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第213回国会 衆議院 環境委員会 第12号 令和6年5月24日

○近藤(昭)委員
 立憲民主党の近藤昭一でございます。  ただいま議題となりました地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。
 まず、ただ、一言申し上げなくてはなりません。
 五月一日の環境省主催の水俣病懇談会の場で、水俣病で苦しんでこられ、全面解決を求めておられる方々のお訴えの声を、余りにも短い時間配分とし、またマイクを切ってしまったこと、強く遺憾に思います。
 環境省は、その設置の背景に公害問題を原点に持ち、経済発展に伴って生じた痛みに寄り添い、全国の現場で自然保護の活動を展開する市民と協力をして日本の豊かな自然環境を未来に引き継ぐ努力をしてきたと信じていただけに、今回のような市民と向き合う場を、単に声を聞くだけの場、聞き流すだけの場として捉えていたこと、また是正するチャンスも権限も持っておられる環境大臣が問題意識すら持たず放置したこと、今もなお納得できないところであります。
 このように市民の声を軽視する姿勢では、水俣病問題の全面解決はおろか、気候変動の激化によって将来世代が負う負担を想像して実効性ある政策を進めることはできないのではないか、こう思わざるを得ません。
 近年、気候変動は激化をし、地球温暖化の進行、豪雨や台風の大型化などの異常気象が世界各地で頻繁に発生しています。世界気象機関によると二〇二三年は世界の平均気温が産業革命前から約一・四五度上昇し、観測史上最も暑い年でありました。世界の平均気温上昇は、パリ協定の一・五度目標の目前にまで迫っています。気候変動対策を十分に講じないことは今生きている人々の生命身体を危険にさらすだけではなく、将来世代が厳しい環境下で生きていくことを強いることになります。私たちは、既に地球沸騰化時代に突入しており、一日も早い具体的で実効性ある気候変動緩和策の実施が求められています。
 一方で、地球温暖化対策推進法は、近年、数次の改正が行われてきたものの、一部の施策の強化にとどまり、気候変動対策の緊急性に対応できていない、こう思わざるを得ません。
 パリ協定に基づく一・五度目標の実現に向けて、国家を挙げた力強い施策の推進が必要であります。しかしながら、今回の主たる改正内容である二国間クレジットは、政府の目標である累積一億トンCO2を達成したとしても、日本の温室効果ガス排出量が年間十一億トンを超えていることも明らかなように、二〇三〇年度の日本のNDCへの貢献としては僅かにすぎず、IPCCが示した二〇一九年比で二〇三〇年に四六%、二〇三五年に六〇%の削減の必要性からは余りにもかけ離れた不十分な施策となっています。
 カーボンニュートラルの実現に向け社会を変革するために、単に若者と会うだけ、聞くだけではなく、国民的議論を行うことにより国民理解を醸成するとともに、抜本的な施策の見直しにより真に実効性ある対策を取ることが、国際社会の一員としての責任であり、将来世代への責任なのではないでしょうか。
 このため、社会の根本的な変革の必要性や深刻な気候変動の現状に整合する法律案のタイトル変更、そして国民的議論の機会の創出が必要との考えの下、修正案を取りまとめました。
 以下、概要を御説明をいたします。
 第一に、題名を改め、地球温暖化対策が気候変動に対処するためである旨を明らかにすることとしております。
 第二に、目的規定について、気候変動が地球全体の環境に深刻な影響を及ぼすものであり、気候変動のうち主要なものである地球温暖化を防止するため気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることが人類共通の課題である旨を明記することとしております。
 また、基本理念として、予防的な取組方法による早期の対応、環境教育等を通じた知識の普及、地域住民等の多様な主体の参加と協力、情報の適切な公開、将来の国民の負担の軽減及び国際的協調等について規定するとしております。
 さらに、国及び地方公共団体の責務として、国民及び住民の意見を施策に反映させるため、広く意見を求めるための制度の整備等に努めることとしております。
 第三に、地球温暖化対策計画の国会への報告についての規定を追加するとともに、地球温暖化対策推進本部に、国民からくじで選定された委員二百人により組織する地球温暖化対策討議会を置くこととします。
 この討議会は、本部長の諮問に応じ、二〇五〇年までのカーボンニュートラルの実現のため施策の在り方等について調査審議し、本部長に対して建議を行うこととし、本部は、討議会が述べた意見を尊重しなければならないこととしております。
 第四に、国及び地方公共団体の施策として、地球温暖化対策に関する環境教育の推進に必要な施策を講ずるように努める旨の規定、そしてエネルギーの使用の合理化又は再生可能エネルギーの利用を目的とする国及び地方公共団体の施設の改修を計画的に実施する旨の規定を追加するとともに、地方公共団体実行計画の記載事項として、地域脱炭素化促進事業の促進区域に加え、地域の環境の保全等のため地域脱炭素化促進事業の対象としない区域を追加することとしております。
 そのほか、政府は、地球温暖化その他の気候変動の影響が危機的な水準にあることに鑑み、気候変動に関する法制度の在り方について抜本的な見直しを含め検討を行い、その結果に基づいて法制上の措置その他の必要な措置を講ずるものとすること等としております。
 以上が、本修正案の趣旨及び概要であります。
 委員各位の御賛同を賜りますように、よろしくお願い申し上げます。

近藤昭一 東京事務所
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