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第213回国会 衆議院 環境委員会 第8号 令和6年4月12日

○近藤(昭)委員
 おはようございます。立憲民主党の近藤昭一でございます。
 本日の法案審議に関わりまして、質問の時間をいただきましたことを感謝申し上げたいと思います。
 さて、早速質問に入らせていただきたいと思います。
 自治体の環境、廃棄物行政は、生活環境の保全及び公衆衛生の向上のため、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づいて、各自治体の責任の下で適正に実施をされてきているところであります。
 加えて、近年は、廃棄物行政の取組を進めるに当たり、資源循環社会の実現に向け、自治体では、分別収集を始め、多くの施策を実施しているところであります。
 また、災害時では、これらの通常業務に加え、災害廃棄物の対応など、迅速かつ効果的な対応が求められ、そうした中で、限られた予算と人員で対応しているというところだと思います。
 そうした状況の下、自治体では、地域実情に応じた資源循環の取組をこれまでも実施をしているところであると思います。そして、環境、廃棄物行政の体制強化が、そういう中で大変に重要と考えるわけであります。
 少し繰り返させていただきますと、廃棄物行政は、公衆衛生の向上のため、こういうところで求められてやってきた、法律に基づいて。しかし、最近、非常に資源が不足をしている、そしてまた気候変動、温暖化のこともある、こういう中で、今までとはまた違った、今まであったと思うんですが、顕著になった課題に向けて、そうした資源循環ということだと特に指摘をさせていただいたわけであります。
 そうした中で、本当に、自治体に負担がかかっていると言うと、余りいい言い方ではないかもしれませんが、非常に複雑になってきている、取り組むべき課題が多いということであると思います。そうした中で、非常に体制強化が重要と考えておるわけでありますが、環境省の認識をいただきたいと思います。

○伊藤国務大臣
 お答え申し上げます。  廃棄物の処理、これは国民生活にとって極めて身近で、一日も欠かすことができないものだというふうに考えております。適正な処理のために自治体の体制を維持していくことは、極めて重要であるというふうに認識しております。
 また、資源循環の推進、廃棄物処理施設の整備、災害廃棄物の対応など、廃棄物行政の様々な課題に対しては、自治体だけでなく、民間事業者と連携して対応することも重要だと考えています。
 この法律案においては、国の認定制度を通じて、民間事業者の先進的な再資源化事業の高度化の取組を促進し、官民連携の資源循環を推進することとしてございます。
 認定に当たっては、実証事業等を通じて、高度化の取組に関する知見の蓄積がある国が迅速に行ってまいります。これにより、地方自治体に事務負担をかけない形で民間事業者の資源循環の取組を後押ししてまいりたい、そのように考えております。
 こうした国と地方の適切な役割分担と民間事業者との連携を通じて、我が国全体の廃棄物処理の体制強化を行って、循環型社会の形成を一層推進してまいりたい、このように考えております。

○近藤(昭)委員
 伊藤大臣、どうもありがとうございます。
 これまでも様々な環境委員会の法案審議の中で課題が取り上げられて、そしてまた、大臣におかれましても、真摯にお答えをいただいているところだと思います。繰り返しますけれども、今、まさに大臣が言っていただいたように、非常に、今回の法案では、特に資源循環の観点から、民間の活用、そして官民の連携ということであります。
 ただ、その中で、やはり廃棄物行政が地方自治体の所管であるということでありますので、今、大臣に言及していただいたわけでありますが、改めて、本当に、大きい自治体と小さい自治体、この規模によっても、知見の蓄積とかあるいは人員の問題、こうしたことによって違いがありますし、そういう中で、これまでの知見、また体制が不十分なところも自治体によってはあると思うんです。
 そういう意味でも、今、大臣お答えでありますので、是非、国がバックアップする、国がしっかりと自治体と連携をしていただきたいというふうに思います。
 さて、再資源化高度化法案について、現在の取り巻く状況を踏まえれば、再資源化の促進、再資源化事業等の高度化の促進、法律の目的や基本方針について、取組を進めていかなければならない多くの課題があると考えています。
 一方で、本来の廃棄物行政である生活環境の保全及び公衆衛生の向上が大前提であることから、今回の再資源化高度化法案については、これらの認識を踏まえた上での再資源化高度化の取組、今申し上げたことを前提とした上での取組であることを改めて確認したいわけでありますが、いかがでありましょうか。

○角倉政府参考人
 お答え申し上げます。
 本法律案は、再資源化事業等の高度化の取組を支援することにより、資源循環産業全体で再資源化を促進しつつ、温室効果ガスの排出削減効果の高い資源循環を促進することを目的としておりますが、ただいま御指摘いただきましたとおり、こうした取組、こうした推進に当たっては、適正処理の確保による生活環境の保全と公衆衛生の向上が大前提である、このように考えております。
 本法律案の背景となりました中央環境審議会の意見具申である脱炭素型資源循環システム構築に向けた具体的な施策の在り方、この取りまとめにおきましても、基本的な考え方として、適正処理による生活環境の保全をベースとする、こうしたことがしっかりと明記されているところでございます。
 こうした考え方を十分踏まえた上で、本法律案に基づく基本方針におきましても、生活環境の保全を前提として、しっかりと位置づけることとしたいと考えております。また、個別の認定におきましても、廃棄物処理施設を設置する場合に生活環境の保全に配慮されていることについて、国としてしっかりと確認を行っていきたいと考えております。
 また、認定を受けた事業者は、廃棄物処理を業として行う以上、様々な処理基準や廃棄物処理施設に関する基準など、生活環境の保全の観点から必要な廃棄物処理法の規制が適用されることとなっております。
 生活環境の保全や公衆衛生の向上の重要性をしっかりと認識した上で、本法律案による再資源化事業等の高度化を進めてまいりたい、こうした考え方でしっかり取り組んでまいります。

○近藤(昭)委員
 局長、ありがとうございます。
 今、お答えをいただきましたように、大臣も先ほど最初の質問でもお答えいただいて、これまでの環境、廃棄物行政の中で、国と自治体が協力をしてきた、そして自治体が頑張ってきているところでありますが、それはやはり生活環境を守っていくということが非常に重要だということを確認させていただいたということでありますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 さて、今後、廃棄物事業者に対して、国が一括して認定を行うことになるわけであります。認定後の業務実態の管理や監視などの業務については、国と自治体の連携が重要と考えるわけであります。これも、繰り返し言及させていただいているところであります。
 そうした中で、自治体によっては、これまで対応したことのない分野の再資源化に対する対応も求められるところだと思います。そのため、日常の実施状況の把握を始め、事業者への不適切な対応が認められた場合の対処が適正に行われなければならない。そうした場合、国と自治体の情報共有や技術的助言、高度化における手引などの対応が必要と考えるわけであります。
 これも、冒頭からずっと申し上げていることでありますが、今回、こうした取組は重要だけれども、自治体の大小、大小だけではないと思いますが、これまでの取組等々の知見、こういうことによって、今言及させていただいたような具体的な課題が出てくると思うんですが、これに対してはいかがでありましょうか。

○角倉政府参考人
 お答え申し上げます。
 本法律案の認定制度におきましては、認定の審査はもとより、認定後も、認定を受けた計画の変更の指示や認定の取消しを国が行うこととしており、報告徴収や立入検査等の権限を通じて国が監督を行い、不適正な処理が行われないようにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
 なお、認定の三つの類型のうち、再資源化工程の高度化に関する認定に関しましては、地方公共団体が廃棄物処理法に基づき既に指導監督を行っている既存の施設に関するものでありますから、引き続き、地方公共団体が指導監督を行う形となりますが、その場合であっても、国の認定に当たりまして、不適正な処理が行われることのないようにしっかりと認定の審査を行っていきたいと考えております。
 こうした形で、自治体の皆様方に負担がかからないような形で、国の責任においてまずこの法律の施行にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
 その上で、仮に認定を受けた事業者において基準に適合しない不適正な処理が行われた場合などにおきましては、廃棄物処理法に基づく地方公共団体による改善命令、措置命令の対象となることとしておりますけれども、そうした場合におきましては、国と地方公共団体の連携がしっかり取れるように、国として最大限バックアップを行い、自治体に負担がかからないように国が前面に立ってしっかりと取り組んでまいりたい、このように考えております。
 こうした考え方の下、基準に適合しない事業に対する指導監督のための技術的なガイドラインや、事業者のみならず地方公共団体自らが高度な資源循環に取り組む際にも参考となる再資源化の高度化に関する事例集を策定するなど、地方公共団体に対する情報提供や技術的支援にしっかりと努めて、国と自治体との連携体制をしっかりとしたものにしてまいりたいと考えております。

○近藤(昭)委員
 ありがとうございます。
 局長にお答えいただいて、そうした具体的な問題についてもしっかりと対応していくんだということであると思います。
 それぞれ自治体も部門部門で担当があり、専門職の方もいれば、いわゆる一般職の方もいらっしゃるわけでありますけれども、最近の情勢でいうと、どこの自治体も人員が非常に限られてきているところだと思います。そういう中でしっかりと、また、高度化の施設、民間にも頑張ってもらうということであります。
 そういう意味では、それぞれの自治体を越えて、それぞれの自治体は自治体の行政区があるわけでありますが、高度化の施設については、自治体を越えて機能が働いていかなくちゃいけないところがあると思うんですね。そういう意味でも、やはり、自治体の取組に対して国がしっかりとバックアップというか連携をしていくことは非常に重要だということを指摘をさせていただきたいと思います。
 さて、今後、こうして再資源化高度化を進めていくわけでありますが、進めていくに当たって、事業者の認定状況など自治体に対し速やかな情報提供が重要と考えます。また、現在の自治体の環境、廃棄物行政の現状や課題、さらに法案に対する課題などを踏まえ、自治体における環境、廃棄物行政の体制の強化についても重要であることから、附帯決議に入ることになっているというか、附帯決議としてもしっかりと、法案の審議、そして、この法案の今後の運用に当たって、附帯決議を私どもとしても要望していくわけでありますけれども、今から二つの項目について少し申し上げたいと思います。
 高度再資源化事業計画等の認定を行う際は、地域住民や地方公共団体の意見を踏まえ、地域の生活環境に悪影響を及ぼすことがないように慎重にこの判断を行っていただきたい。また、認定高度再資源化事業者が本法及び廃棄物処理法等に違反することがないよう国が責任を持って当該認定高度再資源化事業者等に対する十分な監視、監督に努めるとともに、当該認定高度再資源化事業者等による不適正な処理が行われ地方公共団体に人的及び財政的負担が生じた場合には、国が必要な措置を講じるように努めること、こうしたことが非常に重要だと思っております。
 大臣の決意、決意というか話を聞かせていただきたいと思います。

○伊藤国務大臣
 お答え申し上げます。
 いろいろ大事な御指摘をいただいたと思います。
 本法律案における認定制度については、再資源化事業等の認定から指導監督まで、環境省の責任において、本法律案に基づき、その事務を行ってまいります。
 また、再資源化工程の高度化に関する認定制度については、地方公共団体が廃棄物処理法に基づき既に指導監督を行っている既存の施設に関するものであることから、引き続き、地方公共団体が指導監督を行うこととなります。一方で、地方公共団体の対応が必要となった場合であっても、環境省において地方公共団体をしっかりバックアップしてまいりたいと思います。
 その上で、本法律案に基づく認定制度では、廃棄物処理施設を設置する場合、環境大臣は、生活環境の保全に配慮されていることを確認するということにしております。地域の生活環境の保全を第一に、認定に当たっての審査というものをしっかり行ってまいりたいと思います。
 加えて、認定した施設等に対する指導監督のための技術的なガイドラインの策定や、高度な資源循環に取り組むための再資源化の高度化事例集の作成など技術的支援に努め、地方公共団体としっかり連携してまいりたいというふうに考えております。

○近藤(昭)委員
 ありがとうございます。  繰り返しますけれども、環境、廃棄物行政の重要さというのは、生活衛生、環境に非常に密着をしたということであります。しかし、冒頭申し上げましたように、そういう中で、環境、廃棄物行政の自治体の現場が取り組まなければいけない課題が資源化という問題で出てきている、そういう中でこうした法案が作られているところであると思います。
 そういう中で、非常に大きな環境行政ということで申し上げますと、原則として掲げている3Rということがあるわけですよね。ですから、今回、こうした高度な技術を活用して資源を再利用していく、しかし、根本的にはやはりそうした資源を、特に最近は、この課題でもそうですけれども、プラスチックのことが言われるわけであります。プラスチックというのは非常に便利な素材だと思うんですね。そういう意味でも、これから発展する発展途上国なんかにおいても、プラスチックの利用というのは便利である、しかし一方で、世界的には大きな課題になっているというところだと思います。
 そういう意味では、こうした資源の節約といいましょうか、そうしたことが、これまた、今回の法案でいうと生活衛生のことをきちっと大前提としていくということ。でも、もっと大きなことで申し上げると、大臣、改めて、こうした資源の高度な利用を更なる前提として、私はやはり資源の節約ということがあると思うんです。
 これは、それぞれの法案に関することではなくて、環境省、環境行政に課せられた課題だと思うんですが、この部分についても改めて大臣の決意を聞かせていただきたいと思います。

○伊藤国務大臣
 委員がおっしゃるとおり、そして、私も常々申し上げているとおり、環境の問題というのはまさに同心円の問題であり、一つの法案、一つの政策だけで解決できる問題ではないと思います。
 我々がやはり次世代に持続可能な地球を残していくためには、思想面も含め、そして産業構造も含め、そして国や自治体の在り方も含め、そこの思想というものをやはり中軸に置いて、しっかり持続可能な形で社会を応援していく、もちろん、資源循環も含めてやっていくことが非常に重要だ、そのように考えております。

○近藤(昭)委員
 では、質問を終わりにします。ありがとうございました。

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