情報センターが開設されます。これは、既存の施設等に加えて、除去土壌等の県外最終処分、再生利用に係る理解醸成に資する重要な施設になるというふうに考えております。
 より多くの方に中間貯蔵施設を視察いただけるよう、これまでも福島県における観光関連復興支援事業と連携したところでありまして、引き続き理解醸成の取組を進めてまいりたいと考えております。
 また、昨年十二月に設置された閣僚会議において、議長である官房長官から、今年の春頃までに、再生利用等の実施に向けた理解醸成、コミュニケーションを柱の一つとした基本方針を取りまとめるよう指示をいただいており、政府一体で全国民的な理解醸成を進めていきたいというふうに考えています。

○馬場(雄)委員
大臣、是非、最後のお言葉、より強く本当はいただきたかったところがございます。
 正直、地元の企業の方々とお話をさせていただいていますと、環境省の理解がなかなか得られないんじゃないか、あるいは、政府全体として盛り上がりが欠けていき、実際にはモニターツアーがなかなか実現できなくなっていたり、あるいは、文科省の研究ツアーですよね、そこに足を運びたくてもできなかったり、先ほど大熊の話を言っていただきました。現地なんです。永田町では体感できないんです。
 実は、IAEAのこの報告書、3Dマッピングということに感銘を受けたという専門家チームの話があります。ですが、その3Dマッピングはどこにあるんですか。どこにもないんです。書かれてあることすら実現されていないんです。
 そういったことを踏まえて、現地視察のプログラムはより強化していかなくてはならないんだというメッセージを、まさに私は浅尾大臣に取っていただきたい。是非、強いお言葉、短くで構いませんので、いただけないでしょうか。

○浅尾国務大臣
できるだけ多くの人に現地の視察をしていただくということは、しっかりとやっていくべきだろうというふうに思いますし、私も機会を捉えて、いろいろな各地の地方自治体の議員さんなどにもそういった話もさせていただいて、視察に行っていただきたいということは申し上げさせていただいております。

○馬場(雄)委員
ありがとうございます。委員の皆様にも是非足を運んでいただけたらありがたく思っています。
 それでは続きまして、国民とのコミュニケーションというところに移したいと思いますが、どうしても国民とのコミュニケーションというふうになりますと、苦い記憶がございます。
 是非、委員の皆様、資料を御覧いただければ幸いですけれども、二枚目を御覧ください。
 これは、二〇二二年ですけれども、環境省がまさに再生利用の実証事業をやるとして、新宿御苑、所沢、つくば、ここで行おうとしたことについての記事が書かれています。しかし、結果としては断念いたしました。技術的側面の話以前に、国民とのコミュニケーションを取る姿勢に大きな問題があったと私は認識しています。
 朝日新聞を見てください。質問が集まったのは、これは住民説明会の質問です、集まったのは、説明会の実施方法についてだった。日経新聞を見てください。突然持ち上がった話であった。所沢では、住民説明会までの周知期間は僅か二週間、広報は町内会の掲示板のみ、対象は近隣地域のみ、先着は五十名で事前申込みが必要、これでは、知らないという声が上がっても仕方ないんだというふうに思うわけです。
 しかし、この教訓はIAEAの最終報告書には一言も出てきていません。私は強烈な違和感を覚えます。もしここに書かれていないとするならば、環境省として、しっかり教訓にする、そしてその方針をしっかりと明記するんだということを私は指し示していかなくてはならないんじゃないかというふうに思うわけです。
 改めて環境省さんに伺います。
 最終報告書にはこの教訓は明記されていません。だからこそ、二〇二二年の教訓を踏まえて、住民説明会をやる場合は、より長い期間の周知期間で、広報も多様化して、オープンな形で行うということ、お約束いただけないでしょうか。

○白石政府参考人
お答え申し上げます。
 二〇二二年の十二月に開催いたしました新宿御苑や所沢市の環境調査研修所での実証事業につきましては、一部地域の皆様への住民説明会におきまして、安全性や管理方法等に関する様々な御意見をいただいております。
 議員御指摘のその開き方に関しましては、当時コロナが蔓延しておりまして、コロナ禍だという状況にも鑑みまして、地元の自治体、新宿区、所沢市と御相談の上で、近隣住民を対象とし、再生方法の必要性、安全性に関し説明をしたという経緯がございます。結果として、各地域で一回しか説明会を開催できておらず、説明会におきまして、再生利用の安全性、管理方法についての御懸念の声をいただいたということでございます。
 また、この説明会の声におきまして、そういう声がありましたので、こういった御懸念に分かりやすくお答えするためにも、現在、環境省では再生利用の基準等に向けて検討を進めております。このため、環境省では、IAEA等からの助言も踏まえて、今年度中に再生利用に係る基準等の策定に向けて検討を進めている。
 いずれにいたしましても、こういった施策の周知について、更なる理解醸成の取組を進めてまいります。

○馬場(雄)委員
局長、済みません、私、今のお言葉は全く納得できないです。コロナを理由にしますか。コロナがあったら周知期間は二週間でよかったんですか。違いますよね。全く違くないですか。コロナがあっても周知期間は長くしなきゃいけないんじゃないですか。コロナがあったとしても、事前申込み制、僅か二週間足らずで、先着五十名にする必要性もないんじゃないんですか。
コロナを安易な理由に使ってはいけないと私は思いますよ。
 でも、だとするならば、これから行われていく住民説明会はそこを全部払拭していただくという理解でいいですか。

○白石政府参考人
お答え申し上げます。
 当時、なぜこのようなやり方を取ったのかということに関しまして、地元の自治体と協議の上で開いたということでございまして、今後、また同種の事業をやる場合に、引き続き、関係する関係者と協議の上で進めてまいりたいというふうに考えております。

○馬場(雄)委員
全く答弁になっていません。
 大臣、ここはお願い申し上げます。これから住民説明会をやるときに、申し上げますよ、正々堂々としっかりやっていくこと、このIAEAの形も準拠していくこと、そして国民とのコミュニケーションをしっかり取っていくこと、これなしに再生利用はありません。最終処分に持っていくやり方もありません。福島の復興なんて実現できません。だからこそ、国民とのコミュニケーションはしっかりやっていくんだと、そのメッセージを大臣からお願いしたいです。お願い申し上げます。

○浅尾国務大臣
今委員が示された資料の中においても、そもそも、県外の最終処分ということを福島県以外の方は余り御存じないという事実もございますし、同時に、放射線についての安全性、その基準についての理解醸成というのは大変重要だというふうに考えております。
 そういったことも踏まえて、しっかりと多くの人に、そして関係する自治体の住民の皆さんには理解をしていただかなければいけないことだというふうに思っておりますので、そこは丁寧に進めていきたいと思っています。

○馬場(雄)委員
局長、是非、今の大臣の御答弁もちゃんと生かした形でこれからのスキームの枠組みをつくっていただきたいというふうに思います。
 少なくとも、あのときに起きた、所沢で起きたようなやり方ではなく、これからどんどん多分増えていくんだと思うんです。変なところで、また福島の土がというふうなネガティブな情報に私はなってほしくないんです。だからこそ、しっかりと丁寧に、具体的な基準をまさに指し示して、そしてコミュニケーションを取っていただきたいということを切に願っています。ありがとうございます。
 そして、済みません、少し質問を戻りますけれども、規制に対して私は伺いたいというふうに思っています。
 実は、このIAEAの最終報告書の中で一番に大切に持っているのは、規制に対する観点なんです。今、環境省は事業省庁ですよね、本事業に対しては。規制は誰がするんでしょう。今、まさにこの国家的プロジェクトに対して、進めていく側と、それをしっかり管理する側が両方いなくてはならない中で、今、環境省がそれを一体的に担っています。
 だからこそ、ここをしっかり切り分けて、規制をこのIAEAの報告書にしっかりと基準を照らし合わせてやっていくんだということを、ずっとシグナルを発信し続ける部隊が環境省内あるいは環境省外に私は必要だというふうに認識しています。これはこの中にも書いてあることです。どうか、浅尾大臣、ここの点について、是非設置していただけないでしょうか。

○浅尾国務大臣
委員御指摘のとおり、IAEA専門家会合の最終報告書において、規制機能は事業実施機能から独立させるべきとの指摘があり、規制機能の適切な区分は重要と考えております。
 さらに、IAEAの最終報告書においては、環境省内での管理体制の整備は、規制機能の事業実施機能からの独立性を示すための選択肢の一つとなり得るとの助言もいただいているところであります。
 これらを踏まえて、除去土壌の再生利用の実施に向け、基準省令やガイドラインに基づく適切な対応が取られているかを確認するための体制を来年度より環境省内に整備する予定であります。
 この体制整備を通じて、除去土壌の再生利用が適切に行われるよう努めてまいりたいと考えております。

○馬場(雄)委員
大臣、ありがとうございます。具体的に、来年度までにしっかりと整備をするというお言葉をいただき、感謝を申し上げます。是非それを見守らせていただきたいというふうに思います。
 浅尾大臣、共にあるというメッセージをとにかく発信し続けていくということが私は大事だというふうに思います。それは、言葉だけではなく、具体的な行動が伴って初めて成り立つものだと思っています。
 例えば、現地を体感し続ける、まさに現地視察プログラムの強化です。あるいは、苦しいときこそ自ら手を挙げる。官邸は、今それを、手を挙げていただきましたが、正直、鉢植えを増やしただけでは全く、東京ドーム十一杯分の土は減りませんので、IAEAに準拠するならば、道路か農業地になっています。それを一体官邸でできるのかどうかというところは吟味が必要だと思いますが、苦しいときこそ自ら手を挙げるというところで示していただきたいというふうに思っています。
 そして、最後、三つ目、言ったことはやり切るということです。この三つ目、言ったことはやり切る、そして、よかれ悪かれ、等身大でできたところを報告する、そのことを是非ともお約束いただきたいというふうに思っています。
 実は、浅尾大臣、そして前伊藤大臣には、二〇二四年度までにやるというふうに所信で言われていたことがございます。それは、再生利用の基準策定及び最終処分場の構造、必要面積について言及するということです。本日、三月十四日、二〇二四年度が終わるまで二週間、いまだ資料が提出されていないと認識しております。
 浅尾大臣、是非とも、等身大の形で構いません、等身大の形で構いませんので、年度末までの御報告をお願いできませんでしょうか。

○浅尾国務大臣
再生利用、最終処分の基準については、これまで国内外の有識者より御意見を伺いつつ検討を進めてきたところであり、先月、二月二十七日には、放射線審議会より、基準案の内容について妥当である旨の答申もいただきました。
 また、有識者の御意見も踏まえながら、これまで実証してきた減容技術の組合せを検討し、最終処分場の構造、必要面積の複数選択肢についてもお示しをいたしました。
 こうした取組の進捗状況も踏まえ、県外最終処分に向けて、この複数選択肢を含む二〇二五年度以降の取組の進め方案について、有識者の御意見も伺いながら取りまとめを進めているところでありまして、最終利用、最終処分の基準の公布と、二〇二五年度以降の取組の進め方の公表について、年度内に実施できるよう引き続き対応を進めるとともに、県外最終処分の実現に向けて、来年度以降も着実に取り組んでまいりたい、こういうふうに考えております。

○馬場(雄)委員
大臣、ありがとうございます。
 大臣からのお言葉もございました。しかし、まだ資料が提出されているわけではありません。委員長、是非、年度末にその資料が出ているかどうかの確認を理事会で協議いただけないでしょうか。

○近藤委員長
理事会で諮らせていただきます。

○馬場(雄)委員
ありがとうございます。
 まさに、必要面積に関しては、再生利用ができなければ、全部最終処分場に行ってしまいます。だとすると、必要面積というのは恐らく今定義できない状況だというふうに思います。そういった点も踏まえて、是非、等身大でお話をしていただき、その点で、未来をつくるための責任を私たちで共に果たさせていただきたいということを最後に切にお願い申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。

○近藤委員長
次に、川原田英世さん。

○川原田委員
立憲民主党の川原田英世です。
 初めに、世界遺産知床の携帯電波基地局設置のための太陽光パネルの設置について伺っていきたいというふうに思います。
 これは昨年の十二月のこの委員会でも質問させていただいた内容ですが、そのとき、知床岬側、斜里町側と言ってもいいんでしょうか、そちらの方は事業は中止するという答弁があったんですが、報道を見ると、中止であったり、凍結という言葉が書かれていたりとか、表現がいろいろ異なっておりまして、果たして本当に中止なんだろうかというような疑問の声が各地から上がっています。
 ですので、まずその点について確認をしたいということと、事業はもう一部進められておりました。知床岬でも既にレールが設置をされていた、また、太陽光パネルを積んだ船が近隣に停泊をされていたということで、もう既に事業は進められていて、費用がもう、コストはもう出ていたんだろうというふうに思います。この費用というのはどなたが負担するものになるのか。
 まず、この二点について確認をしたいと思います。

○浅尾国務大臣
昨年十月の知床半島通信基盤強化連携推進会議では、これまで同会議で合意されていた知床岬地区の整備の計画については、地元の合意形成が失われており、当該計画を中止することとされました。
 また、太陽光パネルは設置されておらず、資材を運搬する、これはモノレールですね、モノレールは、携帯事業者が費用を負担し、撤去したと承知しております。

○川原田委員
事業者の負担が生じていたと。中止になったんだけれども、事業者の負担が生じてしまったということは、これはかなり、事業者側からすれば、要請があって進めてきたのにということで、本当に迷惑な話だというふうに思いますので、やはり、政策の立案から、今回の中止という判断、これは本当に重たいものがあるというふうに私は思っています。
 その上で、この政策、この事業というのは本当に正しかったのかなというふうに、まあ中止に至ったんですから、地元の合意が得られなかったわけですから、相当問題があるということは間違いないんですけれども、そもそもの在り方というのが正しかったのかなということを私は疑問に思っていますので、何点か伺いたいというふうに思います。
 まず、やはり、この事業が進められる背景には、あの悲惨な知床観光船の事故があったというふうに思います。その事故には、そもそも無線が使えていない、壊れている、根本的な大きな原因があったわけですよね。それで、知床遊覧船事故対策検討委員会というところで、やはりこの事故の検証をしているわけです。その検証の結果を見ると、旅客船の総合的な安全、安心対策という項目があって、そこでは、やはり無線が壊れていたということが根本的にあるので、法定無線設備という安全基準の中からは携帯電話は除外と書いているわけです。
 したがって、それを考えると、この携帯電波基地局の整備というのは、この事故の検証の結果から見ると全く筋違いの事業、政策になっているのではないかなというふうに思うんです。こんな全く筋が合わない政策、事業を、一体いつ誰がどこで決めて進められてきたんでしょうか。確認したいと思います。

○荻原政府参考人
お答え申し上げます。
 知床半島の携帯電話基地局の整備に当たりましては、地元の御要望を踏まえまして、地元の自治体ですとか地域の関係団体の皆様と密接に連携して議論を重ねてまいりました。
 こうした議論を踏まえまして、関係者の間で基地局整備の一定の方向性が定まったということから、事業者間における連携、それから取組の推進を図ることを目的としまして、地元自治体、地域の関係団体、関係省庁、それから携帯電話事業者で構成されます知床半島地域通信基盤強化連携推進会議が令和五年四月に設置されまして、同会議において合意が図られてきたところでございます。

○川原田委員
連携推進会議なるものを立ち上げた、その前には地元からの要望も受けて議論してきたということですが、今言った知床半島地域通信基盤強化連携推進会議、非常に長い名前ですけれども、この第一回目の御案内というか、周知の内容を見ると、もう既にこの時点で、携帯電話基地局の整備に向けて連携して取り組むと書いているんですね。だから、この会議を開かれているときには、携帯電話にするんだと決まっている、携帯電話基地局ありきでそもそも事業が進められてきている。だから、今説明を受けたのだと、私は、その会議を開く前からこれはありきだったんじゃないかなというふうに思うんです。
 では、これは誰がどこで決めたんですか。ちょっと同じ質問ですけれども。今の答弁だと、ちょっと私は筋が違うと思うんですが。もう一度答弁いただきたいと思います。

○荻原政府参考人
先ほど申し上げました連携推進会議が設置される以前から、地元から強い御要望をいただいておりまして、地元自治体それから地域の関係団体と密接に連携して議論を重ねてまいりました。その議論を踏まえて、基地局整備ということで一定の方向性が定まったということで、先ほど申し上げました連携推進会議を立ち上げて、具体的な計画作りに取り組んだという経緯でございます。

○川原田委員
何度も地元からの強い要請がというような話が出てくるんですけれども、だけれども、中止に至ったのは、地元が合意をしない、地元からの批判があったということで、何だか事業を進めるに当たっても、中止に至っても、地元地元というふうに、どうも避けたがる。
 だけれども、私がさっき言ったように、地元も入って、地元地元と言うのもおかしいですけれども、地域も入って検証した結果では、携帯電話ではこの事故を受けての対策になっていません、なりませんと明確に書いているわけですよね。やるべきことはほかにたくさんあるわけですよ。だけれども、何か筋違いの携帯電波の基地局の整備になった。
 これは、私は、今回の事故を受けての対策には全然なっていない、地元からの、漁業者からは別の視点でも要望があったというふうに理解していますけれども、やはり、私は、ちょっとそもそもの在り方として大きな問題があるというふうに思っています。
 それで、何点か聞きますけれども、知床岬側は中止ということですが、まだ事業継続ということでニカリウス地区が残されています。その地域に関しても、果たして携帯電波基地局というのが正しいのかどうか。さらには、太陽光パネルをつけるということですから、それ自体も正しいことなのかどうなのかというふうに思うわけですね。
 以前の議論でもありました、ほかにも手法があるんじゃないかということで、スターリンクだとか、新しい技術が出て、もう既に普及が始まっているということです。こういったものを観光船に取り付けるということをすれば、わざわざ携帯電波基地局なんてそんな、そして、さらには太陽光パネルを手つかずの自然遺産につけるなんということをしなくても事業の目的は達成されるんじゃないかなというふうに思うんですが、こういったことは検討されたんでしょうか。

○荻原政府参考人
お答え申し上げます。  知床半島地域におきましては、周辺海域も含めて、以前より携帯電話の不感地域の解消について御要望をいただいていたところでございます。そのような中で、令和四年四月に観光船の沈没事故が発生して、そのことを契機としまして、改めて地元の自治体様から強い要望をいただいたところでございます。
 具体的な地元からの要望といたしましては、緊急時の連絡手段の確保に加えまして、スマートフォンによる地震津波速報ですとか、あるいは、天候の急変に備えた気象情報のリアルタイムの入手手段の確保が求められているというふうに承知しております。
 携帯電話以外の通信手段としましては、衛星携帯電話ですとか漁業無線などが挙げられるわけでございますけれども、これらはそういった地元からの御要望を満たすことができませんので、携帯電話以外に現実的な手段はないというふうに認識してございます。
 そのような状況を踏まえまして、地元自治体それから地域の関係団体の皆様と連携して議論を重ねてきて、先ほどの連携推進会議において具体的な計画をまとめてきたという経緯でございます。

○川原田委員
今答弁いただきましたけれども、ほかの、スターリンクだとかそういうのは検討されたんですか。確認します。

○荻原政府参考人
今御指摘いただきました、スターリンクなどの衛星インターネットサービスというのもございます。こちらに関しては、比較的大型の漁船ですとか観光船につきましては、アンテナなどの必要な設備を設置して利用が可能であるというふうに認識してございます。
 ただ一方、この海域におきましては、船外機船と呼ばれます小型の漁船が数多く操業している状況であるというふうにも承知しておりまして、これらの船外機船に関しましては、波風を避けられないということで、衛星インターネットサービスで活用します電源ですとかアンテナの設置が難しいということで、衛星インターネット回線の利用は困難であるというふうに承知しております。

○川原田委員
そこが、僕は、進められてきた経過に大きな問題があると思うんです。携帯電話の届かない海の海域、漁業が行われている海域というのはたくさんありますよ。山の中もそうですね。道路でも携帯電話が届かないところはあります。それで、たくさん地域から要望が上がっていますよね。
 今回の事業というのは、事故を受けて進められてきたというのが大きい。地域からは、どこでも、電波が届かないところは要望があるわけですから。進められてきた側面というのは、やはり事故を受けてだと思うんです。事故を受けてだから、観光船対策だったと思うんですけれども、いつの間にか、それが海の漁業者のための安全対策にどんどんどんどん変わっていっている。だから、結果として、私が見るには、最初から携帯電波ありきでやってきたんでしょう、事故に対する対策ではないんでしょうというふうに受け止めるんですよ。
 今の、さっきの答弁だと、全ての海域に携帯電波の基地局をつけなくちゃならなくなりますよ。そういった認識でいるんですか。


○荻原政府参考人
お答え申し上げます。
 繰り返しになりますけれども、知床半島地域では、事故の以前から、漁業関係者の方も含めて、携帯電話の不感地域の解消については御要望いただいていたところでございます。
 また、携帯電話の海上での利用について、くまなく整備する必要があるのではないかという御指摘に関しましては、携帯電話に関しましては、陸上から電波が届くような沿岸部は一般に利用可能となってございまして、各携帯電話事業者は、海上を含めたエリアマップを公表してございます。例えば、事業者の一つについては、海岸から大体二十キロメートルぐらいのエリアはおおむね利用可能となっております。
 ただ、陸上に基地局がない地域ですとか、あるいは、地理的、技術的な制約で電波が届かないような海域もあるというふうには当然承知しておりまして、今後、こういった海域につきましては、携帯電話の不感地域の解消に向けて、自治体からやはり御要望がいただければ必要な検討を行ってまいる所存でございます。

○川原田委員
地元から要望があれば検討するということで、それは当然なんですけれども、今回、これは進められていっているということで、そういった中で、私は、ちょっとロジックがかみ合っていないと思うんですよ、目的とやっていることの。さっき言ったように、携帯電波というもの自体が。
 なので、やるべきことは、やはり知床の観光船の事故の検証にある対策をしっかりとやることであって、この携帯電波基地局の整備というのは、やはりかみ合っていない、ロジックが成り立っていないというふうに思うので、このニカリウス地区に関しても事業を中止すべきだというふうに思いますけれども、大臣の見解を伺います。

○浅尾国務大臣
昨年十月の知床半島地域通信基盤強化の連携推進会議では、ニカリウス地区については、羅臼町から強い要望があることを踏まえ、整備に向けた検討を進める方針とされました。これを受け、環境及び生態系を含む必要な調査を事業者側で実施し、整備の内容について検討がされるものと承知しており、事業者側の対応を見守りたいというふうに考えています。

○川原田委員
事業者側を見守るということでありますけれども、私はやはり、環境省としても、もう一回ちゃんと議論する、地域も含めて議論をすることが必要だと思います。
 それは、携帯電波がつながるのは便利ですよ、いいことですよ。誰もノーとは言わないと思います、地元の皆さんは。だけれども、果たして本当に必要なのかどうか、そして、世界遺産知床に対してその設置が好ましいものなのかどうか、このことを考えなくちゃならない。私は到底好ましいとは思えませんので、しっかりこれは、これからも、経過を見守りながらも、必要なのかどうなのか、もう一回しっかりとした議論を進めていただきたいというふうに思います。
 時間も限られていますので次に行きますけれども、次、再生可能エネルギーについてちょっと伺いたいというふうに思います。
 再生可能エネルギーを進めるということは、私は重要だというふうに思っています。しかし、その進め方については、昨年十二月の委員会においても、各委員からちょっと疑問の声が上がっていたというふうに思っています。私も同じ視点です。やはり、自然を破壊してまで再生可能エネルギーを進めるということは、ちょっと何か、これもかみ合っていないよね、そもそも論としておかしくないかというふうに思うわけですね。
 特に、地域の観光資源なんかに悪影響を与えるということもあります。また、地域の産業、魚を干している地域とかがあって、その方たちはすごく心配しています。自分の近くに大きな風力が建つということで、伝統的な産品が作れなくなるんじゃないかという方たちもいます。
 そういった環境も考えると、やはり、しっかりとした、地域の声や事業者やその近隣の方の声を受けて、駄目なところは駄目ですというルールもしっかり定める必要があると思うんですけれども、大臣の所見を伺います。

○浅尾国務大臣
近年の再エネの導入拡大に伴い、自然環境への影響等に対する地域の懸念が高まっているということは認識しております。
 このため、環境省としては、例えば、環境影響評価制度の運用を通じて、事業者による適正な環境配慮が確保されるよう取り組んでおります。環境保全の観点から著しく合理性を欠く場合には、事業計画の抜本的な見直しや事業実施の再検討を求める環境大臣意見を提出するなどの対応も行っております。
 また、地球温暖化対策推進法に基づき、地方公共団体が、地域の協議会等で合意形成を図り、再エネ促進区域の設定等を行う地域脱炭素化促進事業制度の活用を促しております。
 今後も、環境保全や地域とのコミュニケーションが適切に図られた地域共生型の再エネの導入に向けて、関係省庁とも連携しつつ取り組んでまいりたいと考えております。

○川原田委員
大臣の所信にもありました、地域と共有して裨益するということでしたけれども、残念ながらそうなっていないものがあるので、しっかりとした規制は必要だと思います。
 地方自治体でそれに取り組んでいるところはあるんですけれども、では、実際に進めようとしている事業側と裁判になったらどうなるんだというと、やはり、根拠的な国としての法的なものがないと裁判になったら負けちゃいますよね、造られちゃいますよねということになっていますので、ここはやはりしっかりとした国としても姿勢を見せるべきだと思います。その方が、より再生可能エネルギーはやはり進むと思うんですよね、国民の理解も進むと思うんです。ここは駄目ですよというところはしっかりと定めるということをした方が、私はいいというふうに思っています。
 また、地域では人口減少です。土地が、もう持ち主がいないというところがどんどん増えてきている。都会に持ち主がいて、全然地域との関わりもなくなっていて、知らないうちにそういった事業者に売買されていて、知らないうちに大きな再生可能エネルギーの施設ができていますみたいなことも起きているわけです。だから、こういうことも考えていかなくちゃならないというふうに思っています。
 結局、事業者も利益を求めますから、土地の値段の安いところに再生可能エネルギーが先行して造られていっている、つまりは地方に進んでいっているということですけれども、やはりそこは自然が豊かな場所なんですよ。私の地元でも、イトウという、幻の魚なんて言われていますけれども、その産卵する場所で、そこは風力が進められていたり、本当に皆さん心配しています。だから、そこはしっかりと規制があるべきだというふうに思っています。
 それで、もう一点伺いたいのは、本気でこの再生可能エネルギーを進めようという思いがあるのであれば、やはり私は国がもっと前向きに進めるべきだと思っています。
 家屋の、家の上、ビルの屋上、また、道路を走っていると、北海道だと防雪の柵がだあっと並んでいますね、ああいったところに太陽光パネルをつければいいんじゃないのというふうにいつも思っています。高規格道路の上、屋根のようにつけてもいいんじゃないの、冬の間除雪しなくてよくなるんじゃないの、いろいろな視点を広げてみると、再生可能エネルギーを進められると思うんです。
 事業者に任せるだけではなくて、国としても、国営事業をつくれというのもあると思いますよ。そういうことを考えてもいいと思う。どんどんどんどん進めていくという姿勢を示すべきだと思うんですが、大臣の所見を伺います。

○浅尾国務大臣
地域と共生した再生可能エネルギーの最大限導入に向けて、屋根設置型の太陽光発電のポテンシャルを更に積極的に活用していくことが重要だと考えております。
 環境省としては、地球温暖化対策推進法に基づく政府実行計画や地方公共団体の実行計画制度による公共施設への率先導入を進めるとともに、民間企業や住宅への屋根の導入を支援しております。
 さらに、耐荷重性の低い屋根や建物の壁面など、新たなポテンシャルの活用につながるペロブスカイト太陽電池について、早期の社会実装に向けて、今後、需要家向けの導入支援を実施し、コスト低減や需要拡大に資する社会実装モデルを創出していきたいと考えています。
 再生可能エネルギーの主力電源化に向け、関係省庁と連携し、制度や支援措置を活用しながら、屋根設置型の太陽光発電の更なる導入拡大に向けて取組を進めてまいりたいと考えています。

○川原田委員
ペロブスカイトも出てきます。そして、それを早急に進めなくちゃならないというときに、民間との関わりも重要ですけれども、国としても大規模な取組をしっかり進めていくということを是非検討していただきたいというふうに思っています。
 最後に、資料でもお配りしていますけれども、ちょっと気になる点について伺いたいと思います。
 ホテルなどの宿泊施設での重油漏れというのが何件か発生してきているんですね。北海道でも、そして長野県でも起きています。重油に限られたことではありません。化学物質が漏れるということ、これは本当に大きな課題だと思っています。
 原因には様々な点があります。施設の老朽化、そして、宿泊施設、結構売買されていますよね。経営者が海外の方になったりもしています。ちゃんと十分に管理ができているのかなという点も心配です。
 そして、一番大きい要因は、今回、例で挙げている資料のは、両方とも雪が落ちて配管が潰れちゃったとか壊れちゃったということなんですね。地球温暖化で雪が重くなっているということです。昔みたいなさらさらパウダースノーじゃなくて、どさっとした雪になっていて、それが想定外に配管の上にぼそっと落ちて、そこで配管が壊れてあふれ出したということです。
 これは対策を取らなくちゃいけないんですが、一体どこの省庁で誰が対策を取るんでしょうかぐらいな議論になっちゃっているんですよね。施設に対するしっかりとした取締りも必要ですし、また、こういった自然環境を破壊するような行為につながってしまうようなことをした事業者に対する何かしらの規定、罰則のようなことも含めて検討しなくちゃならない。
 これは大きな課題で、これからどんどん増えると思いますので、早急な解決に向けた取組が必要だと思うんですが、この点についてどう考えているのか、大臣の所見を伺います。

○浅尾国務大臣
水質汚濁防止法において、施設の破損などによって、油を含む水の流出により生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるときには、事業者による応急措置の実施や都道府県知事への届出を義務づけているところであります。
 また、応急措置が講じられていない場合には、都道府県知事から応急の措置を講ずるべきことを命ずることができ、事業者がこの命令に違反した場合に罰則の対象となります。
 今後も、油等の流出による環境への影響の低減を図るため、事業者において適切な対応が講じられるよう、都道府県等と連携し、必要な対応に取り組んでまいりたいと考えています。

○川原田委員
時間が来ましたのでもう質問はやめますけれども、今回の重油漏れで、サケ、マスのふ化場の真上だったんですよね。実際に油が想定よりも少なかったということで大きな影響は出なかった、まだまだ分かりませんけれども。
 今御答弁いただきましたけれども、今の法整備じゃ到底追いつかないということが実際に現場では起きています。ですので、これは、しっかり考えて対策を講じていく、より検討を深めていただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○近藤委員長
次に、猪口幸子さん。

○猪口委員
日本維新の会の猪口幸子でございます。よろしくお願いいたします。
 まず、二〇一一年三月に発生しました東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故から十四年が経過しましたが、今もなお福島の方々が多く避難をしていらっしゃって、その御苦労に対して、心より改めてお見舞い申し上げます。
 本日は、福島県での放射性物質で汚染された除去土壌の今後について質問いたします。
 平成二十三年八月に放射性物質汚染対処特別措置法が制定され、令和二年三月には、帰還困難区域を除き全ての市町村で面的除染は完了し、避難指示が解除されています。また、帰還困難区域内については、特定復興再生拠点区域が令和五年十一月には避難指示が解除され、拠点区域外についても、帰還できるよう特定帰還居住区域が創設され、家屋の解体や除染が進んでいる状況と承知しております。
 今なお除染作業が行われている状況の中で、福島県内の中間貯蔵施設に集められた除去土壌などは、二〇二四年末時点で約千四百万立方メートル、東京ドーム十一個分に相当すると公表されています。また、そのうち四分の三は、一キログラム当たり八千ベクレル以下の放射能濃度とされています。除去土壌については、二〇一四年十一月に制定された中間貯蔵・環境安全事業株式会社法で、二〇四五年三月までに福島県外で最終処分を完了することが定められており、福島の被災地の方々もそれに期待しているところと聞いております。
 この最終処分量を減らすため、道路工事や農地整備などの公共事業などで再利用を行うため、省令改正案が環境省から二〇二〇年に発出されましたが、多くの反対意見により改正を見送った経緯があり、今回再び提出された状況と認識しております。
 そこで、除去土壌の復興再生利用についてお尋ねします。
 再生利用する除去土壌は放射能濃度で一キログラム当たり八千ベクレル以下の基準となっていますが、原子炉等規制法で定められた、廃炉原発から出た放射性廃棄物を再利用できるクリアランス基準は一キログラム当たり百ベクレル以下ですが、この基準の違いは何か、御説明ください。

○白石政府参考人
お答え申し上げます。
 議員御指摘の一キログラム当たり百ベクレル以下というクリアランスの基準は、原子力施設や、放射性物質を扱う医療機関、研究機関等、放射性物質の取扱いに関して規制を受けている施設等を対象とした基準でございます。原子力発電所の事故により環境中に放出された放射性物質については、規制対象としたものではございません。
 その上で、原子炉等規制法におけるクリアランス基準は、放射線による障害の防止に係る規制の枠組みから除外をいたしまして、核燃料物質によって汚染されたものではないものとして、つまり、全く制約のない自由な流通を認めるものとして取り扱うことができるというものでございます。
 一方で、除去土壌の再生利用につきましては、再生資材化した除去土壌を対象に、その利用先を管理主体や責任体制が明確となっている公共事業等に限定した上で、飛散、流出の防止等の適切な管理を前提として利用するものでございます。
 この除去土壌の再生利用の取組に関しては、IAEAの最終報告書におきまして、IAEAの安全基準に合致している等の評価をいただきまして、また、放射線審議会からは、再生利用の基準が妥当である旨の答申をいただいております。
 このように、八千ベクレル・パー・キログラムと百ベクレル・パー・キログラムという基準は、異なる法体系の下での基準でございまして、前提としている管理の考え方も異なるというものでございます。

○猪口委員
IAEA等の基準ということですけれども、覆土の上から被曝量を測ったところでは一ミリシーベルトというふうには環境省の報告では書いてありますけれども、覆土がない状態で直接の被曝量というのは測定していないんですか。

○白石政府参考人
お答え申し上げます。
 再生利用の基準におきまして、八千ベクレル・パー・キログラムの基準は、覆土のない状態で一年間作業員が作業した場合であっても年間の追加被曝線量が一ミリシーベルト以下になるというような基準で定められているというものでございます。覆土をした場合には、一定の厚さ、例えば三十センチであるとか五十センチの覆土厚をかけますと、九九%程度の遮蔽がされるということなので、その追加被曝線量ははるかに下がるというものでございます。

○猪口委員
分かりました。
 ただ、データ的にそういったことは公表されているのかどうか、ちょっとお聞きしたいんですけれども。

○白石政府参考人
お答え申し上げます。
 今申し上げた追加被曝線量等のデータにつきましては、これまでも検討の経緯でモデル計算等をした結果を逐次公表してございますし、また、今般定めます省令のガイドライン等におきましても、モデル計算の一つの根拠として明確にお示しをしているというところでございます。

○猪口委員
分かりました。
 ただし、除去土壌を再生利用するための作業は、その全工程で八千ベクレル・パー・キログラム以下の汚染された土壌が直接大気にさらされ、重機の掘削、積載、移送、荷降ろしにより、大気中にセシウムなどの放射性微小粉じんを拡散させる可能性があります。
 放射性汚染物として扱わなくてもよい基準、これはやはり、基準が違うということを先ほどおっしゃっていましたけれども、百ベクレル・パー・キログラムまで減衰するのには百九十年かかる、セシウムの半減期は三十年ですが、その間、豪雨、洪水、土砂崩れなどで覆土とともに大量の除去土壌が流出する可能性があります。このような状況をどのようにお考えですか。  また、作業員及び福島の住民の方々、再生利用周辺の環境への影響が懸念され、放射性粉じんの吸入による内部被曝の危険があると考えますが、この点はいかがですか。

○白石政府参考人
お答え申し上げます。
 まず、流出についての御懸念でございますが、その点に関しましては、再生利用の選定に当たりまして、軟弱地盤のある場所、それから地すべり地等、被災に伴う除去土壌の飛散、流出リスクを総合的に勘案いたしまして、調査、計画に当たって十分な検討を行うこととしております。
 この再生資材化した除去土壌の飛散、流出リスクが低いと考えられない場合には、利用場所や利用部位としては基本的には避けるべきというふうにしております。
 それから、御指摘の作業員と周辺住民の内部被曝につきましては、一定の仮定の下で粉じん吸入を考慮した計算の結果、内部被曝の影響は、外部被曝に比べて、外部被曝の一%にも満たない結果になっているということでございますので、十分に小さいということを確認をしてございます。

○猪口委員
八千ベクレル・パー・キログラム以下の放射能濃度ということで、被曝量は一ミリシーベルトということで、年間に換算したらそうなると思うんですけれども、一様ではない土壌ですので、ゼロから八千という範囲、そしてまた、一キログラムで八千ベクレルを出すという放射能の状況、それを勘案すると、やはり非常に注意が必要ではないかと。
 一ミリシーベルトを百年間浴びますと百ミリシーベルトになって、百ミリシーベルトというのは医療人の中では非常に注意の数値でございまして、これが放射線被曝での労災認定の基準になります。ですから、これが一様に年間一ミリシーベルトで済むのであればいいんですけれども、むらのある土壌に対して、それを超える状況であれば危険が起こるということが考えられると思います。
 そしてまた、国際放射線防護委員会、ICRPや国際原子力機関、IAEAは、放射線防護策に関して、放射線被曝だけでなく、経済的な要因も考慮して利益と有害性を評価するとしています。
 除去土壌は、経済的費用に限定しても、搬出、減容、一部再利用、一部廃棄、これらの長期的管理費用、再生利用受入先の環境等、多くの費用が発生すると考えます。予算としてはどの程度を考慮していますか、環境大臣のお考えはいかがですか。

○浅尾国務大臣
御指摘の予算の規模については、減容処理の方法や、再生利用の最終処分先への運搬の在り方などによって大きく変わるものであり、現時点で試算は行っておりません。
 昨年九月に公表されたIAEAからの報告書においては、再生利用と最終処分に関する便益として、金銭面での検討だけでなく復興などの要素も含めるべきとされた上で、除去土壌の再生利用及び最終処分の取組の正当化はIAEA安全基本原則に合致しているとの評価を受けております。
 福島県内で生じた除去土壌等の中間貯蔵開始後三十年以内の県外最終処分の方針は、国としての約束であり、法律にも規定された国の責務であります。
 県外最終処分の実現に向けては、最終処分量の低減のために除去土壌の再生利用等を進めることが重要であり、必要な取組を進めてまいります。

○猪口委員
二〇四五年三月までに福島県外で最終処分とする中間貯蔵・環境安全事業株式会社法が制定されておりますが、今の大臣のお話ですと、法律にのっとりそこに集約する、デッドラインはそこだというお考えだということは分かりましたが、除去土壌の処分について、再生利用以外、これは千四百万立方メートルの除去土壌のうち四分の三に当たる量が再生利用可能だという状況ですけれども、この再生利用にそれを使う以外には検討はしていらっしゃらないんですか。

○浅尾国務大臣
御指摘のとおり、二〇四五年三月までの県外最終処分の実現に向けては、最終処分量を低減することが鍵であり、減容や再生利用の取組が重要であります。
 環境省では、これまでの取組の成果や、昨年九月に公表された除去土壌の再生利用等に関するIAEAからの報告書等も踏まえ、県外最終処分に向けた検討を進めております。
 具体的には、八千ベクレル・パー・キロ以下の除去土壌については、本年度中に再生利用の基準を策定すべく取りまとめを進めております。
 また、八千ベクレル・パー・キロを超える除去土壌については、最終処分の基準の策定を進めるとともに、最終処分量を低減するための減容技術の開発を行い、これらの検討状況も踏まえ、最終処分場の構造や必要面積等を含む複数選択肢の案を取りまとめているところでありまして、引き続き、最終処分、再生利用に向けて必要な検討を進めてまいります。

○猪口委員
ありがとうございました。
 先ほど馬場委員の方から、再生利用を進めるために丁寧な説明が必要だということをおっしゃっていましたけれども、先ほど環境省の方からお話があったとおり、八千ベクレル以下であれば環境被害が起きない、そういうデータをしっかりと住民にお示しして、そして丁寧な説明をすることでこの再生利用がより一層進むのではないかと思います。それが不足していると思います。
 福島の復興は、あくまでも安心、安全を確保した、風評被害のない復興であるべきと考えます。現在、福島県飯舘村では、除去土壌を再生資源化して盛土として使用しているということ、これをより一層周知していただいて、また農地として利用する実証事業が実施されているということですね。そしてまた、中間貯蔵施設内において道路整備での再生利用について検討するため、令和四年十月より道路盛土の実証事業が実施されていますが、これらの実証事業のデータを広く公開し、多くの国民の理解と、今後の除去土壌の処理について検討を重ね、福島の復興を考えていくべきと思います。
 首都圏の電力を賄ってきた福島県民の方々の犠牲を思い、また、現在も、原発での過酷な廃炉作業も併せて、継続した真摯な復興への取組をお願いします。

○近藤委員長
次に、空本誠喜さん。

○空本委員
日本維新の会の空本誠喜でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、カーボンプライシングについてお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
 まず、炭素税につき、この考え方をお聞きしたいと思います。
 環境大臣、環境省としてのカーボンプライシングにおける炭素税という定義、これはどのようになっていますでしょうか。

○五十嵐大臣政務官
お答え申し上げます。
 カーボンプライシングとは、排出される二酸化炭素に対して価格づけを行い、市場メカニズムを通じて脱炭素に向けた行動変容を促す仕組みであり、代表的な類型として、炭素税や排出量取引制度、クレジット取引等が存在いたします。
 そのうち、炭素税と呼ばれる類型については、一般的に、化石燃料等の利用による二酸化炭素の排出に対し、二酸化炭素排出量一トン当たりの価格を設定をし、排出者に税として負担を求める仕組みとなってございます。

○空本委員
実は、我が国には既に炭素税といいますか、存在しているのであろうと。例えば、ガソリン税、揮発油税、あと石炭石油税、こういったものも実質的には炭素税の一つじゃないかなと。
 例えば、ガソリン一リットル当たり五十三・八円。その中に、また石油に関しては、例えば、一リットル当たり二・〇四円の石炭石油税、そして温暖化対策税として〇・七六円。ガソリン税等は、小泉政権時、一般会計に算入されておりますので、一般財源化されておりますので、元々は道路を造るために、道路を建設するために使われたものでありますが、一般財源化されているということは、もう既にある種の、ある意味での炭素税であろうというふうに考えるんですが、財務省、いかがでしょうか。

○植松政府参考人
お答えいたします。
 先ほど環境省の政務官から御説明がありました、炭素税の一般的な定義に照らしますと、いわゆる地球温暖化対策のための税につきましては、CO2排出量一トン当たり二百八十九円相当の税率を石油石炭税に上乗せをしているものでありまして、そうした性格を有すると言い得るところでございます。
 一方で、地球温暖化対策税を除きます石油石炭税や揮発油税といったエネルギー関係諸税全体につきましては、CO2排出量に応じた税率設定が行われているものではないということでございます。
 ただし、いわゆる炭素税につきましては、我が国において法律上位置づけられているものではないということでございますので、個別の税目が炭素税に該当するか否かについて一概には申し上げられないことを御理解いただきたいと考えております。

○空本委員
炭素税をこれからいろいろ導入するに当たって、やはり国内産業に対する影響とか、こういったものを考えておかないといけない。もう既に、例えばガソリン税とか揮発油税とかがあるんですから、これをある種の炭素税というふうに認識してもいいんじゃないか、そういうふうに切り替えていってもいいんじゃないかなと思っております。この辺については、また別途議論させていただきたいと思います。
 次に、排出権取引制度、ETSについてお聞きしたいと思います。
 この取引制度は、イギリスで二〇〇二年から始まりまして、国内取引が始まりました。導入している国々も数十か国ございます。しかしながら、これは排出枠の価格上昇を見込んだヘッジファンド、こういったものも行われていて、既に金融商品としての色がついているのではないかな。そして、逆に、新たな金融ビジネス、金融市場を開く可能性もあるというふうな見解もございます。
 そういった意味で、この排出権取引とは脱炭素を進めるための効率的なものではあるとは思うんですが、一つの金融ビジネスになっているのではないか、その性格を有しているのではないかと考えますが、まず経済産業省、続いて金融庁、どうお考えでしょうか。

○田尻政府参考人
お答え申し上げます。
 排出量取引制度は、今委員御指摘にあったとおり、市場取引を通じた炭素価格を公示することにより、企業の脱炭素投資を促すとともに、経済合理的に社会全体の排出削減を促進する仕組みでございます。この目的を達成するために取引の流動性を一定程度確保することが重要でございまして、先行して制度を導入している韓国などの例も参考に、一部の金融機関を含む取引業者による市場参加を認める方針としてございます。
 一方で、欧州の排出量取引制度におきましては、やはり先物を中心とした金融機関による排出枠の取引が活発に行われておるんですけれども、我が国の今後検討する排出量取引制度につきましては、このような金融機関中心の制度とする予定はございません。あくまでも、制度の目的は制度対象事業者の脱炭素投資と経済合理的な排出削減の促進ということであることから、取引業者の市場参加には取引規律を確保するために一定の要件を設けておりまして、先物取引につきましても現時点では認めない方針というふうにしてございます。
 このように、金融ビジネスのための取引市場とはならないよう、先行する他国の状況などを踏まえながら注意深く制度設計を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

○川崎政府参考人
お答え申し上げます。
 ただいま経産省から御説明がありましたとおり、我が国の排出量取引制度の目的は、企業の脱炭素投資の促進と経済合理的な排出削減の推進であると考えてございます。取引の流動性を高める観点から、金融機関等の取引業者の市場参加を認める一方で、こうした取引業者の市場参加には取引規律を確保するための一定の要件を設ける方針だというふうに承知をしております。
 金融庁といたしましては、市場に参加する金融機関が仲介機能を適切に発揮することで円滑かつ適正な排出取引に貢献できるよう、経済産業省等の制度所管省庁としっかり連携をいたしまして、金融機関の参加要件を含めた排出量取引制度の整備の検討に参画してまいりたい、こう考えてございます。

○空本委員
ある種の金融ビジネスになっていく可能性が高いと思います。それは逆にマネーゲームになり過ぎちゃいけないし、そういう点では、環境省としてしっかりこれは取り組んでいただきたいといいますか、環境省として、どう金融ビジネスとしての成り立ちというのをお考えでしょうか。大臣から。

○五十嵐大臣政務官
環境省としての見解を申し上げますと、二〇二六年度より本格稼働する排出量取引制度は、市場メカニズムを活用することで、企業の脱炭素投資を促しつつ、効率的かつ効果的に排出削減を進めていくことを目的としており、金融ビジネスのために排出量取引市場を整備するものではないと考えております。
 また、市場の運営に当たっては、国として適切な規律づけを行っていくこととしており、制度対象事業者以外の市場への参加については、あくまでも取引の仲介としての立場を想定してございます。なお、先般閣議決定されたGX推進法改正案においても、排出枠が投機的取引の対象とされてはならないと規定をしております。
 国として、排出量取引制度の対象事業者が、制度の目的に照らして円滑かつ適正な取引を行えるよう、市場の健全な発展に向け、引き続き、制度整備に取り組んでまいります。

○空本委員
後ほど、国内での取引について少し考えてみたいと思います。
 その前に、発電事業者に対する排出権の有償買取り制度、有償オークション制度、また、化石燃料を輸入している事業者に対する炭素賦課金制度、これが今後どのようになっていくのか。二〇三〇年を越えていくとかなりこれが入っていくんじゃないか、逆に電気料金の値上げとか国民の負担が増える可能性がございます。
 そういった意味で、経済産業省はどのように考えていらっしゃいますか。

○田尻政府参考人
お答え申し上げます。
 御指摘の化石燃料賦課金や特定事業者負担金につきましては、今後導入するに当たっては、関連産業、国民生活への影響へも最大限配慮をいたしまして、エネルギーに係る負担の総額を中長期的に減少させていくという中で導入させていくということが現行のGX推進法に既に明記をされているところでございます。エネルギーに係る負担の総額を全体として増加させるものではないというふうに我々は考えているところでございます。
 その一方で、私ども、今行っております成長志向型のカーボンプライシング構想におきましては、将来的なカーボンプライシングによる、得られる収入を原資といたしまして、国がGX経済移行債を発行して、二十兆円規模の先行投資支援を企業のGXに対する取組に大胆に行っていくということを予定してございまして、このことにつきましても、二年前に制定をしたGX推進法であらかじめ明示をしているところでございます。
 このように、支援と制度を一体型の取組として複数年で大規模な予算措置を講じる中で、意欲のある企業のGX投資や取組を強力に引き出していくということを考えておりまして、例えば、予算措置により、中小企業が大幅なエネルギー使用量の削減であったりエネルギーコストの低減に取り組んでいるところでございます。
 このように、GXの制度設計に際しましては、我が国のエネルギーの安定供給に資すると同時に、事業者や国民にエネルギーコストの面でも恩恵があるような制度としていくというようなことで考えているところでございます。

○空本委員
国民の生活に負担にならないように、私は再エネ賦課金は廃止すべきかなと思っているんですけれども、そういった意味で、しっかりこれは国民負担にならないように考えていただきたい。
 ちょっと一問飛ばしまして、国内の排出取引について、カーボンクレジット市場について、今、JPX、日本取引所グループでは東京証券取引所にもう開設しています。
 その中で、金融市場化している、Jクレジットを取引する、そういう中で、実はカーボンクレジット市場では空売りができることになっていて、規制されていないということをホームページ上で確認いたしましたが、やはり新たなマネーゲームの金融市場となるならば、ある程度の規制強化を行うべきと考えますが、金融マンでもあった浅尾大臣、いかがでしょうか。

○浅尾国務大臣
御質問ありがとうございます。
 二〇二六年度から本格稼働する排出量取引制度は、市場メカニズムを活用することで、企業の脱炭素投資を促しつつ、効率的かつ効果的に排出削減を進めていくことを目的としております。
 市場の運営に当たっては、制度対象事業者以外の市場参加要件の設定や、公正な取引を確保するための措置等、必要な規律を設定することとしており、さらに、取引価格の急騰や急落を回避するための措置としては、排出枠の上下限価格を設定することとされております。
 国として、排出量取引制度の対象事業者が制度の目的に照らして円滑かつ適正な取引を行えるよう、市場の健全な発展に向け、制度整備に取り組んでいくことが重要であると考えております。

○空本委員
しっかりお願いしたいと思いますし、また、このカーボンプライシングの進め方、我が国での進め方なんですが、トランプ政権がパリ協定から離脱、そしてその中の影響としては、やはり世界的にも二酸化炭素を排出している国々の、五〇%以上は中国、アメリカ、インド、こういう国々がこれからCO2排出削減をどう行っていくか、すごく難しい状況になっていくかな、局面を迎えるかなと思っております。
 我が国は、国際協調の下、産業競争力を維持しながらもCO2削減を取り組んでいくということが、各国、また諸外国からは求められている、しかしながら、米国は逆の方向に進んでいく。環境省として、また我が国の環境行政として、トランプ政権に対してどのようにこの環境政策にコミットをしていくのか、大臣よりお答えください。

○浅尾国務大臣
気候変動は人類共通の待ったなしの課題であり、主要排出国を含む全ての国の取組が重要であることに変わりはありません。
 脱炭素の取組に関しては、年限つきのカーボンニュートラル目標を掲げる国は百四十か国以上に及び、地方政府、経済界、NGOなど様々なステークホルダーにも広く浸透しているなど、現在の世界的な潮流になっていると考えております。
 我が国としては、脱炭素と経済成長の同時実現に向け、揺らぐことなく気候変動対策に取り組んでまいります。二〇二六年度より本格稼働する排出量取引制度を含む成長志向型カーボンプライシングについても、重要な取組の一つであり、その実現、実行に向けて引き続き貢献してまいります。
 また、世界の気候変動対策への米国の関与は引き続き重要であり、今後、様々な機会で米国の関係者と話をし、州政府や産業界を含め、米国と協力していく方法を探求してまいりたいと考えています。

○空本委員
米国、なかなか手ごわいと思いますし、また、トランプ政権、これから油をどんどん掘っていくということを言っていますので、そういった意味で、どういうふうにコミットしていくかはすごく難しい問題かな。
 そして、このカーボンクレジットとかカーボンプライシングを進めていくとすると、国内の製造業に対して大きな影響があるのかな。負担や、廃業しなきゃいけない企業も出てくるかもしれません。逆に、事業縮小とか。そういった意味で、国内産業に対してどういう影響があるか、経済産業省、最後、お答えください。

○大串副大臣
お答えいたします。
 GX政策は、経済成長と脱炭素の両立を目指すものでありまして、国内のGX投資促進を通じて、将来的な国民所得や雇用の維持強化にも資する設計とすることが必要であるというふうに考えております。このため、これまでも御説明ありました成長志向型カーボンプライシング構想におきましては、二十兆円規模の投資支援を先行して実施することで、事業者の脱炭素を促進しつつ、カーボンプライシングを段階的に導入する支援、制度、一体型で取り組んでおります。
 これによりまして、日本発の次世代型太陽電池でありますペロブスカイト太陽電池など、今後我が国の産業競争力の核となる技術開発や投資が活性化されることが期待されておりますし、また、カーボンプライシングの導入は、こうした投資支援の原資を創出するのみならず、中長期的な投資の結果、生み出されるGX製品の競争力を向上させ、GX投資の収益性に関する予見性を確保させることで、企業の投資促進のインセンティブともなります。
 このように、支援措置と一体的にカーボンプライシングを講じていくことで、GXに関する国内投資の活性化を実現し、産業空洞化ではなく、産業競争力の強化につなげていきたいというふうに考えております。

○空本委員
ありがとうございます。  カーボンプライシング、逆に、企業の負担は増えます。そういった意味で、産業の空洞化も絶対あり得ると私は考えます。そういった意味で、入れ方。そして、マネーゲームになっちゃいけないので、まあ、行き過ぎたマネーゲームです、金融市場としてはあってもいいのかもしれませんが、行き過ぎたマネーゲームにならないような指導、そして、そういう制度設計、よろしくお願いします。
 ありがとうございました。

○近藤委員長
次に、仙田晃宏さん。

○仙田委員
国民民主党・無所属クラブの仙田晃宏です。  今回、御質問の機会をいただき、ありがとうございます。早速、大臣所信に関する質問に移らせていただきます。
 一つ目は、太陽光パネルについてお伺いいたします。
 近年、太陽光パネルの設置場所が無秩序に拡大し、景観が損なわれたり、防災上のリスクが高まったりするケースも見受けられ、こうした問題に対する取締りや規制強化の必要性が高まっております。
 例えば、熊本県阿蘇山や福島県吾妻周辺など、山一面にパネルが張ってある箇所がございます。私の地元、岐阜県関市では、景観を守ることを目的に独自の政令を制定しており、また、全国三百ほどの自治体でも抑制的な方針を取っていらっしゃいます。これらの自治体の取組に対して、国として参考となる条例の具体的な事例があれば教えていただきたいと思います。
 また、環境省として、地球温暖化対策推進法で自治体に再エネ促進区域を設定してもらい、地域共生型の再エネ事業を誘導されていると思いますが、再エネ促進事業が認定された件数は一件と認識しております。もっと浸透させるべく動いていくべきではないでしょうか。大臣の見解をお伺いいたします。
    〔委員長退席、松木委員長代理着席〕

○大森政府参考人
初めに、自治体の条例についてお答えいたします。
 再エネ促進区域制度につきましては、大臣からお答えさせていただきます。
 では、自治体の条例に関し、全国の自治体において、再生可能エネルギーの導入促進及び規制それぞれの観点から、多くの独自条例が制定されているものと承知しております。規制的な条例の例としては、例えば、再エネの新規設置に当たって届出や説明会の開催義務づけなどを規定しているものがあると認識しております。
 そのほか、例えば宮城県では、再生可能エネルギーの最大限の導入と環境保全を両立するための取組として、再生可能エネルギー発電事業の地域との共生に向けた税条例が制定されていると承知しております。

○浅尾国務大臣
再エネの最大限導入に向けては、環境に適正に配慮され、地域の合意形成が図られることが重要でありまして、このため、地球温暖化対策推進法に基づき、地方公共団体が、地域の協議会等で合意形成を図り、再エネ促進区域の設定等を行う促進区域制度の活用を促しております。
 環境省では、これまで、促進区域設定等に向けた地方公共団体への財政的、技術的支援のほか、具体的な事業の形成に向けた事業者への支援を行っております。
 さらに、令和六年六月に改正地球温暖化対策推進法が成立し、都道府県と市町村が共同して促進区域を設定できることとされたわけでありまして、同改正法は来月に施行されることから、都道府県と市町村の連携をより一層促進し、より積極的な制度の活用を推進してまいります。
 加えて、先般閣議決定された地球温暖化対策計画においても、促進区域制度の活用に関するインセンティブ強化等の更なる対応を検討することとされており、環境省としても必要な検討を進めてまいります。

○仙田委員
大臣、ありがとうございます。
 やはり、再エネの普及の加速については、地域の特性、事情に合わせて、しっかりと地域の声を聞いていく必要があると思っております。是非、地域の方の声をしっかり聞き、柔軟かつ積極的に対応していくことが重要だと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 次に、太陽光発電設備のリサイクル制度についてお伺いさせていただきます。
 この十年で、我が国の太陽光の発電量は二十三倍にも増加し、国土面積当たりの太陽光発電設備量は主要国で最大級とも言われております。太陽光パネルの寿命は約三十年と言われており、こうした太陽光発電設備が今後寿命を迎え、最終処分場に持ち込まれることともなれば、最終処分場の逼迫化、こちらは避けられない問題でございます。また、政府は太陽光発電を今後更に導入拡大しようと計画されており、太陽光発電の出口戦略には大きな懸念があると考えております。
 そこで、具体的に、太陽光パネルがどのようにリサイクルされていくのか、その現状と、リサイクルを進める上での技術的な課題やいい取組事例がありましたら、太陽光パネルのリサイクルの見通しについてお伺いいたします。
 また、今後ますます重要であるリサイクルを行える再資源化事業者の育成や処理能力の向上に向け、早めの支援をお願いしたいのと同時に、太陽光パネルのリサイクルを行える業者の確保の見通しについてもお伺いいたします。
 加えて、そもそも、太陽光発電を大幅に導入する際に、その出口戦略、こちらを考えておくべきだったと考えますが、その検討が現在まで遅れた原因と今後の出口戦略について、環境大臣にお伺いいたします。
    〔松木委員長代理退席、委員長着席〕

○浅尾国務大臣
現在、使用済みの太陽光パネルは、破砕した上で管理型処分場における埋立処分が行われることが多いわけでありますけれども、シリコン型を始めとする太陽光パネルをリサイクルする技術は既に確立し、事業者によるリサイクル設備の導入も徐々に進んできたところであります。
 リサイクルについては、特に重量の六割を占めるガラスの再生利用先が課題でありますけれども、熱処理により再生利用しやすい高純度のガラスカレットを分離できる技術を用いた工場も稼働を始めている状況にあります。
 二〇三〇年代後半から排出量が顕著に増加すると見込まれる中で、こうした高度な技術の開発、設備導入支援を通じ、必要な処理能力の確保に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 また、適正なリサイクル、廃棄を実現するためには、二〇三〇年代後半以降に予想される排出ピークに間に合うよう制度や体制を整備することが重要であり、検討が遅れているとは考えておりません。
 環境省では、経済産業省と合同の審議会を開催し、太陽光パネルの適正な廃棄、リサイクルを確実に行うための制度的検討を進めており、昨年十二月に審議会の報告書案を取りまとめたところであります。
 報告書案について、今後、パブリックコメントでいただいた御意見を精査し、政府内で更に検討を行い、実効的な制度案を取りまとめた上で、可能な限り早期の法案の国会提出を目指してまいりたいと考えております。

○仙田委員
大臣、ありがとうございます。
 埋立地ももちろんでございますけれども、やはりリサイクル技術、こちらの向上と処理能力の向上を強化していくことが一番欠かせないことだというふうに思っております。是非こちらに関する支援をしっかりとやっていただくということと、持続可能な社会への移行、こちらを加速することが期待できるよう、引き続き適切な支援をお願いしたいというふうに思っております。
 次の質問に移らせていただきます。
 次に、浄化槽維持管理における区域割りについてお伺いをさせていただきます。
 昨今、人口減少や過疎化が進んでいる地域では、下水道ではなく浄化槽、こちらの設置が有効な手段だとされております。これからますます浄化槽の役割は増していくと思われます。  そこで、大臣にお伺いいたします。
 私の地元岐阜県では、区域割りを行うことにより、清掃率九五・五%と高い水準を達成しております。区域割りを行い、かつ、一区域に一許可業者をすることにより、適正処理の継続的、安定的処理ができる、また、区割りをすることで清掃率が上がるとの御意見をいただいておりますが、本意見について、環境省としての御意見をお伺いいたします。

○浅尾国務大臣
御指摘の点については、有識者検討会で議論を行ってきたところでありまして、令和六年十一月に公表された検討会の取りまとめの中では、浄化槽の清掃率向上のためには、関係者による連携強化を通じた一括契約の推進や、浄化槽台帳整備の充実が重要であり、清掃率の向上と廃棄物処理法の業許可における区域割りとの関係性は乏しいとされております。
 また、実際に、区域割りがあっても清掃率が低い市町村や、区域割りがなくても清掃率が高い市町村も存在しているところであります。
 環境省としても、有識者検討会で示された結論のとおり、区域割りと清掃率の向上には直接関係がないと考えております。
 清掃率の向上には、浄化槽台帳の整備の充実を通じた各浄化槽管理者の清掃実施状況の正確な把握と、それに基づく自治体からの指導の徹底が必要と考えております。

○仙田委員
ありがとうございます。
 有効な手段ではないというお話ですけれども、現在の清掃率の調査では全国平均約六四%となっております。環境省として、清掃率を上げるために、今御答弁いただきましたけれども、まだやはり六四%、岐阜県では九五%でございます、ですので、九五%まで上げるために支援策を明らかにしてほしいと思っておりますし、いつまでにこのレベルの清掃率まで向上させるつもりなのかという具体的な数値目標を示していただけますでしょうか。
 清掃の計画は、自治体が一般廃棄物処理計画を作成すると聞いております。毎年作成する一般廃棄物処理計画は、全ての市町村で策定しているのでしょうか。お答えをお願いします。

○浅尾国務大臣
清掃率を上げるためには、自治体が、浄化槽台帳に基づき各浄化槽管理者の清掃状況の実態を把握し、清掃の徹底を指導できるようにすることが必要であります。また、清掃を行うに当たって、浄化槽管理者の負担軽減も重要であります。
 こうした観点から、環境省では、自治体の台帳整備や電子化に対する財政支援のほか、資力が乏しい高齢者世帯における清掃費用の負担軽減のための財政支援も実施しております。
 また、今年度中に、自治体向けの維持管理に関する浄化槽管理者への指導マニュアルやデジタル技術を用いた台帳の整備、活用事例集の作成等の取組を進め、台帳の整備とそれを踏まえた浄化槽管理者への指導を促進してまいります。
 清掃率の目標については、清掃率一〇〇%を目指して、引き続き必要な対策に取り組んでまいりたいと考えております。
 加えて、毎年度策定することとなっております一般廃棄物処理実施計画の策定状況については、調査を行ったところ、令和六年十一月七日時点で、千七百四十一市町村中、千五百三十三市町村が策定済みでありました。
 廃棄物処理法により、市町村は一般廃棄物処理計画を定めることが義務づけられており、計画を定めていない市区町村に対しては、早急に計画を策定するよう、都道府県と連携して働きかけを行っております。今後とも、こうした働きかけを積極的に行っていきたいというふうに考えています。

○仙田委員
ありがとうございます。
 是非、今大臣おっしゃっていただきました、一〇〇%を目標、こちらに向けてしっかりとやっていきたいなというふうに思っておりますし、私からの御提案ではございますが、適正処理の継続的、安定的処理、こちらを行うためには、例えば人口減少や過疎化が進んでいる地域、こちらの保守点検や清掃を行う業者が手薄な地域を限定した上で、区割りを導入する、あるいは積極的に導入を図るといった関係法令の改正や市町村への通知を行うということも一つの案かというふうに思っておりますけれども、環境大臣の見解をお伺いいたします。

○浅尾国務大臣
指摘も踏まえて、先ほど申し上げましたような有識者の意見もありますけれども、様々検討してまいりたいというふうに考えています。

○仙田委員
ありがとうございます。
 今後、人口減少そして過疎化の進行に伴い、浄化槽の役割はますます重要になると考えております。環境保全や地域の衛生管理において、浄化槽の適切な維持管理、こちらは不可欠でございます。引き続き、その重要性を踏まえた上での支援策を進めていきますようお願い申し上げます。
 次に、有機フッ素化合物、PFASに関する補助金について、こちらは、前回の委員会でも、また予算委員会の中で同党の森ようすけ衆議院議員にも質問させていただきましたが、今回も引き続きこの問題についてお伺いしたいと思います。
 特に、私の地元、岐阜県各務原市の状況に関してでございます。各務原市では、一年前に実施した血液検査に続き、今回も同様に血液検査を行いましたが、残念ながら血液中のPFAS濃度が依然として下がっていないという結果が出ていると伺っております。この事実は市民の健康に対する不安を引き起こすものでもあり、PFAS対策がいかに急務であるかを改めて認識させられます。
 一方で、PFAS暴露防止のための措置として、水道水施設における浄水処理施設の設置が必要であることは明らかです。しかし、ここで問題となるのは、岐阜県各務原市が計画している活性炭処理施設に関する補助金が、適用ができないという点でございます。具体的には、補助金の申請要件に当たる人口規模要件と資本単価要件を満たしていないため、各務原市は補助金を受けられないという現象が発生しております。
 各務原市では、新たに十七億円をかけて浄水処理施設を建設する計画があり、現行の補助金制度がその支援を拒んでいる現実にありますが、水対策は市民に影響を与えるため、待ったなしの状況で、各務原市では独自の財源で賄う決断を今回されております。この現状は、市民が抱える不安に対して国の支援が十分に機能していないことを示しており、非常に不合理であると考えております。
 そのため、私はこの補助金制度の見直しが急務であると考えておりますが、いかがでしょうか。各務原市のように、地域の実情に応じた柔軟な支援が求められる場合には、要件を緩和することで、全国どの地域でも必要な対策が実行できるようになるはずです。実際、PFAS問題は規模に関係なく影響を及ぼすものと考えており、全国的な対応が求められていると感じております。
 そこで、国土交通省にお伺いさせていただきます。
 現在の補助金制度における資本単価要件や人口規模要件について、これらを緩和する検討を行っているのか。また、今後、地方自治体がPFAS対策を実施する際に、支障なく補助金が受けられるような制度設計の見直しを行う予定はあるのか、見解をお聞かせいただきたいと思います。

○国定大臣政務官
お答え申し上げます。
 水道施設の整備を行うことを含めまして、水道事業の経営に要する経費につきましては、まずは、水道料金収入により賄うことが原則でございます。
 その上で、地形や水源等の条件により施設整備費が割高になるなど、経営条件が厳しい水道事業者等、具体的には、御指摘いただいておりますとおり、経営条件を判断する指標であります資本単価に関する要件と給水人口に関する要件を満たす水道事業者等を対象といたしまして、PFAS対策として行う施設整備への財政支援を行っているのが現状というのは、まさに委員御指摘のとおりでございます。
 他方で、現在、環境省の方におきまして、水道水中のPFOSあるいはPFOAの水道水質基準への引上げ、これにつきまして、二月末からパブリックコメントを行っているというふうに伺っているところでございます。
 今春をめどに方向性を取りまとめ、水道法に基づく省令を改正をし、令和八年四月一日に施行する予定というふうに伺っております。
 私ども国土交通省といたしましては、このような環境省におけますPFASに関する状況も踏まえつつ、引き続き必要な対応の検討を行ってまいりたい、このように考えております。

○仙田委員
ありがとうございます。
 日本のよさは、蛇口をひねったらおいしいお水が飲めるということが一番大事だというふうに思っております。
 本日もここに出されているお水、お聞きしましたら、浄水器を通した水道水とお聞きしました。この水もおいしかったので二杯飲んでしまいましたけれども、やはり水道水、これが日本で飲める、安心神話が一番大事だと思っております。
 各務原市は今、水道水が危ないということで、苦肉にもミネラルウォーターが好調に売れているというふうにお聞きしております。是非、国土交通大臣にもお伝えいただき、そして、水を守るという意味でも、環境大臣からも担当大臣に強く訴えていただければというふうに思っております。
 次の質問に移らせていただきます。
 次は、森林環境税、そして、カーボンクレジットについてお伺いさせていただきます。
 森林環境譲与税は二〇一九年度から市町村及び都道府県への譲渡が開始され、森林環境税は二〇二四年から賦課徴収が始まりましたが、森林環境税の徴収が始まるまでの五年間は、何を具体的な財源として譲与されていたのでしょうか。
 また、森林環境税は、国民一人当たり年千円賦課徴収となっておりますが、現実的にその負担に見合うほどの成果を得られているのか、見解をお伺いいたします。
 現在、森林環境譲与税による具体的な成果は、どのような地域でどのような使い方がされ、そしてどのように上げられてきたのか、この制度を後押しするためにもお示しいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○笹川副大臣
御質問ありがとうございました。
 お尋ねの五年間につきましては、地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金を活用ということでございます。
 また、森林整備につきましては、約千四百の自治体によりまして、十五万ヘクタールの森林整備をさせていただきました。さらには、約一千の自治体の皆さん方に、木材の活用、同時にまた普及啓発ということに取り組んでいただきました。
 やはり、森林整備の中山間、それからまた木材活用の都市部ということで、この税の創設を契機といたしましての交流事業ということも行われているわけでございますので、特に小さい子供たちにとっても、やはり森林が身近に感じられる、そしてもっと木というものも身近に感じてもらえる、必要性を感じてもらえる、そういうことが基本的にはこれからの国産材の活用にもつながっていくというふうにも考えております。
 引き続き、また事例紹介を、それからまた、それぞれの自治体の職員の研修ですとか、そういったことにもしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っております。
 以上でございます。

○仙田委員
ありがとうございます。
 日本の国土面積、約六七%が森林でございます。緑豊かな国土を守っていくためにも、国民の皆様から集めたお金をどう使っていくか、有効な、適切な財源活用を是非お願いしたいというふうに思っております。
 次に、カーボンクレジットについてお伺いさせていただきます。
 国民民主党は、カーボンニュートラルの実現を長期的かつ計画的に進めるため、グリーンイノベーション基金事業の見直しを行い、新たにDCN基金の創設を提案しております。また、岐阜県には独自のGクレジットがあり、ほかの県にも導入を促進するべきだと思っております。これらに関連し、カーボンクレジット及びJクレジットについて幾つか質問させていただきたいと思います。
 まず、Jクレジットに関してですが、温室効果ガスの排出削減、吸収量を認証しているということですが、その認証の基準やプロセスについてお示ししていただきたいと思います。

○秦政府参考人
お答えいたします。
 Jクレジットに関しましては、信頼性の確保の観点から、我が国の排出削減、吸収に資する技術ごとに、対象となるプロジェクトの範囲ですとか、あるいは排出削減、吸収量の算定方法、これらを方法論として規定をしておりまして、これらに適合する必要がございます。
 具体的なクレジットの創出プロセスといたしましては、まず、プロジェクト実施者が、今申し上げました方法論に基づきまして、実施するプロジェクトごとに登録申請を行います。次に、登録されたプロジェクトを実施していく中で、温室効果ガスの削減、吸収量、これを算定いたしまして、第三者機関の認証を受けた上で、最終的に削減、吸収量に相当するクレジットの発行について認証を受ける、このようなプロセスとなってございます。

○仙田委員
ありがとうございます。
 第三者機関の認証ということでございますけれども、この市場についてはこれからどんどんどんどん拡大されていくと思いますが、こちらの事業については登録制になっていくのでしょうか。これからの市場の規模や今後の展望についてお伺いいたします。これからの市場が大きくなっていく中で、取引に規制をかけるなどないよう、制度設計をしっかりと取り組んでほしいと思っておりますが、いかがでしょうか。

○秦政府参考人
Jクレジットにつきましては、二〇二三年から東京証券取引所に市場が開設されております。この市場に参加するに当たりましては、東京証券取引所から登録を受ける必要がございます。
登録に当たりましては、法人、政府、地方公共団体又は任意団体のいずれかであること、あるいは債務超過でないこと等の要件を満たす必要がございます。
 今後の展望でございますけれども、Jクレの認証量、これは順調に増加をしてきております。今後、二〇二六年から本格稼働いたします排出量取引制度においても活用可能とされる見込みでございまして、引き続き、健全な市場発展に向けまして、例えば、客観性、透明性をしっかり担保するための支援システムの改修など、環境整備に努めてまいる所存でございます。

○仙田委員
ありがとうございます。
 最後に、森林環境税についてお伺いさせていただきます。
 森林環境税は、これからも、今後も無期限に賦課されるものなのでしょうか。それとも、一定の基準、役割を終えたら、これは廃止されるものなのか。将来の見通しについてお伺いさせていただきたいと思っております。

○古川大臣政務官
お答えさせていただきます。
 森林環境税及び森林環境譲与税は、地球温暖化防止や災害防止等を図るため、森林整備等に必要な財源を安定的に確保する観点から創設されたものです。法令上、期限等について特段の定めを置いているわけではありませんが、今後においても、森林整備等の推進に当たっては息の長い取組が必要であると認識しております。
 次に、譲与税の活用につきまして、一部の自治体において基金への積立て等が行われていると承知しております。これは、例えば、公共建築物の建て替えに活用するため、複数年分を基金に積み立てているなどの理由によるものと伺っております。
 総務省では、自治体に対して、基金へ積み立てる場合にも、その実施計画を公表するなど住民に対する説明を十分に行っていただくよう、具体的な様式も例示した上でお願いをしているところでございます。
 今後とも、森林環境税に対する国民の理解を深めていくことが重要であるということを踏まえて、林野庁など関係省庁と連携して、譲与税の一層の有効活用を促してまいります。

○仙田委員
ありがとうございます。
 国民の皆様からいただいた税金でございますので、是非有効に活用していただきたいと思っております。
 最後に、既存の建築物等の空調設備についてお聞きさせていただきたいと思います。
 こちらは前回の御質問でもさせていただきましたけれども、学校の体育館の空調設備について、前回の委員会質疑にも、環境省として利用できる補助金を用意しているということをお聞きしております。しかし、まだまだ環境省さんがやっていらっしゃる補助金、こちらを使われているかどうかと言われると、まだ道半ばというふうに理解しております。
 こちらについて、今後、より省エネ化が進むように、例えば、既存建築物を建て替える場合は、空調設備に対して太陽光パネルと省エネ設備を空調とセットで義務化するといった必要があるかと思いますが、そこはどう考えていらっしゃいますでしょうか。大臣、よろしくお願いいたします。

○浅尾国務大臣
環境省では、脱炭素と防災力強化の観点から、小中学校の体育館を始めとする避難施設等に対して、非常用電源としての太陽光発電設備や蓄電池、エアコン等の高効率空調設備等の導入補助を行っております。
 また、小中学校の体育館を含む業務用建築物の省エネ改修やZEB化に対する支援の一環としても、エアコン等の高効率空調設備等に対して導入補助を行っております。
 令和七年二月には、文部科学省から教育委員会宛てに発出した事務連絡において、環境省の事業についても盛り込んでいただいたところであり、引き続き、関係省庁と連携して取組を進め、必要な予算額の確保や周知に努めてまいりたいと考えています。

○仙田委員
ありがとうございます。
 小中学校の体育館は、防災の観点からも非常に重要な施設となっております。国民民主党としても、小中学校の体育館へのエアコン設置、こちらをしっかりと早く、早期にやっていただきたいというふうに思っておりますので、是非大臣、今おっしゃられた認知度と、そしてZEB化事業を含めた周知の徹底をお願いしたいというふうに思っております。
 やはり日本は、森林が多い、風光明媚な国でございます。先ほども申したように、蛇口をひねったらお水が飲めるという国は、世界を見渡しても日本しかないと思っております。水を守る、森林を守る、これをしっかりと訴えさせていただき、私の答弁とさせていただきます。
 ありがとうございました。

○近藤委員長
次に、福重隆浩さん。

○福重委員
公明党の福重隆浩でございます。
 時間が十五分と短いので、早速質問に入らせていただきます。
 昨年の十一月に開催された国連気候変動枠組み条約第二十九回締約国会議で、世界気象機関のサウロ事務局長は、私たちに訴えました。私たちの子供たち、孫たちにとって、地球はどのような姿になっているのか、多くの子供たちの未来に対して責任を感じると。この言葉は、世界の気候変動に対する単なる警鐘ではなく、未来への深い責任感を私たちに突きつけました。
 今年一月、WMOの発表した報告は、その懸念を現実のものにしました。二〇二四年の地球表面平均気温が観測史上最高を記録し、気候変動対策の国際ルールであるパリ協定で気温上昇を抑える目標とする、産業革命前からの上昇幅一・五度を単年度で超えた、つまり人類が長年恐れてきた臨界点を、単年度とはいえ、現実の上で超えてしまったのです。
 地球は先祖から譲り受けたものではなく子孫から借りたものであるとの格言があるように、未来の世代の立場に立って、地球環境を保全していくことが私たちの責務でございます。
 今年の十一月、気候変動に関する国際的な条約への署名が始まった原点の地であるブラジルにて、COP30が開催されます。この歴史的な場所で、私たちは再び地球温暖化対策の重要性を共有し、行動を加速させる必要があります。
 国際協調がこれまで以上に求められる今、脱炭素への取組を決して後退させることはなく、産業構造を大胆に転換し、経済成長と環境保全を両立するための道筋を示す必要があると考えます。
 環境大臣としてこの難局にどのように立ち向かわれるのか、その御認識と御決意をお伺いいたします。

○浅尾国務大臣
お答えいたします。  気候変動は、今福重委員が御指摘のとおり、人類共通の待ったなしの課題であり、主要排出国を含む全ての国の取組が重要であることには変わりはありません。
 我が国は、官民が、予見可能性を持って、排出削減と経済成長の同時実現に向けた取組を進めるため、二〇五〇年ネットゼロの実現に向けて、たゆまず直線的に排出削減を進める経路として、二〇一三年度比で、二〇三五年度六〇%減、二〇四〇年度七三%減という目標を設定いたしました。
 この目標の実現には、産業構造、インフラ、国民のライフスタイルといったあらゆる面での変革が必要であり、今後、政府、自治体、企業、国民がこの目標を共有し、実現に向けて行動することが極めて重要と認識しております。
 環境省としては、計画の継続的なフォローアップ等を通じ、関係省庁連携の下で、施策の着実な実施や柔軟な見直し、強化を図っていくとともに、自らも、地域、暮らしといった需要側などの分野を中心に、脱炭素と経済成長の同時実現を目指すGXに向けた取組を主導してまいります。
 また、欧州やアジア諸国と連携し、我が国の経験や技術等も活用しつつ、揺らぐことなく気候変動対策に取り組んでまいります。
 こうした我が国の取組について、COP30などの機会を捉えてしっかりと発信していきたいと考えています。

○福重委員
大臣の強いリーダーシップに期待をいたしますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、温室効果ガスの世界的な排出削減、吸収に貢献するため、途上国等の状況に柔軟かつ迅速に対応した技術移転や対策実施の仕組みを構築すべく、我が国は二国間クレジット制度を実施しており、開発途上国との協力を深め、共に脱炭素社会を築くための重要な制度であるものと認識をしています。
 二〇二四年の二月の参議院本会議で、公明党の元代表の山口常任顧問は、二国間クレジット制度について、ベトナムに完成した廃棄物発電施設を例に、温室効果ガスの排出削減のみならず、現地での雇用創出や経済発展などの効果が期待されることも挙げられ、二国間のクレジット制度の拡大へ、関係国と協議の加速や日本企業が参加しやすい支援の充実に取り組む必要性を強く訴えました。これに対して岸田前総理は、JCMの実施体制を強化し、パートナー国拡大に取り組むとともに、日本企業への資金及び技術面での支援を拡充すると答弁をされました。
 政府は、二〇二五年をめどにパートナー国を三十か国に拡大するという目標を掲げております。パートナー国で、民間JCMを含む効果的かつ効率的なJCMプロジェクトを実現するために重要なことは、適切な案件形成、制度の構築、運用、そして信頼性を担保する測定、報告、検証の促進が不可欠であります。
 JCMは、日本の技術と開発途上国の発展を融合させ、地球規模の課題解決に貢献する希望のプロジェクトであると考えておりますので、是非、政府の力強いリーダーシップと行動により、制度の拡充に努めていただきたいと思っております。
 そこでお伺いをいたしますが、パートナー国との信頼関係を築き、JCMプロジェクトを円滑に進めるために、政府はどのような戦略を描いているのでしょうか。また、国際社会から信頼を得るため、MRVの促進にどのように取り組んでおられるのでしょうか。御答弁をお願いいたします。

○土居政府参考人
お答えいたします。
 パートナー国との信頼関係を築き、二国間クレジット制度、JCMのプロジェクトを円滑に進めるため、効果的、効率的にJCMプロジェクトを実施することが極めて重要だと考えております。このため、環境省といたしましては、関係省庁と連携をし、今般改正をいたしました地球温暖化対策計画に基づきまして、JCMの適切な案件形成や、測定、報告、検証の促進などに取り組んでいく所存でございます。
 具体的には、案件形成に当たりまして、今後、従来からの省エネルギー、再生可能エネルギー等の分野に加えまして、農業、泥炭地管理などの非エネルギー分野の排出削減等、幅広い分野、領域への拡大を図るとともに、特に削減ポテンシャルの大きい案件の発掘、形成を優先的に進めたいというふうに考えております。
 また、国際社会から信頼されるクレジットの創出を促進すべく、新規方法論の策定や、排出・吸収量の測定、報告、検証制度につきましては、事業者による事業の実績に基づくモニタリングレポートの作成や第三者機関によるモニタリングレポートの検証など、官民の幅広い関係機関とも連携しながら、積極的に支援をしてまいりたいというふうに考えております。

○福重委員
御答弁ありがとうございました。
 積極的な支援を是非よろしくお願いしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 次の質問に入ります。
 二〇二三年度に内閣府が実施した気候変動に関する世論調査の結果が示されました。これによりますと、気候変動への関心が高いのは五十歳代以上であり、若者の間では比較的低いという結果が出ております。ある学者の方は、このような世代間ギャップが生まれた背景には、若者がマスメディアに接する機会が少ないために、共通のアジェンダが共有されにくい状況があるのではないかと推察されておりました。
 先月二十七日、日本若者協議会と公明党青年委員会で若者政策を議論する日本版ユースパーラメント二〇二四を実施し、気候変動についても政策提言を受けました。彼らの声は単なる意見の表明ではなく、未来への切実な叫びであり、自分たちの未来が自分たちの声によって形作られていることを強く望んでおります。
 日本若者協議会は、以前から若者の政策決定への参加を訴えており、一昨年の同協議会の提言には、気候変動の問題は若者や子供に直接影響を与える施策だと考えられるが、日本の政策決定の過程では若者が十分に参加できておらず、今後各審議会等の議論の場に若者が参加することが求められると指摘されておりました。
 若者たちの意識を変える鍵は、彼らを傍観者から参加者へと変えていくことにあると思います。若者の声に耳を傾け、彼らを政策決定のプロセスに巻き込むことが重要であり、それこそが私たちが未来の世界に果たすべき責務ではないでしょうか。
 若者の声に耳を傾け、彼らとともに未来を創造するという政府の強い御決意をお伺いいたします。

○浅尾国務大臣
気候変動について、若い世代のことについて取り上げていただきまして、ありがとうございます。
 気候変動は、言うまでもありませんが、将来にわたり取り組み続けることが必要な課題であり、これからの社会の中心を担う若者世代により一層の問題意識を持っていただきたいと考えています。
 その上で、我が国の温室効果ガス削減目標の実現には、産業構造、インフラ、国民のライフスタイルといったあらゆる面での変革が必要であり、気候変動による負担を将来世代に残さないためにも、今後、政府、自治体、企業、国民が、この目標を共有し、実現に向けて行動することが極めて重要であると考えております。
 こうした観点から、引き続き、目標実現に必要な施策の検討、実施の過程で、若者を含む多様なステークホルダーとの対話を実施し、御意見等を丁寧に伺ってまいりたいと思っております。

○福重委員
ありがとうございました。
 昨日、私は、十五団体の若い方々とお会いをさせていただきました。もう本当に彼らは真剣です。将来、地球のことを思い、真剣に行動されておられます。彼らの声をしっかりと受け止めていただきたいと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 時間がございませんので、サーキュラーエコノミーに関する環境配慮行動へのインセンティブについて端的にお伺いをいたします。
 国民の皆様が日常生活の中で自然とサーキュラーエコノミーに貢献できるような仕組みを構築することが重要だと考えます。具体的には、衣食住など生活に密着した分野で、リサイクル製品の購入やシェアリングサービスの利用など環境配慮行動に対してのインセンティブを付与する仕組み、例えばリサイクル製品、消費期限間際の商品を購入した際のポイント付与等、消費者に目に見える形でのお得感を実感できる仕組みを推進することが必要と考えます。
 ただいまの例示のような環境配慮行動へのインセンティブ付与について、実現の可能性や効果についてどのように評価されているのか。また、具体的な検討状況や導入に当たっての課題と対策について、政府の御見解をお伺いいたします。

○角倉政府参考人
お答え申し上げます。
 ただいま御指摘いただきましたとおり、サーキュラーエコノミーを推進するために消費者に対し環境配慮行動を促すことは重要であり、インセンティブ付与については、行動変容を促すために効果的な取組の一つであると考えております。
 こうした考え方の下、例えばプラスチック資源循環法に基づく判断基準におきましては、コンビニ等でのストローやスプーン等のワンウェーのプラスチックの使用を削減するための手段としてのポイント還元などの措置も定めているところでございます。
 また、脱炭素の国民運動であるデコ活におきましても、令和六年二月に策定いたしましたくらしの十年ロードマップにおいて、衣食住などの全ての生活領域で、行動変容が促される経済的、社会的なインセンティブを持続的かつ分かりやすい形で国民、消費者に提供することという方向性を定め、インセンティブを受ける機会がより必要であるといった課題も認識しながら、取組を進めているところでございます。
 引き続き、こうした取組を通じて、ただいまいただきました御指摘も踏まえ、消費者の行動変容を促し、サーキュラーエコノミーを推進するよう、更に取組を進めてまいりたいと考えております。

○福重委員
どうもありがとうございました。  これが、やはり国民の理解を深めていくということがこの運動を進めていく鍵だと思っておりますので、是非よろしくお願いしたいと思いますので、お願いいたします。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

○近藤委員長
次に、北野裕子さん。

○北野委員
参政党の北野裕子でございます。
 今回は、質疑の御機会をいただき、本当にありがとうございます。前回に引き続き、脱炭素政策に関することを御質問させていただきたいと思います。
 我が国の政府は、パリ協定に基づく新たな温室効果ガス排出の削減目標を、二〇三五年までに一三年度比マイナス六〇%、四〇年度までにマイナス七三%削減と設定をして、二月十八日に国連に提出をいたしました。しかし、CO2排出量世界第二位のアメリカが、パリ協定からの脱退をトランプ大統領が先日表明したことで、日本も、同協定からの脱退を含め、改めて慎重に議論をしていく必要があるのではないかと考えております。
 お手元に配付しております資料、まず、一本線の方を見ていただければと思います。そもそも、世界のCO2排出量なんですけれども、一九七一年は約百六十億トンでございました。二〇二二年で約三百八十四億トンとなっております。国別にしますと、裏でございますね、一位が中国、そして、二位がパリ協定脱退表明をしましたアメリカでございます。三位がインド、四位がロシアとなっております。
 そして、排出量一位の中国や三位のインドが十分な削減努力を行っていない状況の中で、日本が削減目標を追求することは、国際産業力の競争の低下や経済停滞を招くおそれがあります。特に、再生可能エネルギーの導入に伴いまして、コスト高や電力供給の不安定性が指摘されております。現にエネルギー価格の高騰と産業空洞化により経済が弱体化したドイツのわだちを踏んではいけません。
 また、アメリカ・トランプ政権がエネルギー優位性戦略を推進し、化石燃料の生産と輸出を拡大する中で、日本がパリ協定に拘束され続けることは、必ずやトランプ政権から批判を受け、日本のNDC等の見直しを求められます。現に、バンス副大統領はドイツのエネルギー政策転換を厳しく批判しております。この点を踏まえますと、過度な脱炭素政策を進めるようなことがあってはなりません。
 以上の点から、日本は、パリ協定からの脱退も含め検討をし、国際的なエネルギー戦略の再構築を図るべきだと考えます。これは、国際産業の保護、経済成長の維持、そしてエネルギー安全保障の強化のために必要なことだと考えられます。この点について、浅尾環境大臣の所見をお伺いいたします。

○浅尾国務大臣
気候変動は国民生活に既に影響を与えており、人類共通の待ったなしの課題であります。主要排出国を含む全ての国の取組が重要であることに変わりはありません。
 脱炭素の取組に関しては、年限つきのカーボンニュートラル目標を掲げる国は百四十か国以上に及び、地方政府、経済界、NGOなど様々なステークホルダーにも広く浸透しているなど、現在の世界的な潮流になっていると考えています。
 こうした中、我が国は、先月、地球温暖化対策計画やGX二〇四〇ビジョンなどを閣議決定したところであり、二〇五〇年ネットゼロに向け、脱炭素と経済成長の同時実現を目指すとの方向性は揺るぎないものであります。
 我が国としては、パリ協定からの脱退は全く想定しておらず、引き続き、パリ協定の下、関係各国と協調しながら気候変動対策に取り組んでまいります。
 その上で、世界の気候変動対策への米国の関与は引き続き重要であり、その米国の政策動向を注視しつつ、様々な機会を通じて、米国との協力について探求してまいります。

○北野委員
御答弁ありがとうございます。
 パリ協定なんですけれども、IPCCという政府間パネルの意見を参考に、温室効果ガスの削減目標を算出しております。
 次の質問なんですけれども、IPCCの科学的根拠に焦点を当ててまいります。
 トランプ政権の政策は化石燃料の安価な利用を通じて経済成長を優先しており、米国は、エネルギーコストを抑え、製造業の復活を図っております。一方で、日本の再生可能エネルギーへの移行は、電力コストの上昇を招き、産業競争力をそぐ可能性があります。
 最近の議論では、IPCCの第六次評価報告書の太陽変動の扱いに問題があると指摘されております。内容は、IPCCは、気温の計算の中で、太陽定数を一定と仮定することで、自然な気候変動要因を過小評価し、人的要因を過大評価していると主張がされております。例えば、二〇〇一年の太陽放射の増加がIPCCのモデルで無視されているとの指摘があり、これは最近の気温上昇の理解に影響を与える可能性があります。
 この議論は重要です。なぜなら、日本の脱炭素政策はIPCCの科学的コンセンサスに依存しているからです。もしこのIPCCの仮定が誤っていれば、日本の脱炭素政策ですね、脱炭素の目標、正当性が問われてしまいます。
 令和七年二月の環境政策委員会の資料では、IPCCの科学的根拠を基に政策を推進するとされており、太陽変動の扱いに関する批判は無視されています。IPCC自体も、太陽放射強制力の科学的理解レベルが低いことを認めております。つまり、まだ議論の最中であるのにもかかわらず、日本の方針を決めることに大きなリスクを私は感じております。
 このように、世界的にもIPCCの第六次報告書の太陽変動の扱いに関する批判が出ている中で、二点お伺いいたします。
 まず一点目、IPCCの太陽定数を一定とすることに関する科学者の疑念を環境省としては政策には考慮されないのでしょうか。そして二点目、仮に太陽定数が一定ではないとの結論に変更された場合、今の日本の環境政策も変更が必要だと考えますが、その際は変更されないのでしょうか。環境局長、御答弁をお願いいたします。

○土居政府参考人
お答えいたします。  太陽変動につきましては、気候変動に関する政府間パネル、いわゆるIPCCが二〇二三年三月までに発表いたしました最新の第六次評価報告書におきまして、一八五〇年から一九〇〇年を基準とした二〇一〇年から二〇一九年の世界気温上昇の要因といたしまして、太陽活動及び火山活動はマイナス〇・一度からプラスの〇・一度の変化に寄与したという可能性が高いという評価をしております。一方で、人間の影響につきましては、プラス〇・八度からプラス一・三度の変化に寄与したという可能性が高いという評価をしております。
 この報告書につきましては、日本政府から推薦した研究者を含めまして、世界の第一線の研究者が幅広く論文を収集した上で執筆をしておりまして、執筆者以外の研究者からのレビューを受け作成されたものであり、科学的中立性が担保されたものと理解しております。
 現在、更に研究が各地で進んでおりますので、IPCCの第七次評価報告書の作成に向けた作業が始まっておりまして、その動向を注視しつつ、常に最新の科学的知見に基づいて取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

○北野委員
ありがとうございます。
 IPCCの判断を現段階では全面的に信頼しているというふうに理解をいたしました。
 そもそも、温室効果ガスと気温の上昇関係についてでございますが、CO2の濃度が上昇するから気温が上昇するのではなく、むしろ逆で、気温上昇がやや先であるとする研究があります。これは、南極で採掘された氷の中の空気成分を分析したものから得られた結果でございます。
 気温上昇のきっかけは、CO2濃度の上昇ではなく、地軸のずれ、公転の軌道、周期変化などによる日射量の変化によるものが示唆されております。気温上昇がCO2濃度の上昇に起因することに疑問を投げかける研究でございます。
 このように、天文学的外因は様々あり、地球環境の変動を考える上で重要なファクターでございます。この事実を踏まえ、近年の気温上昇においては太陽活動を無視するというIPCCの報告を全面的に、また、ほかを顧みずに信頼することは大変危険だと思います。
 なぜなら、脱炭素という名目に対して、GX関連予算として官民合わせて十年間で約百五十兆円ものお金が使われているからです。後になって脱炭素政策は実は誤りでしたでは、取り返しがつかないような金額でございます。国全体を巻き込んで多額の予算をかけて脱炭素政策を進めるのであれば、ありとあらゆる可能性を考慮し、国民が納得できるように丁寧に説明をし、合意を得た上で実行していく必要があると考えます。
 実際に、アメリカのトランプ大統領も気候変動対策に取り組むことの合理性に異議を唱え、パリ協定を脱退したものと推測いたします。それでもなお、政府は、IPCCのような政治的な国際機関に方針策定を委ね、温室効果ガスの排出を今後も多額の予算をかけて削減していくような方針を変えられないのですか。それをお伺いいたします。
 また、IPCCの中に日本の研究機関が関わっていると思いますが、人間活動が主に温室効果ガスの排出を通して地球温暖化を引き起こしたことには疑う余地がないと結論づけるに至った、国民が納得する資料があればお示しください。

○浅尾国務大臣
気候変動に関する政府間パネル、いわゆるIPCCは、最新の報告書において、人間活動が主に温室効果ガスの排出を通して地球温暖化を引き起こしてきたことには疑う余地がないこと、人為的な気候変動は既に世界中の全ての地域において多くの気象と気候の極端現象に影響を及ぼしていることを報告しております。
 これは、自然科学的根拠を担当する第一作業部会において、世界の第一線の研究者が一万四千件以上の文献に基づき取りまとめた知見を根拠とするものであり、政策の科学的な基礎になると考えています。
 また、IPCCの報告書については、引用した文献名は全て公表され、専門家や各国政府により透明性や客観性がある形で確認が行われております。
 その上で、我が国としては、パリ協定からの脱退は全く想定しておらず、引き続き、パリ協定の下、関係各国と協調しながら気候変動対策に取り組んでまいります。

○北野委員
ありがとうございます。
 太陽変動なんですけれども、歴史的には、十七世紀から十八世紀にかけましてマウンダー極小期と呼ばれるミニ氷河期がありました。これは、太陽の黒点活動が著しく低下したことにより、異常な寒さが記録されました。これにより、ロンドンのテムズ川は凍り、作物は不作であったとされております。
 このように、地球規模で見ますと、日射量、温室効果ガス濃度、大気循環その他の要因は、何一つとして変化しないものはありません。経産省も、太陽フレアの影響で通信機器に影響が出ているとおっしゃっております。電波に関して地球に影響があるのに、なぜ気温は地球に影響がないのか、私はそこが不思議だと思います。
 私は、IPCCが、科学的というよりも政治的な機関であり、それに依存し、日本国民の経済が左右されることにリスクを感じます。それを踏まえた上で、次の質問に移らせていただきます。
 これまで述べてきましたとおり、参政党は、行き過ぎた脱炭素政策に反対をしております。なぜなら、IPCCのように民主的なコントロールが及んでいない国際的な枠組みの中で政策の方向性が決められ、世界の脱炭素ビジネスに私たち国民がつき合わされている気がしてなりません。
 具体的には、電気料金やガソリン代の値上げ、増税のように、国民の負担を強いるものであれば、それは行き過ぎた脱炭素政策であるというのが私たち参政党の考えでございます。ですから、脱炭素と経済成長を目指すとしても、それは国民生活に負担のない範囲で目指すべきものだと考えます。
 そこで、質問でございます。第七次エネルギー計画の中では、FIT、FIP制度による国民負担、すなわち再エネ賦課金の抑制が主なものとして挙げられておりました。その中に国民負担の抑制を図りながらという文言がありますが、ここでの国民負担の抑制には、電気料金やガソリン代の値上げなどを抑制する意味合いは含まれていますでしょうか。御答弁、お願いいたします。

○木原政府参考人
お答え申し上げます。
 エネルギー政策については、安全性を大前提に、エネルギー安定供給、経済効率性の向上と環境への適合を図るというSプラススリーEの原則に基づいて検討を実施しているところでございます。
 御指摘のエネルギー基本計画の記載に関しては、こうした考えを踏まえ基本方針を示している箇所でありまして、経済効率性の観点から、再生可能エネルギーに関して、国民負担の抑制を図る旨を示しているものでございます。
 その上で、第七次エネルギー基本計画に明記しているとおり、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて、脱炭素化の取組を実行していく上では、脱炭素化に伴う社会全体のコストを最小化していくことが重要というふうに承知しております。特に、今後、排出削減を進めていくにつれて、対策コストが相対的に高い対策にも取り組む必要があるため、経済合理的な対策から優先的に導入していくといった視点が不可欠でありまして、SプラススリーEの原則に基づいて、脱炭素化に伴うコスト上昇を最大限抑制するべく取り組んでいく方針を明確にしております。

○北野委員
御答弁ありがとうございます。
 つまり、脱炭素政策において、国民生活の負担を抑制するという文言は、具体的かつ明確な定義が我が国にはなく、漠然と含まれている程度で、これは非常に残念なことであり、私はここが最大の問題点だと考えております。
 そもそも、この質問の背景でございますが、現在、税と社会保険料を合わせまして、国民負担率、四六%と高くなっています。その中で、今、電気代が高騰、私たち国民生活に重くのしかかっております。この中で、一因として、過度なエネルギー政策ですね、再エネ政策があります。
 政府の脱炭素政策に関わることなので、今後実施予定の脱炭素政策において、是非、国民に負担をかけないよう、電気代やガソリン代の抑制に関する具体的な規定や文言を明記していただきたいのですが、このことについて、環境大臣、お聞かせいただけますでしょうか。
○浅尾国務大臣
我が国が将来にわたって豊かな国として存続し、全ての国民が希望を持って暮らせる社会を実現するためには、二〇五〇年ネットゼロに向け、脱炭素、エネルギー安定供給、経済成長を同時に実現していく必要があると考えております。
 そのためには、政府として、国際的なエネルギー市場の影響を受けやすい化石エネルギーへの過度な依存からの脱却にも貢献しつつ、経済成長につながるGX政策を推進することで、脱炭素化を図っていくことが重要だと考えております。
 先月閣議決定した地球温暖化対策計画においても、御指摘の国民生活への負担の抑制については、エネルギー政策における脱炭素化に向けた取組の実行に当たっては、脱炭素化に伴う社会全体のコストを最小化していく視点が重要であることや、再エネについて、地域との共生と国民負担の抑制を図りながら最大限の導入を促すことなどのお考えをお示ししております。
 このような考えの下、国民負担の抑制を図りながら、脱炭素、エネルギー安定供給、経済成長の同時実現に向けて、政府一体となって取り組んでまいりたいと考えております。

○北野委員
ありがとうございます。
 ちょっといろいろ聞きたいことがあったので、もうお時間がないので、ちょっと締めさせていただきたいと思います。
 先ほどおっしゃっておりました、国民の負担がかからないように是非していただきまして、私たちの生活が少しでも楽になるようにしていただければと思っております。今、全国を回らせていただきますと、あちらこちらでやはり、生活が苦しいというお声をいただきます。再エネ賦課金はステルス増税のようなものです。皆さん、本当に苦しんでおられますので、私たち参政党は、どの政策においても、国民を置き去って、負担を押しつけるような政策であれば、絶対的に反対でございます。
 皆さん、総理もおっしゃっておりましたように、寄り添う政治を一緒にしていければと思いますので、環境省だけではなく、全委員会を含めて、よりよい日本を実現していけたらと思っております。
 私からの質問は以上となります。ありがとうございました。

○近藤委員長
次に、竹上裕子さん。

○竹上委員
本日は、お時間をいただきまして、ありがとうございます。日本保守党の竹上裕子でございます。
 日本保守党は、重点政策で、再エネ賦課金の廃止を掲げております。本日は、太陽光発電を切り口に、再生可能エネルギーの固定価格買取り制度の問題点を指摘し、そして、政府へ再エネ賦課金の廃止をお願いしたいと考えております。
 まず、再生可能エネルギーの固定価格買取り制度、通称FITと言っておりますが、二〇二四年度は、国民負担となる再エネ賦課金の総額が二・七兆円に上っております。標準的な一世帯当たりの負担額は年間にして約一万七千円、そういう計算になっております。また、二〇一二年度、制度開始以降、この再エネ賦課金の総額は、累積にして約二十三兆円もの膨大な金額となっております。今後もますます国民負担が増大していくことが予想されます。
 A3の大きなプリントを御参照ください。
 再エネ賦課金の総額として、そして買取り総額、この買取り総額に対して、販売電力量の方はほとんど変わっていないというか、減っている状況が見えております。
 そして、もう一つのプリントのグラフを御覧ください。
 再生可能エネルギーの固定価格買取り総額の中で、現在約七割を占めるのは太陽光発電ですが、太陽光発電のパネルの多くは中国製であります。その中国製パネル、太陽光パネルの国内シェア、再生可能エネルギーの固定価格買取り制度が開始されたのは二〇一二年、国産が七割でした。外国産が三割でしたが、二〇二二年は約九割が外国産となっています。このうち、約八割が中国からの輸入となっております。日本の太陽光パネル産業が、ほとんど壊滅状態に近いという状況になっております。
 また、中国製の太陽光パネルは、中国の政府による不当な補助金により競争が阻害されている、そういう声も聞こえてまいります。我が国としても、国産パネル産業をどうするかの戦略的見直しが待ったなしの状況、そのように考えております。
 加えて、日本保守党の衆議院議員島田洋一が令和六年十二月十七日に提出した質問主意書によれば、中国製の太陽光パネルは、アメリカなどでは、ウイグル人らへの強制労働への関与の疑いがあるとして、既に輸入禁止措置が取られています。アメリカの次期国務長官に指名されているマルコ・ルビオ上院議員は対中強硬派で知られていますが、迂回輸入などの抜け穴さえも塞ぐ、そういう輸入禁止措置の強化を推進してきております。
 なぜ、再エネ賦課金という日本国民の負担で、人権問題を抱えている中国製の太陽光パネル会社をもうけさせる必要があるのか。その意味で、再生可能エネルギーの固定価格買取り制度は大いに疑問があると言わざるを得ません。
 では、質問です。
 再エネ賦課金の、標準的な一世帯当たり年間にして約一万七千円、この負担、日本全体で年間二・七兆円、二〇一二年以来、累積で二十三兆円もの金額を国民が負担しております。ここの最後の部分に当たります。再生可能エネルギーの固定価格買取り制度において年々増加する再エネ賦課金は、実質的なステルス増税であると考えますが、見解を伺います。

○木原政府参考人
お答え申し上げます。
 再エネ賦課金は、再エネ特措法に基づいて、再エネ電力の買取り等の原資にするために、再エネ導入のメリットを受ける電気の利用者の皆様に御負担いただくものでございます。
 再エネ賦課金の単価については、再エネ特措法に基づいて、年度の開始前に、経済産業大臣が法定の算定方法にのっとり設定しまして、その水準を公表してございます。また、具体的な再エネ賦課金単価の額については、各電気の利用者の皆様に対して電力会社から送付される検針票にも明記することで、透明性の確保を図っているところでございます。
 今後とも、電気の利用者の皆様の御理解をいただくべく、適切な情報発信を行ってまいりたいと考えております。

○竹上委員
ありがとうございます。
 再エネ特措法に基づくという点、それから経産大臣による算出という点で、ある種の税と受け取らせていただきたいと思います。
 では、二つ目の質問です。
 中国製のパネルを使用する場合、再生可能エネルギーの固定価格買取り制度の対象外とするには、再エネ特措法の改正が必要となりますでしょうか。また、中国製パネルを再生可能エネルギーの固定価格買取り制度の対象外とすべきと考えますが、その見解を伺います。

○木原政府参考人
お答え申し上げます。
 WTO協定上、原則、法令の規定等において、輸入品に対して国産品よりも不利な待遇を与えることは禁止されております。
 再エネ特措法においては、太陽光パネルの製造国等によらず、安定的かつ効率的に発電を行い、適切かつ着実な解体を実施するという観点から、設備が適切な構造であることを認定基準としております。
 その上で、御指摘の太陽光パネルを含む再エネの導入拡大に当たっては、我が国の産業競争力の強化につなげるべく、国産技術の活用促進に取り組んでいるところでございます。
 太陽光パネルにつきましては、日本発の技術であり、主要な原料であるヨウ素も日本国内で調達可能なペロブスカイト太陽電池の開発、社会実装を進めておりまして、こうした取組を通じて、再エネ関連産業の国内サプライチェーンを強化し、特定国に過度に依存しない強靱なエネルギー構造への転換を進めてまいりたいと考えております。

○竹上委員
本当に、国産技術の開発、そしてペロブスカイトの更なる開発を期待しているところでございます。
 では、三つ目の質問に入ります。
 A3の表から、買取り総額が増えても販売電力量が変わらない、それから、再エネ特措法に基づくという点で、再生可能エネルギーの固定価格買取り制度、そして再エネ賦課金の運用実態がまず適正であるかどうか、会計検査院が検査すべきだと考えますが、会計検査院の見解を伺います。

○片桐会計検査院当局者
お答えいたします。
 御指摘の固定価格買取り制度は、電気の使用者が電気料金の一部として小売電気事業者に対して再生可能エネルギー発電促進賦課金を支払い、その賦課金を原資として、電力広域的運営推進機関がFIT交付金を交付するなどの仕組みであると承知しております。
 この制度のうち、賦課金の支払いや交付金の交付は、憲法、会計検査院法等により会計検査院の検査対象として定められている国の収入支出の決算等に該当せず、会計検査院の検査の対象とはならないものでございます。
 他方、経済産業省がこの制度を円滑に運営するためとして国庫補助事業や委託事業を実施していることを承知しておりまして、これらにつきましては会計検査院の検査対象でありますことから、憲法、法律で与えられた権限の範囲において、今後も適切に検査を実施してまいりたいと考えております。

○竹上委員
大変残念な部分と、きちんとこれからもやっていただきたいと思います。
 では、四つ目の質問です。
 太陽光発電設備のCO2排出量は、パネルの製造、建設、運転、廃棄に至るまでのライフサイクルの中で見た場合、必ずしもCO2排出量が少ないとは言えません。特に、中国製パネルを利用した場合には、製造時に石炭を多用して造られている、CO2排出量が増大するということが指摘されています。
 太陽光発電設備のCO2排出量について、どのように考えていらっしゃいますか。その根拠と併せて見解を伺いたいと思います。

○土居政府参考人
お答えいたします。
 中国製の太陽光パネルにつきましては、中国国内での製造時の電力の排出係数やパネルに使用されています部素材の供給元の情報などが一般的には公開されていない場合が多いことから、中国製の太陽光パネルの製造に伴いますCO2排出量を正確に評価することは困難であるというふうに認識しております。
 中国製の太陽光パネルの製造に伴うCO2排出量を算定した例はあるというふうには認識しておりますが、前提条件の設定の仕方など非常に幅があるというふうに考えておりますので、一律のものをお示しするのは現時点では困難だというふうに考えております。

○竹上委員
公開されていない、そういう部分における、そういうソーラーパネルを利用しているということについては、やはり非常に不安なところがあります。今後の調査を待ちたいと思います。
 では、五つ目の質問です。
 日本保守党の島田洋一議員が令和六年十二月十七日に提出した質問主意書において指摘しているとおり、太陽光発電には、CO2排出削減の実効性の疑義、それから災害時の危険性、経済性の悪さがあります。二〇一二年より十年間続けられてきている再生可能エネルギーの固定価格買取り制度と再エネ賦課金は即刻廃止すべきと考えていますが、政府の見解を問います。  特に、アメリカのトランプ大統領、本当にパリ協定から脱退を勧告しておりますので、よろしくお願いいたします。

○木原政府参考人
お答え申し上げます。
 すぐに使える資源に乏しいという我が国の固有事情を踏まえれば、エネルギー安定供給と脱炭素を両立する観点から、特定の電源や燃料源に過度に依存しないよう、バランスの取れた電源構成を目指していくことが重要でございます。こうした中で、再生可能エネルギーの導入を進めていくことが必要だと考えております。
 他方で、再エネの導入拡大に伴って、委員の御指摘にもありますとおり、安全面、防災面、環境への影響など、地域への懸念が顕在化してきておりまして、地域との共生が重要な課題となっております。
 このため、昨年四月には改正再エネ特措法を施行するなど、事業規律の強化に取り組んでおりまして、FIT、FIP制度において、例えば、関連法令に違反する事業者には、早期の是正を促すために、FIT、FIP交付金を一時停止する措置を導入するとともに、防災面や環境面を含む事業内容を周辺地域の住民へ説明することをFIT、FIP認定の要件とするなど、厳格に制度を運用しているところでございます。
 加えて、国民負担の抑制も重要な課題でありまして、その観点から、FIT、FIP制度において、買取り価格の引下げや入札制の活用などによるコストの低減も進んでいるところでございます。さらに、FIT、FIP認定後の迅速な事業実施を促すために、一定期限までに運転開始に向けた進捗が見られない未稼働案件のFIT、FIP認定を失効させる制度を導入しまして、これまでに約六万件の認定が失効となっております。
 引き続き、関係省庁とも連携しながら、政府全体で地域との共生と国民負担の抑制を前提に進めてまいりたいと考えております。

○竹上委員
ありがとうございます。
 未稼働で六万件も失効しているという状況、一応、日本保守党としては、再生可能エネルギー、そして再エネ賦課金の廃止を訴え続けさせていただきたいと思います。
 では次に、重要施設周辺における問題点について提議したいと思います。
 日本保守党は、重点政策の一つとして、外国勢力による不動産、特に土地の売買、買収の禁止を掲げています。この重点政策に関わりのある重要土地等調査法、重要施設の周辺等を注視区域や特別注視区域として指定し、土地等の利用状況について調査を行い、問題となる行為が確認されれば勧告、命令を行うことができるという内閣府所管の法律です。
 ところが、施行されてから三年近くたちますが、調査の方法も内容も体制も十分に整っているとは言い難い面があります。また、市谷の防衛省本省や入間基地といった防衛機能の中枢が置かれているその施設の周辺であっても、住宅密集地域であるということを理由に、特別注視区域ではなく、ただの注視区域にしか指定されていないのは、我が国の安全保障上、極めて問題が大きいと言わざるを得ません。
 他方、環境エネルギー分野に目を向けると、現在、太陽光や風力といった再エネ事業に外国の資本の企業がたくさん参入しています。国防上重要となる自衛隊施設、自衛隊基地等の周辺にも多くの再生可能エネルギーの発電設備が建設されています。国防上重要な施設周辺の再生可能エネルギー設備への外国資本の参入については、安全保障上の懸念として何点かお尋ねいたします。
 まず一つ目です。
 令和六年十二月、政府は、重要土地等調査法に基づき、令和五年度の重要施設周辺等における土地等の取得状況について調査結果を公表しています。その中で、外国人、外国系の法人による土地等の取得状況について公表していますが、土地等の利用実態についても把握しているでしょうか。把握している場合、そのうち再エネ発電設備が占めている、その状況はどの程度でしょうか、お答えいただきたいと思います。

○岸川政府参考人
お答えいたします。
 委員からお話がございましたとおり、内閣府では、昨年十二月に、令和五年度の注視区域内におけます土地、建物の取得状況について取りまとめ、公表を行いました。
 今般の公表におきましては、土地、建物の取得総数は一万六千八百六十二筆個、そのうち外国人、外国系法人による取得は三百七十一筆個、また、勧告、命令の対象となる重要施設等に対する機能阻害行為は確認していないといったような旨をお示ししたところでございます。
 これらにつきましては、重要施設周辺等の土地や建物が当該施設等の機能を阻害する行為の用に供されることを防止することを目的として、不動産登記簿等の公簿の収集を基本としつつ、必要に応じて公開情報や現地・現況調査等を組み合わせる形で土地等利用状況調査を行ったものでございます。
 このように、土地等利用状況調査は、重要施設等への機能阻害行為の用に供されることを防止するために必要な調査を行うものでございまして、委員御指摘のような、区域内の特定の設備の設置状況を網羅的に把握することを目的としたものではないということを御理解賜りたいと思います。
 いずれにいたしましても、区域内の土地等利用状況調査を着実に実施し、重要施設等に対する機能阻害行為を防止すべく、万全を期してまいりたいと考えております。

○竹上委員
よろしくお願いいたします。
 二つ目の質問です。
 重要施設周辺に設置された、何らかの問題のある再エネ発電設備の利用実態を調査する場合、重要土地等調査法では、所有者等からの報告徴収の規定、第八条が設けられています。しかし、利用実態を正確に把握するためには、報告徴収に加えて、立入検査を行わなければならないと考えます。現行法において、立入検査を行うことはできるのでしょうか。また、できないとすれば、なぜ立入検査の規定を設けなかったのか、お尋ねします。

○岸川政府参考人
お答えいたします。
 立入調査に関しましては、重要土地等調査法の法案策定時に開催いたしました有識者会議の御提言におきまして、対象となる者、これは立入調査の対象となる方という意味でございますが、対象となる者の負担が大きいことから、調査の手法としては、現地・現況調査や公簿の収集等までの対応とすることが適当とされたことを踏まえ、導入しないこととしたものでございます。
 内閣府といたしましては、公簿等の収集を基本とし、必要に応じて現地・現況調査そして報告徴収等を適切に組み合わせる形で土地等利用状況調査を実施しているところでございまして、今後も、重要施設等への機能阻害行為を防止すべく、万全を期してまいりたいと考えております。

○竹上委員
現況調査、しっかりとお願いいたします。
 最後の質問です。
 再エネ発電設備の利用実態を正確に把握するためにも、重要土地等調査法において、立入調査を可能とする法改正を行うべきと考えますが、見解を伺います。
 加えて、仄聞するところによれば、土地等利用状況調査の実効性を担保するための人員が足りないということで、この際、人員体制の強化も行うべきと考えております。政府の見解をお尋ねいたします。

○岸川政府参考人
お答えいたします。
 立入調査に関して導入をしなかった件につきましては、先ほどお答えしたとおりでございます。繰り返しとなりますが、そのような経緯もありまして、現在のような形で土地等利用状況調査を実施しているところでございます。
 ただ、その上で、本法には、施行後五年を経過した時点での見直しの規定も置かれていることから、法の執行状況や安全保障をめぐる国内外の情勢などを見極めた上で、更なる対応の在り方について検討してまいりたいと考えております。
 また、土地等利用状況調査を着実に実施するため、今後も、公簿収集等の業務の一部民間委託や多様なツールを用いた調査の効率化などを図るとともに、必要な体制の確保にも努めてまいりたいと考えております。

○竹上委員
時間になってしまいました。貴重なお時間をありがとうございました。是非とも、よりよい改正をお願いいたします。
 今日は、どうもありがとうございました。

○近藤委員長
次に、中村はやとさん。

○中村(は)委員
皆様、お疲れさまです。今日最後の質問者となります中村はやとです。
 今回二十分お時間をいただきました。無所属の私にもいろいろと御配慮賜りまして、心より感謝申し上げます。
 また、先ほど急遽追加で資料を差し替えさせていただきましたので、その点において理事の皆様には大変御迷惑をおかけしましたことも、併せておわび申し上げます。
 では、時間も限られていますので、早速質問に入らせていただきます。
 最初に、大臣にお伺いいたします。
 米国のパリ協定再離脱による世界と日本に対する影響についてお伺いいたします。
 アメリカのトランプ新大統領が一月、不公平で一方的なパリ協定から離脱すると述べて、地球温暖化対策の国際的な枠組み、パリ協定から離脱する大統領令に署名したと報道がございました。パリ協定をめぐっては、トランプ大統領が一期目の政権時にも、アメリカ製造業を制約する不公平な協定だと主張して離脱し、その後、バイデン前政権時に復帰しておりましたので、再離脱ということになります。
 世界全体で温室効果ガスの排出量を減らす必要がある気候変動問題では、国際的な協調が不可欠です。また、世界第二位の排出国であり、外交上も非常に重要な位置を占めているアメリカが気候変動対策の国際的な要であるパリ協定から脱退することは、パリ協定の枠組みそのものが崩れていく可能性が高く、世界の気候変動対策に影響を与える可能性が非常に高いと私は考えております。
 そこで、米国のパリ協定再離脱により、世界の気候変動対策にどれほどの影響を与えると考えているか、また我が国に対する影響はどれほどあると捉えられているか、浅尾環境大臣にお伺いいたします。

○浅尾国務大臣
気候変動は人類共通の待ったなしの課題であり、主要排出国を含む全ての国の取組が重要であることは変わりがありません。
 米国の気候変動や国際協力に関する政策の動向は注視してまいりますけれども、脱炭素の取組は現在の世界的な潮流となっていると認識しており、現時点で把握している限りでは、米国以外で正式にパリ協定脱退を表明している国はなく、潮目は変わっていないと考えています。
 こうした中、我が国は、先月、地球温暖化対策計画やGX二〇四〇ビジョンなどを閣議決定したところであり、二〇五〇年ネットゼロに向け、脱炭素と経済成長の同時実現を目指すとの方向性は揺るぎないものであります。
 我が国としては、揺らぐことなく気候変動対策に取り組むとともに、我が国の経験や技術等を通じて世界の脱炭素化にも貢献してまいります。

○中村(は)委員
日本のスタンスは揺らぐことがないという旨の非常に力強い答弁を浅尾大臣からいただきました。
 では、それを前提といたしまして、次に、パリ協定、カーボンニュートラル実現に向けての具体的な我が国のビジョンについてお伺いいたします。
 先ほど触れたパリ協定では、二〇三〇年までに温室効果ガスを二〇一三年度比で二六%削減、またカーボンニュートラル目標では更に高い目標で四六%削減、さらに、二〇五〇年までに排出量を全体としてゼロにすることまでを目標にしていますから、現在我が国は相当に高いハードルに挑んでいるということになります。
 しかし、未来の子供たちのためにも、実現不可能などと言ってはおれない。責任ある大人として、そこに向けて最大限の努力をしなくてはならない重要な課題と考えております。
 そこで、パリ協定、カーボンニュートラル実現に向けて、我が国の具体的なビジョンについて、浅尾大臣にお伺いいたします。

○浅尾国務大臣
我が国は、二〇五〇年ネットゼロの実現に向けて、官民が、予見可能性を持って、排出削減と経済成長の同時実現に向けて取組を進めるため、たゆまず直線的に排出削減を進める経路として、二〇一三年度比で、二〇三五年度六〇%減、二〇四〇年度七三%減という新たな目標を設定いたしました。
 あわせて、この実現に向けた具体的な対策、施策については、地球温暖化対策計画において、エネルギー転換、産業、業務、運輸、地域、暮らし、横断的取組等の観点から、体系的に整理をお示ししているところであり、政府一体となって精力的に取り組んでまいります。
 環境省としては、計画の継続的なフォローアップ等を通じ、関係省庁連携の下で、施策の着実な実施や柔軟な見直し、強化を図っていくとともに、自らも、地域、暮らしといった需要側の脱炭素の取組などを主導してまいります。

○中村(は)委員
ありがとうございます。失礼いたしました。
 数ある政策の中で最も効果を発揮するであろうと私が考えているのが、より一層の再生可能エネルギーの供給と、また電気自動車の普及と考えております。
 そこで、まず、現在、我が国における再生可能エネルギーのシェアと世界との比較について、データがありましたら、政府参考人で構いません、お示しいただけたらと思います。

○土居政府参考人
お答えいたします。
 我が国の電源構成に占める再生可能エネルギー比率は、二〇一一年度の一〇・四%から、二〇二三年度には二二・九%になっております。また、二〇二二年度実績で各国と比較いたしますと、日本の再エネ導入容量は世界第六位でございまして、そのうち、太陽光発電の導入量で見ますと世界第三位というふうになっております。

○中村(は)委員
ありがとうございます。
 次に、電気自動車について、こちらは経産省にお伺いいたしますけれども、普通車で構いません、現在把握している我が国の電気自動車の保有台数と割合、また世界との比較、そして、併せて、近年販売された電気自動車の割合、世界との比較を教えてください。

○田中政府参考人
お答え申し上げます。  まず、保有の方、ストックの方でございますけれども、一般財団法人自動車検査登録情報協会の統計によりますれば、二〇二三年度末における登録車の保有台数に占める割合、電気自動車が〇・五%、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車が約三割、その他内燃機関車などが約七割となっております。
 次に、新車の販売でございます。一般社団法人日本自動車工業会によりますれば、二〇二四年の国内の乗用車、新車販売台数に占める割合は、電気自動車が約二%、ハイブリッド車及びプラグインハイブリッド車が約五五%、その他内燃機関車などがその残りの約四割となっております。
 世界との比較でございますけれども、世界の各地域における自動車の新車販売台数に占める電気自動車の割合でございますけれども、例えば、欧州では一五%、アメリカでは八%となっており、先ほど述べた我が国の電気自動車の割合よりも高い水準にございます。

○中村(は)委員
ありがとうございます。
 再エネの方は順調で、ちょっと、電気自動車の普及に関しては少し課題があるかなというふうに考えているところでございます。
 世界基準で照らし合わせると、加速度的に取り組まなくてはならない課題と思っているんですけれども、今後の政府の取組についてお伺いいたします。

○田中政府参考人
お答え申し上げます。
 自動車分野のカーボンニュートラル実現に向けましては、特定の技術に限定せず、EVやハイブリッド車などの電動車、水素、合成燃料など多様な選択肢を追求するマルチパスウェー戦略を我が国の自動車政策の基本方針としております。我が国が強みを有する内燃機関はもとより、今後市場が拡大していくEVでも勝つべく、蓄電池の国内製造基盤強化、購入補助、充電インフラ整備支援、こうした取組を総合的に講じていきたいと考えております。

○中村(は)委員
ありがとうございます。  この議題の最後に、浅尾環境大臣に再度お伺いをしたいと思います。
 先ほど資料を配らせていただきました。昨日三月十三日にプレスリリースされたばかりでございますが、JAEA、つまり国立研究開発法人日本原子力研究開発機構が、ウランを使用する世界初の蓄電池を開発したと発表されました。実用化すれば、天然ウランから原発の燃料を製造する際の副産物である劣化ウランを資源化できます。劣化ウランには核分裂が起きにくく安全な同位体が大半を占めますが、国内には使い道がなく、約一万六千トンも保管されていますから、これを資源化できたら、相当な有効活用と言えると思います。
 そしてまた、先ほど触れた風力や太陽光などの再生可能エネルギーは、発電量が天候に左右されることから、電力供給の安定が課題でございます。それにより、再エネのより一層の普及とともに、こちらの大型蓄電池のニーズはより高まっており、こちらにウラン蓄電池が活用できれば、脱炭素社会の実現に向けて大きな前進と考えているところなんですが、浅尾大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

○浅尾国務大臣
蓄電池は、再エネ等で発電された電力を蓄電し、夕方の需要ピーク時などに電力供給ができるなど、再エネ余剰電力の有効活用にもつながる調整電源として重要であり、また、モビリティーの電動化にも不可欠な、二〇五〇年ネットゼロ実現に向けた重要技術と認識しております。
 御指摘の技術も含め、蓄電池技術の開発が進んでいると承知しております。環境省としては、蓄電池の社会実装に向けた技術開発、実証を支援するほか、民間企業等が太陽光発電等の再エネと蓄電池をセットで導入する取組を支援しております。
 引き続き、二〇五〇年ネットゼロ実現に向け、蓄電池の普及に貢献していきたいと考えています。

○中村(は)委員
ありがとうございます。
 やはり、資源の乏しい一方で一億人を超える人口を抱える我が国では、国内の安定した電力供給がどうしても課題となります。そしてまた一方で、この地球温暖化の時代に、世界に求められる、世界と戦える分野として、こういった新たな技術の開発というものこそ日本が今一番力を入れなくてはならないものだと確信しております。
 さきの環境委員会で私が質問させていただいたペロブスカイト太陽光電池、石破総理も所信表明で触れてくださいましたけれども、こちらと併せて、ウラン活用の蓄電池にも是非同様に力を入れていただいて、地球温暖化の時代に日本の技術が世界を救うんだ、ちょっと大げさかもしれませんけれども、そういった気概で取り組んでいただきたいということを申し上げさせていただいて、次の議題に移りたいと思います。
 続きまして、不適正ヤードの取組についてお伺いいたします。  私の地元茨城県や、また、全国の金属スクラップヤード等の約四割を占めておりますお隣の千葉県では、この不適正ヤード問題が深刻化しております。元々首都圏からアクセスがいいことと、そして一方で広大な土地があることから、業者からすると立地が非常によかったものと考えております。
 ヤードは、近隣への騒音や振動の問題、油漏れによる土壌の汚染、悪臭、火災など多くの問題がありましたが、金属板で周りを囲まれているため中が見えづらく、犯罪の温床にまでなっていると言われております。
 現在、様々な自治体で取締りの強化には動いておりますが、なかなか根本的な解決につながらず、住民の皆様の騒音などの被害の悲痛な声や不安の声は増すばかりです。
 そこで、政府としてこの違法ヤード問題にどのような取組を果たしていくのか、御所見をお伺いいたします。

○角倉政府参考人
お答え申し上げます。
 環境省におきましては、生活環境保全上の支障が生じているヤードの実態を把握するため、全国の自治体を対象に調査を行っております。この調査の結果では、金属スクラップ等を不適正に保管するヤードにおきまして、公共用水域等の汚染、騒音、振動、火災の発生等が報告されているところでございます。
 こうした実態を踏まえ、環境省では、昨年十月から、ヤード環境対策検討会を設置いたしまして、有識者の皆様に今後の対応について御議論いただいているところでございます。金属スクラップ等のヤードに関する環境対策について、今月末までに取りまとめを行っていただく予定としております。
 また、今年は廃棄物処理法の施行状況を点検する節目の年でもありますことから、このヤード環境対策検討会での議論も踏まえつつ、中央環境審議会においても議論を行い、金属スクラップ等のヤードに関する環境対策について、今後、制度的にどのような措置を講じるべきか更に検討を進め、必要な対応を取ってまいりたいと考えております。

○中村(は)委員
ありがとうございます。大いに期待しております。
 一方で、問題になっているのは違法ヤード業者ばかりではありません。正規に許認可を受けていても、住民からの問題が起きている事業者が多々ございます。
 その中でも、特に深刻なのが騒音問題です。ライフスタイルの変容により、不快に感じる音や音量は実に多様化いたしました。特に、重機を使用する業者から発生する音が継続的に自宅のすぐそばで鳴り続ければ、どなたであっても苦痛に感じるのは想像にたやすいでしょう。工場、事業場や建設作業から発生する騒音の苦情は、全体の六割にも上ります。
 昭和四十三年に制定された騒音規制法は、工場、事業場、建設作業所、そして自動車から発生する騒音に許容限度を定めたものでございますが、実は、私が地元の皆様から御相談を伺うことは、この騒音規制法が効果を発揮していないということでございます。具体的には、通報を受けて自治体が調査に伺ったときだけ音を止める、抑える、あるいは、その場では気をつけると言っておけば、しばらくするとまた同じように騒音を出してしまうなどでございます。
 音というのは目に見えないため、物的証拠が残りにくい、また、問題としても軽視されがちな傾向にあると考えております。そして、自治体によって調査方法にばらつきがある、引っ越したくても、そんな騒音の鳴るところでは売値も激減してしまい、結局それもかなわない、まさしく生き地獄でございます。
 私は、今こそ国に、この騒音問題を重大な問題として捉え、全国で苦しんでいる被害者の皆様が少しでも希望を持てるような取組を実施していただきたいと考えております。このことについて、政府の今後の取組をお伺いしたいと思います。

○松本政府参考人
お答えいたします。
 騒音規制法を所管しております環境省では、ヤード等の開放型事業場での騒音防止マニュアル、これを策定いたしまして、ヤード等について測定評価の方法や対策を示してございます。この中で、騒音の測定は苦情者の申立てに沿った条件で行うことが望ましいといった考え方も示してございます。
 その上で、各自治体におきまして、効果的な取組といたしまして、一つ目、事業者に事前に連絡することなく抜き打ちで騒音測定を実施する、二つ目、デジタル化された測定器により無人で長時間測定を実施する、三点目、測定結果を用いて騒音規制法に基づく改善勧告、命令を発出するといった、現場での対応が実施されているところでございます。
 こうした効果的な取組なども広く共有する場として、環境省では、自治体職員を対象とした騒音に関する研修を毎年実施してございます。令和六年度は全国から六十七名に御参加いただきました。研修等の場での事例研究などを通じて、自治体に対する効果的な取組の横展開を図るなど、技術的助言を進めてまいります。

○中村(は)委員
ありがとうございます。
 時間が迫っておりますので、最後の議題に移ります。
 最後に、全然話が変わりまして、猫の保護問題についてお伺いしたいと思います。
 私が日々地元活動する中で、動物愛護団体の皆様から最も御相談をいただくのが、猫についてでございます。私は猫を飼ったことはなくて、最近飼いたいなと思っていたんですけれども、なぜここまで猫についての御相談が多いのかというと、その高い繁殖能力からくるものなのです。
 繁殖が可能になるいわゆる成熟期は、雌で六か月から十二か月、雄で七か月から十二か月です。また、妊娠期間六十四日から六十九日間で一度に二から六頭も出産するので、非常に高い繁殖能力と言えます。
 問題なのは、そういった知識に乏しい飼い主が、かわいいからと自宅や庭で去勢手術もせずに飼ったり餌づけなどをしてしまうと、あっという間に無尽蔵に増えてしまうということです。驚くことに、一頭の雌猫が、一年後に二十頭以上、二年後には八十頭以上、三年後には何と二千頭以上になるということが環境省の出している資料でも明らかになっております。  そこで、昨今ではニュース等で猫の多頭飼育、多頭飼育崩壊は度々特集されておりますが、もし屋内というクローズドな環境でこれが発生した場合、建物の崩壊、ふん尿まみれの劣
悪な環境、また猫による近親交配による先天的に問題を抱えた猫の出産、共食いなど、目も当てられない状況になります。
 そこで、最後に、屋内で飼う猫の多頭飼育、飼育崩壊問題に対してだけで結構です、政府としての見解をお願いいたします。

○植田政府参考人
お答えいたします。
 御指摘のとおり、猫は繁殖力が旺盛でありまして、飼い主が適切な繁殖制限措置を講じない場合には、多頭飼育問題に発展することもあると認識をしております。
 そこで、動物愛護管理法におきましては、飼い猫に対する不妊去勢手術等の繁殖制限措置を原則として講じることを飼い主の責務としておりまして、自治体において飼い主への指導助言を行っているところであります。
 環境省では、これに加えて、自治体向けに、人、動物、地域に向き合う多頭飼育対策ガイドラインを策定をしておりまして、引き続き屋内の多頭飼育問題の解決に向けた普及啓発を行ってまいりたいと考えております。

○中村(は)委員
ありがとうございました。
 アメリカのパリ協定脱退の問題から猫の話まで、幅広く質問させていただきまして満足です。
 今日はどうもありがとうございました。

○近藤委員長
次回は、来る十八日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後一時六分散会

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