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第213回国会 衆議院 経済産業委員会環境委員会連合審査会 第1号 令和6年4月3日

○近藤(昭)委員
 立憲民主党の近藤昭一でございます。
 今日は、経済産業省、そして環境省の連合審査ということで、質問の機会を得ましたことを感謝申し上げたいと思います。
 と申しますのも、私は今、立憲民主党の衆議院議員として活動させていただいておりますが、最初に所属をしましたのは新党さきがけという政党でありました。武村正義さん、亡くなられましたけれども、武村さんが提唱しておられた「小さくともキラリと光る国・日本」、これは石橋湛山さんの小日本国主義にもつながるわけでありますけれども、決して軍事大国にはならない、環境を大切にする、環境を重視をするということであります。
 ただ、決して縮小していく縮こまり思想ではなくて、環境主義そして平和主義を大事にして、広く商業も推し進めていく、そういう中で日本が光っていくんだ、こういう考え方だと私は理解しています。そして、そういう中でやはり環境を大事にしなくちゃいけない。
 残念ながら、経済成長を優先をして、その中で環境がないがしろにされてきた、そういうところがあったと思うんです。そういう中で環境庁ができ、そして環境省になった。環境国会という国会もあったわけでありますが、そうした活動が行われてきた、そして、それに私は共鳴をしてきたということであります。
 そういう意味で、今回、水素の促進、そしてまたCCSの活用、こういうことであります。私は、そういう意味では、環境をしっかりと維持しながら、環境を大切にしながら、しかし、経済成長も、経済も発展をさせていく、成長をしていく、やはりこのことが大事だと思っていまして、そういう意味で、冒頭申し上げましたように、今日、連合審査があるということで、本当に感謝をしております。
 そして、そういう中で、私は今環境委員会に所属をしておりますので、特に環境の面から少し質問をさせていただきたいと思います。
 今回の法案でありますが、水素社会推進法、そしてCCS事業法案ということでありますが、私が今申し上げたように、世界的に環境が非常に打撃を受けている、そして気候変動、気候変動も気候変動危機と言われていて危機的な状況なんだ、こういうことで、既に経済発展したところ、これから発展をしていくところ、今発展途上にあるところ、それぞれ主張がぶつかり合うときもあるわけでありますが、しかし、世界が、やはり、まず少なくとも一・五度以内に上昇を抑えようということで話し合ったわけであります。そして、そういう中で、世界が協力して、日本も活動しているわけであります。
 さて、日本の状況でありますが、日本は二〇一三年以降にCO2は削減傾向にある、こういうふうなデータは出ているわけでありますけれども、これは何なのか、どういう要因によるのかということであります。
 政府は、今申し上げたように、削減経路をたどっているということでありますが、どのようにこの傾向を分析していらっしゃるのか、お話を伺いたいと思います。

○秦政府参考人
 お答えいたします。
 我が国は、パリ協定の一・五度目標と整合的な形で、二〇五〇年カーボンニュートラル、二〇三〇年度四六%削減、こういった目標を掲げておりまして、二〇二一年度には、二〇一三年度、基準年に比べまして約二〇%の削減を達成するなど、着実に実績を積み重ねてきておるところでございます。これには、国民の皆様、事業者の皆様を始め、関係者の皆様方のたゆまぬ御尽力があったものと認識をいたしてございます。
 御指摘の、二〇一三年度と比べて我が国の温室効果ガス排出量が減少している主な要因といたしましては、まず一つには、省エネルギー、これが更に進展をいたしまして、エネルギー消費量が、これは電力に限らず、それ以外の部門においても減少をしてきたこと、そして、再生エネルギーの拡大等による電力の低炭素化に伴う電力由来のCO2の排出量の減少等が主な要因として挙げられると考えてございます。

○近藤(昭)委員
 この間、日本としても様々取り組んできた、こういう中で、減少の傾向、そういうところにあると。そうしておっしゃるところではありますけれども、少しG7の各国との比較で申し上げたいと思うんですが、今御説明にあった、そうした省エネ、そして、そうした中の削減努力というものが来ているということでありますけれども、日本は、オントラック、そういう状況の中にあるんだということでありますが、一部、海外からは、そのようになっていないのではないかと。ブルームバーグの記事なんかを見ていると、G7諸国に後れを取っているのではないかと。
 そういう中で、米国トップ気候公使であるジョン・ポデスタさんが、アジア諸国を訪問した際、日本は再生可能エネルギーの展開を加速をし、洋上風力などの技術に注力すべきだと述べたことを伝えているわけであります。
 また、そうした比較の中で、日本は削減途上にあると言っているわけですが、G7それぞれのスタート時点を考えると、一九九〇年なり二〇〇〇年なり、それぞれ違うところがあって、こうしたことをそろえて、一緒にしてきちっと比較すべきではないかと。私は、全く減ってはいないとは、決して、順調に減っている、こういうふうには思えないわけでありますが、いかがでありましょうか。

○秦政府参考人
 お答え申し上げます。
 温室効果ガス削減目標の基準年につきましては、これはパリ協定でも認められておるわけでございますが、各国がそれぞれの事情に基づいて定めることができるということになってございます。
 その上で、我が国の、先生御指摘のオントラックにつきましては、二〇一三年度から二〇二一年度までの排出削減の実績が、二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向けまして、二〇一三年度の基準年の実績値、それから二〇三〇年の四六%削減目標、そして二〇五〇年のカーボンニュートラルをつなぐラインに沿いまして、着実に減少しているということを表したものでございまして、直接各国との比較の中で論じておるものではございませんが、少なくとも直近の数年間におきまして着実な減少を見ておるということだと認識をいたしてございます。

○近藤(昭)委員
 そうした傾向にある、そういう数値が出ているということは承知をしているわけでありますけれども、私が危惧をしているのは、じゃ、本当にそれで大丈夫なのかということであります。
 二〇一三年以降、今御報告があったように、減少傾向にある。ただ、二〇二一年には前年に比べて一千万トン増加をしているわけであります。これは、コロナが五類に移行して、経済活動が復活をしたということであると思うんです。
 ただ、もう一方で、再生可能エネルギーの導入は必ずしも増えてはいない。二〇二〇年以降にも石炭火力は多数稼働しております。今後の国内排出量はこれまでと同じようなペースで減る、こういう見通しは描けないのではないか、こういうふうに思っています。
 そして、今環境省から御報告がありましたけれども、今後、四六%から五〇%の高みを目指した削減に今の状況で進めるのかと大変危惧をしておりますが、いかがでありましょう。

○秦政府参考人
 お答え申し上げます。
 先ほども申し上げたとおり、この数年間はオントラックで進捗してきたわけでございますけれども、今委員から御指摘のあったように、コロナによります社会活動の活性化等によりまして前年度比二%の増加となるなど、引き続き予断は許さない状況であるというふうにも認識をいたしてございます。
 二〇三〇年度の目標の達成に向けましては、政府一丸となって地球温暖化対策計画、エネルギー基本計画に基づく対策や施策を着実に実行することに加えまして、昨年七月に閣議決定をいたしましたGX推進戦略に基づく取組、これも進めることといたしてございます。
 環境省といたしましては、気候変動対策全体を取りまとめる立場から、地球温暖化対策計画に基づく各省庁の取組の進捗管理、フォローアップを通じまして政府全体の対策を継続的に前進をさせていくとともに、自らも地域や暮らしの脱炭素化に取り組みまして、目標達成の確度を高めてまいりたいと考えてございます。

○近藤(昭)委員
 今、そうして取り組んでいく、こういうことでお話があって、そういう取組の中で今回の法案等々もあるんだと思います。もちろんこの法案だけではなく、様々、国土交通省、農水省、それぞれの委員会でも、関連するというか、議論がされていると思うんです。
 ただ、今もありましたように、予断を許さない状況であるというのは私は間違いないと思っていて、そして、そういう中で危惧をしておりますのは、先ほど、冒頭申し上げました、経済成長も大切、そして環境保護も大切、こうしたことを、まあ、両輪といいましょうか、一挙両得というか、しっかりと両方やっていかなくちゃいけない。
 そういう中で、今回の法案。私は、水素は日本がリードしているところもあると。
 私は、COP3のときを思い出します。一九九七年、あの頃、日本はまさしく環境立国日本をつくっていくと。京都会議があって、京都に世界中の人が集まって、環境重視をしていく、そうしたことが非常に熱を持って語られて、そして、日本はそういう中で、環境も保護しながら経済成長もしていくということで、かなり世界的にもリードをしていたと思うんですね。それに、いわゆる風力発電があったし、太陽光発電があったし。
 しかし、残念ながら、そうしたトップランナーであった分野が、今、風力発電、風力の羽根というんですか、あれはもう日本では造っていないという状況であるわけであります。そして、太陽光発電のパネル、これも、全く日本で造ってはいないということではないと思いますし、個人の家庭の屋根に載っているものは日本製が多いのかもしれませんけれども、でも、全体でいうと、やはり、この太陽光パネルの製造そのものもトップランナーではなくなっている。
 今後、ペロブスカイトの開発、こうしたことに対する推進の補助というか支援ということも出てくると思うんですが、こうしたところが、トップランナーであったにもかかわらず、そうでなくなってきたこと。もちろん、そういう中で今回水素のことが出てきているんだと思いますが、そういう意味では、私は、水素のことをしっかりと進めていただくことは大事だと思っています。
 ちゃんと進めていただくということは、その開発と、また利用の仕方と、これも先ほどから出ていますように、グリーン水素をしっかりと作っていく。グリーン水素をしっかり作って、それをどう活用していくかということなんですが、ただ、そうしたことをしっかりとする一方で、気になっておりますのは、是非政府におかれましては取り組んでいただきたいと思うんですけれども、やはり、齋藤大臣も、再生可能エネルギーの不安定性のことはよく指摘をされます。私もそれを全く否定するものではありません。しかし、再生可能エネルギーの持つ課題をどう克服するかということに対する支援が、私はもっとあるべきではないかというふうに思っているんです。
 そして、そういうものがなかなか見通せない中で、実はやはり再エネ投資の金額というのは減っていると思うんですけれども、そのところは、私は、再生可能エネルギーの安定と促進に政府がもっと予算の配分と、あるいは制度の問題で取り組んでいただきたいと思うんですが、これは明確に、ちょっと質問通告していないんですが、齋藤大臣、いかがでありましょうか。

○齋藤(健)国務大臣
 とにかく、我々には二〇五〇年カーボンニュートラルという目標があります。その目標を達成するためにあらゆる選択肢を追求するということが必要だと思っていますし、その中で、再生可能エネルギーというのは一つ主力の分野でありますので、実現に向けて最大限努力をしていくということに尽きるんだろうと思っています。
 私、一つ希望が見えてきたと思いますのは、委員御指摘のように、かつては、環境のために対応しようとしますと、設備投資にもお金がかかるしランニングコストもかかる、いわば経済と環境というのは二項対立だということだったんですけれども、最近は、水素は全世界で導入しなくちゃいけないとか、CCSも全世界でやらなくちゃいけないということになってきたので、その全世界でやる事業を日本が取っていくということで、成長につながっていくというものが今芽生えてきているわけであります。
 そういうものをしっかり取り組むことによって、要するに、環境が経済にマイナスだということではなくて、プラスに転じていきながら、再生可能エネルギーもできるだけ増やしていくという方向に力を尽くしていきたいなというふうに思っています。

○近藤(昭)委員
 大臣、ありがとうございます。同様の認識を持っていただいているということであります。
 ただ、もう少し、私が危惧をしているのは、やはり、再生可能エネルギー、不安定性を解消するための蓄電池、これは、いわゆる再生可能エネルギー、太陽光発電の事業者への支援と、また、やはり個人ですね。個人への支援というのはなかなか難しいところはあると思うんですが、やはり圧倒的に、再生可能エネルギー、特に太陽光発電、私は、自然破壊して、大規模に行って、自然災害さえ引き起こす、ああいうのは問題だと思っているんです。でも、だからこそ、逆に、公共の建物とか、あるいは、東京都が始めていますが、個人の建物の屋根にもっと。
 これは、以前から言われていても、残念ながら余り進んでいないというのが実情ではないかと思います。学校、小学校、中学校とか、こうしたところには、多分、一〇%か、二〇%もいっていないのではないか。非常に少ない。それも、パーセンテージであっても、いわゆる太陽光発電パネルというのはこういうものだみたいな、サンプルというか、授業の中で使われるような、いわゆる実用ではなくて、そういうもので置かれているとか、そういうのがあるんですね。
 私は、大臣も共有していただいているように、水素活用とかこうした新しい技術で、やはり、残念ながら日本がかつてトップランナーであったけれども今そうでなくなったものではなくて、ある意味、日本がトップランナーで走っていくと。でも、同時に、先ほども環境省から話がありましたように、目標を達成するためには予断を許さないし、そして一方で、再生可能エネルギーの導入は私はもっとできるんだと思います。そして、その課題は、今申し上げた、公共の建物とかに、そして、そこにも蓄電池とかを、もっと予算を投入するとか、そういうことが大事なんですが、どうでしょう、大臣、もう一度、何か。

○井上政府参考人
 お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、再生可能エネルギーを導入していくに当たって、光と影の影の部分もしっかりアドレスしなきゃいけない。
 そういう意味では、蓄電池については、一つには、家庭用も含めまして、導入支援を抜本的に拡充しております。特に、系統用の蓄電池については、今年度から、新しい補正予算の中で、今まで一年間しか使えなかったところを複数年度も活用できるようにいたしまして、当初予算でございますけれども、支援の拡充を図っていきたいと思います。  加えまして、この電池については、その補助金に加えて、新しい需給調整市場などなどの電力市場が整備されてきておりますので、こちらで新しいビジネスモデルを構築するという動きも出てきてまいりまして、様々な事業者が活用しようという形になってきております。
 現在、データの集計中ですが、こういったものも使いながら、元々、固定価格買取り制度だけがメインでしたけれども、ここのところ、FIP、新しい制度に移行していくという事業者も非常に増えてきているという足下の状況でございまして、こうした取組もしっかり進めていきたいと考えております。

○近藤(昭)委員
 ありがとうございます。再生可能エネルギー、私はもっとできると思っていまして、是非進めていただきたいと思います。
 さて、非効率の石炭火力のフェードアウトの問題であります。委員会でもやり取りをされているところでありますが、改めて確認をしたいと思います。
 電源構成は、現状で、石炭火力発電の割合は約三〇%。現行のエネルギー基本計画では、二〇三〇年の石炭の割合が一九%ということになっており、また、具体的には、非効率石炭火力のフェードアウトを進めると明記はしてあります。
 それで、確認です。
 この非効率石炭火力発電のフェードアウトには、非効率石炭火力発電にアンモニアを混焼するものを含んでいるのかどうか、確認をしたいと思います。

○久米政府参考人
 お答え申し上げます。  石炭火力につきましては、非効率な石炭火力のフェードアウトを進めつつ、水素、アンモニアやCCUS等を活用して脱炭素化を推進していく方針でございます。
 非効率な石炭火力につきましても、アンモニア混焼が進み、将来的にアンモニア専焼に近づけば、非効率な石炭火力は減少するという意味において、フェードアウトに寄与するというふうに考えてございます。
 なお、現状では、アンモニアに関するサプライチェーンが形成されていないことに加え、アンモニア混焼のためには追加の設備投資が必要となるため、既に経年化が進んでいる非効率な石炭火力においてアンモニアを混焼するという判断を行う事業者は、現実には多くないというふうに考えてございます。

○近藤(昭)委員
 ちょっと分かりにくいんですけれども、今お話があったところでいうと、非効率石炭火力、これにアンモニア混焼をすることに設備投資をする事業者は余り多くないというような言葉が最後ありましたけれども、ただ、一方で、非効率石炭火力にアンモニアを混焼することも今回の水素社会推進法の支援の対象として想定されているのかどうかということを改めて確認したいと思います。

○井上政府参考人
 お答え申し上げます。  水素社会推進法案における支援の対象でございますが、別途定めた必須条件と評価項目を通じて選定していくこととなります。
 その上で、本法案を通じた支援では、SプラススリーEに加えまして、GX実現、こうした観点から評価項目を定めていく方針でございまして、例えば、経済的に合理的かつ効率的な手法で脱炭素資源が活用されること、あるいは、鉄、化学といった代替技術が少なく転換困難な分野、用途における波及効果などを評価していくということになってございます。
 そのため、支援対象の選定は、電力の利用用途も踏まえた上で総合的に勘案されますけれども、売電目的に限って申し上げれば、一般的には、非効率石炭火力でのアンモニア混焼は、効率の高い石炭火力発電所での利用に比して、経済合理性に鑑みて、支援対象選定時の評価において劣後するというふうに考えてございます。
○近藤(昭)委員
 そうすると、劣後するということであるから、そうした非効率なもの、数値の十分でないものについては支援の対象とするのか、しないのか。

○井上政府参考人
 お答え申し上げます。
 具体の計画が出て、評価項目に従って支援するかどうかを決めていくということになりますが、先ほど申し上げたとおり、評価項目に従って見ていくときに、経済合理性に鑑みて、支援対象選定時の評価において劣後するというものについては採択しないということでございます。

○近藤(昭)委員
ちょっと確認をしたいんですが、経済合理性というのはどういうものなのか。私は、大切なのは、やはりきちっとCO2を削減できるかどうかだと思うんですね。そうした観点から支援をしていくかどうかだと思うんです。
 先ほど来から申し上げていますように、技術開発をしてCO2を削減をしていく、技術開発あるいは技術支援をしていくことは大事だというふうな前提を申し上げつつ、しかしながら、既に確立をしていて、先ほど来からやり取りしておりますように、再生可能エネルギーのことでいうと、もっと蓄電池等々を活用すれば、今の言い方で言うと、経済効率が決して低くない中で、再生可能エネルギーをもっと増やしていけるのではないか。そういうところにもっと予算を配分していくのではないか。そうあるべきなのに、何か、今いろいろと条件はおっしゃいましたけれども、結局、非効率の石炭火力のフェードアウトの問題も、ちょっとお答えもよく分からなかったわけですね。
 そうした非効率な、CO2を排出する石炭火力は、アンモニア混焼をしたとしても減らせないものはフェードアウトさせる、そして、そうしたところには支援はしないということでいいんでしょうか。

○井上政府参考人
 お答え申し上げます。
 評価項目に当たって、先生御指摘のとおり、CO2がちゃんと減っていくということは非常に大きな評価項目でございます。こうした観点から、非効率な石炭火力と高効率な石炭火力であれば、圧倒的に高効率な石炭火力の方が優先順位が高いということでございます。
 加えて、経済合理性の観点からも、非効率な石炭火力というのは、新たにアンモニアの燃焼を可能にするような設備投資を行ってまで売電目的でやっていくのかというと、その点でも評価が劣後する可能性が高いということを申し上げております。
 そういった意味で、非効率石炭火力にアンモニア混焼をする、これが本法案の支援対象になるかどうかは、アプリオリにしないということは申しにくいんですが、評価項目に従って検討をしていく中ではもちろん劣後することになるというふうに考えております。

○近藤(昭)委員
 そうすると、劣後するものはフェードアウトさせるということですね。

○久米政府参考人
 お答え申し上げます。
 非効率な石炭火力についてはフェードアウトを進めていくという方針でございます。

○近藤(昭)委員
 やはり、CO2削減をしっかりと進めていかなくてはならないわけでありまして、そして、非効率なものはしっかりとフェードアウトさせていくという上で、と申しますのは、技術開発等々で前向きにいくことは大事なんですけれども、アンモニア混焼を三〇%、五〇%してもやはりCO2の削減は、五〇%してもLNGと同じぐらいでしょうかね、CO2の排出が。あるいは、これが実現をしていくのがまだ、先般私もJERAの碧南火力発電所に参りましたけれども、これからということであって、それが五〇%になるのも先なわけですよね。
 そうしたことを考えると、一刻も早くCO2削減をしていくという上では、私はもっともっと、繰り返しますけれども、再生可能エネルギー、今ある技術、技術の開発も大事、でも今ある技術で現実的にやっていくことを是非もっと進めていただきたい、こんなふうに思うわけであります。
 さて、低炭素水素等の定義についてちょっとお伺いをしたいと思います。
 低炭素水素の定義について、これまで法案審議の中でも答弁されておられますが、水素一キログラム当たり三・四キログラムCO2としておるわけでありますが、今年の八月頃から施行されるつもりでいらっしゃるのか、確認をしたいと思います。

○井上政府参考人
 お答え申し上げます。
 水素社会推進法案でございますが、水素と水素化合物を対象としておりますが、水素化合物については省令で定めることとしておりまして、アンモニア、合成メタン、合成燃料を規定することを想定いたしております。
 本法案の施行のタイミング、先ほど、この国会で成立いただければという前提ですが、本年夏をめどにと考えておりまして、その水素化合物を定める省令もそのタイミングで施行できればと考えております。

○近藤(昭)委員
 ありがとうございます。
 さて、水素以外に、アンモニア、合成メタン、合成燃料などが挙がっているわけですが、まずは最初の施行時点で具体的にどの物質について定めるつもりなのか、確認をしたいと思います。

○井上政府参考人
 お答え申し上げます。
 本年夏の施行のタイミングで、アンモニア、合成メタン、合成燃料の三つを施行していきたいと考えてございます。

○近藤(昭)委員
 ありがとうございます。
 それでは、それぞれどのような炭素集約度にするつもりでいらっしゃるのか、具体的な数字で教えていただけるとありがたいです。

○井上政府参考人
 お答え申し上げます。
 本法案の対象となる低炭素水素等の基準につきましては、現在、海外の制度も参考にしながら、審議会において有識者に御議論いただいているところでございます。  有識者からは、まず水素でございますけれども、炭素集約度につきまして、水素一キログラムの製造に係るCO2排出量が三・四キログラム以下としてはどうかという御意見をいただいております。この場合、今までのグレー水素と比較して、製造に係るCO2排出量は約七割減という形になります。
 また、アンモニア、合成メタン、合成燃料についても現在検討中でございますけれども、一点、やはり水素よりも製造プロセスが複雑になるということを留意する必要がございます。また、これを踏まえて、国際的に参照できる支援制度の基準例というものもなかなかばらつきがあるように見えております。
 また、諸外国の考え方や低炭素水素における基準値の考え方、先ほど、水素につきましては、グレー水素と比較して、製造に係るCO2排出量は約七割減という方向で検討いただいておりますけれども、こうした低炭素水素における基準値の考え方も踏まえまして、今後、有識者と更に議論を深めていただきたいというふうに考えてございます。

○近藤(昭)委員
 これからということで、少し不安を感じますけれども、是非とも、有識者会議でも、水素より小さい数字でということが出ているということで、そこはしっかりとお願いをしたいと思います。
 今ちょっと、ただ、その後に、製造方法が複雑であるということがあり、少し不安を感じるようなところがあるわけでありますけれども、私は、複雑だからということではやはりいけないと思うんですね。いけないというのは、繰り返しますけれども、こうしたことも大切だ、しかし、再生可能エネルギーがもっと進められるように、もちろんこれに見方はいろいろとあるかもしれませんが、私はそう思っているんです。
 大臣、どうでしょうか、この数字の問題については。

○齋藤(健)国務大臣
 今まさに説明ありましたように、有識者の皆さんと議論をしていただいている最中であるというふうに認識していますので、私の方から予見を与えるようなことは申し上げにくいわけでありますけれども、近藤委員の問題意識は私も共有するところがございます。

○近藤(昭)委員
 委員会で審議をするというところではありますけれども、やはり国として決定していくわけですし、大きな国際公約を実現するためには、私はやはり、政府として、大臣として、しっかりとリーダーシップを発揮していただきたいと思います。
 さて、ちょっと時間がなくなってまいりましたので、少し順番を変えさせていただくことをお許しをいただきたいと思います。
 CCSについて質問したいと思います。CCSの二〇五一年以降の状況、姿ということであります。
 CCSについては、経済産業省のCCS長期ロードマップ検討会の取りまとめなどに、CCSの導入拡大イメージを示しております。二〇三〇年にはCCS事業を開始し、その後、約六百から一千二百万トンずつ年間貯留量を増やし、二〇五〇年には一・二億トンから二・四億トン貯留するという、私はなかなか現実的ではないと思うんですが、そうした絵が描かれていますが、二〇五一年以降は全く示されていません。二〇五一年以降をどのように想定しておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

○定光政府参考人
 お答え申し上げます。
 二〇二三年三月に策定したCCS長期ロードマップにおいては、二〇五〇年時点の日本のCCSによる想定年間貯留量の目安を、一・二億トンから二・四億トンと、御指摘ありましたとおり、推計してございます。これは、需要見通しではありませんけれども、CCSに関する有識者の議論や政策的な検討を行うために、一つの材料としてお示ししたものでありまして、現在の我が国のCO2排出量の約一ないし二割に相当するものでございます。
 二〇五〇年に焦点を当てているのは、我が国のカーボンニュートラルの達成時期を二〇五〇年というふうに想定していることを踏まえたものでございます。その先はという御指摘もございましたけれども、将来のCCS導入の目安につきましては、将来の産業構造、あるいはエネルギー需給の変動による影響を受けることが見込まれます。
 こうしたことから、まずはCCS事業のビジネスモデルを確立しつつ、脱炭素化の進展の見通しなどを踏まえて、今後、必要に応じて見直してまいりたいというふうに考えてございます。

○近藤(昭)委員
 CCS事業の賛否、難しさみたいなのは、これまでも経済産業委員会でも議論されているところだと思いますけれども、私は、しっかりと二〇五〇年を目指してやっているわけでありますから、何か、その後のことはまた今後みたいな、そういうことがあってはならないというふうに思っております。
 さて、もう本当に時間がなくなってまいりましたので、ちょっとお聞きしたいのは、今後、本当に再生可能エネルギーにこだわるわけでありますけれども、九州電力の出力抑制のことがよく言われるわけじゃないですか。九州では太陽光発電が大変に伸びてきている、しかし、出力制御というか、抑制といいましょうか、そうしたことが行われている。齋藤大臣も再生可能エネルギーの課題ということでおっしゃっているわけですが、しかしながら、こういう状況があるということは、やはりもっとやり方があるんだと思うんですね。  今後、九州電力でこういうふうに出力抑制、出力制御をしている、こんなことはなくなっていくんでしょうか、この法案を作って。

○齋藤(健)国務大臣
 この法案でということにはならないと思うんですが、おっしゃるように、再エネの出力制御は、電力の安定供給を維持しながら再エネの最大限の導入を進める、こう考えると必要な措置なんだろうと思っていますが、これによって、委員御指摘のように、再エネの導入自身の妨げになってはならないというふうに思っています。
 したがいまして、経済産業省では、再エネの更なる導入拡大に向けて、この出力制御量というものを最大限抑制をしていかなくてはいけないということで、昨年末に取りまとめた出力制御対策パッケージというのがございますので、それに基づいて包括的な対策をしっかり講じていくというのが基本的なスタンスであります。
 具体的には、電気料金についても、デマンドレスポンスを推進をして、昼間の太陽光発電を最大限活用するために、電力会社の取組状況を公表して比較できるようにして、ピアプレッシャーみたいなものもあるでしょうし、それから、料金メニューの多様化を推進をしたりしています。
 御指摘の九州エリアですけれども、九州電力では、再エネを最大限活用するために、四月から昼間の電力料金単価を割安にする新たな料金メニューを提供しているということもあります。
 こういうことで、いろいろな工夫をしながら、この出力制御をできるだけ少なくしていきたいなというふうに思っています。

○近藤(昭)委員
 是非、大臣の決意をお聞かせいただきましたので、お願いをしたいと思います。
 先ほど申し上げましたように、再エネの設備投資が必ずしも増えていないという現状の中に、やはり、太陽光発電しても九州だと抑制されてしまっているとか、ほかのところでも、これまでも送電線の空き枠の問題なんかもありましたけれども、様々ちょっとあるんだと思います。そういうところだと思います。
 最後に、伊藤大臣にお伺いしたいと思います。
 そうしたCO2の排出削減、きちっとした環境レビューというのを昔環境省を中心にやっていました。今、環境レビューは行われていなくて、事業者の報告になっています。これをやはり復活させる、あるいは、今それぞれの事業者がやっているところに、もっとやはりいい意味で、経済成長の部分等、きちっとこちらで環境省が規制をしていくというかチェックしていく、このことが大事だと思うんですが、大臣、いかがでありましょうか。

○秦政府参考人
 議員御指摘の、電力事業レビューということかと思うんですけれども、こちらにつきましては、二〇二〇年の七月に現時点で最後のレビューをやったわけでございますけれども、その後、非効率石炭火力のフェードアウトを進めるとともに、アンモニアやCCUS等を活用した脱炭素型の火力に置き換えること、こういった新たな政策というのが出てきまして、大きく進展したと思っております。
 こうした状況の変化を踏まえつつ、御指摘のような電力部門の脱炭素化に係る評価、検証につきましては、これは地球温暖化対策計画のフォローアップの一環といたしまして、経済産業省に設置されております審議会において毎年度行われております。この審議会に環境省も参加をいたしておりまして、引き続き、電力部門の脱炭素化に向けた進捗状況の確認をいたしております。
 環境省としても、気候変動対策全般を所管する立場から、二〇五〇年ネットゼロに向けての電力部門の取組状況を引き続き厳しくチェックするという姿勢には変わりはございません。

○近藤(昭)委員
 環境省がしっかりやってきたレビューでなくて、今審議会ということになっているので、いささか私は今、頑張るとはおっしゃっていましたけれども、懸念を持っているんですよ。
 伊藤大臣、しっかりと、我々もしっかりと応援していくというか一緒にやっていきますので、頑張っていただきたいと思います。
 今日はどうもありがとうございました。

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