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第213回国会 衆議院 環境委員会 第5号 令和6年3月29日

○近藤(昭)委員
おはようございます。立憲民主党の近藤昭一でございます。
 法案について早速質問に入らせていただきたいと思います。
 本年三月五日の閣議後の記者会見で伊藤大臣は、認定を受けた増進活動の実施場所をOECM国際データベースに登録する、こういうふうに答えられました。
 さて、その際、どの程度の増進活動ならばOECM登録できると判断されておられるのか、これは具体的な基準を明示して公開すべきだと考えているわけでありますが、いかがでしょうか。

白石政府参考人
 お答え申し上げます。
 本法案で認定する活動には、既に生物多様性が豊かな場所で生物多様性を維持する活動と、それから、現状では生物多様性が劣化等している場所で生物多様性を回復及び創出する活動の二つのパターンがございます。
 このうち、生物多様性を維持する活動の場合は、保護地域との重複を除きまして、その場所をOECMとして国際データベースに登録する予定でございます。  他方で、生物多様性を回復及び創出する活動の場合には、認定申請段階では生物多様性の豊かな状態ではないため、認定後における回復、創出活動の継続の結果、生物多様性の状態が豊かになった時点でOECMとして登録することを想定しております。
 現在運用している自然共生サイトでは、保護地域との重複を除いてOECMとして国際データベースに登録する仕組みとしておりますが、自然共生サイトの認定基準は、IUCNのOECM基準を踏まえて有識者会議での議論を経て策定し、公開をしております。
 そのため、本法案におけます増進活動実施計画の認定基準についても、現行の自然共生サイトの認定基準を踏まえながら、今後具体的に作成し、公開していく所存でございます。

○近藤(昭)委員
 少しこの点についてはこだわりたいといいましょうか、非常に気にかけているわけであります。委員会等々で審議をして認定基準を議論し、そして公開をしていく。維持されているもの、そうではなくて、回復そして創出していくものなんかがある。そして、この間も環境省も御努力いただいて、自然共生サイトというような仕組みもつくりながら取り組んでいただいているわけだと思います。
 ただ、今回のいわゆるサーティー・バイ・サーティー目標は、昆明・モントリオール生物多様性枠組に掲げる二〇五〇年グローバルゴールの達成のための過程の一つだと思うんです。
 振り返りますと、これは、二〇一〇年にCOP10が愛知・名古屋でありました。前もお話をしたかもしれませんが、当時、民主党政権で、私も環境副大臣としてこの会議に携わらせていただいたわけであります。そこで、愛知目標、愛知ターゲットというものが掲げられたわけであります。しかし、残念ながら、それが達成されなかった。そういう中で、先ほど申し上げました、新たに昆明・モントリオール生物多様性枠組の中に目標が掲げられた部分も非常に大きいと思うんです。
 さらに、このCOP10の前にはCOP6がありました。オランダのハーグであります。そこでも目標が掲げられたわけでありますが、ここでも達成されなかった。つまり、COP6で掲げられたものをCOP10で改めて目標として掲げた。そして、今度はCOP28の新たな目標として掲げられているわけです。ですから、私は、やはり失敗は許されないというか、本当にきちっと取り組んでいかなくてはいけないと。
 そういう中で、この自然共生サイトの中から、これから基準も公表していくけれども、OECMに登録するのではないかと思うんです。ただ、自然共生サイトのフォローアップは五年ごとであります。そういう中では、長期的なモニタリングに関する規定はないと思います。
 自然共生サイトや増進活動をOECMで登録するのであれば、やはり二〇五〇年まで活動を継続する担保が必要だと思います。COP6もCOP10もそうでありました、二〇三〇年、二〇五〇年というのが大きな目標でありますが、今申し上げたように、二〇五〇年までの活動を継続する担保が必要だと思いますが、いかがでありましょうか。

○伊藤国務大臣
 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、生物多様性の確保のためには、認定された計画に基づいて、活動主体が長期的、継続的に生物多様性の増進活動を実施することが重要だというふうに考えております。
 そのため、本法案では、活動の実施状況について国に報告を求めることができる規定を設けております。万が一、計画に基づく活動が実施されておらず、改善の見込みがないと判断される場合や、計画に沿った活動の実施が困難と判断される場合には認定を取り消す旨も規定してございます。そして、この認定の取消しを行った場合には、その活動場所を国際的なOECMの登録から除外する予定でございます。
 長期的に活動を継続するに当たっては、様々な支援も必要、また重要というふうに考えておりまして、現在、環境省では、専門家等による助言、伴走支援、持続可能なモニタリング手法の開発、普及、活動の継続性や活動の効果を見える化する仕組み等の検討を進めてございます。
 認定された活動が二〇三〇年を超えて可能な限り長期的に継続され、かつ、活動が継続されていないものが認定を受けたまま放置されることで制度全体に対する信頼性が損なわれることがないように適切な制度運用を行ってまいりたい、そのように考えております。

○近藤(昭)委員
 ありがとうございます。
 専門家のサポートというか、関わりの中で、今大臣もおっしゃったような、その取組がふさわしいものではないという場合にはそれを解除するということで、ある種の厳しさということなのかもしれません。
 ただ、一方で、先ほど申し上げましたように、これまでも何回も目標を達成できずに、この間、ずっと来ているわけであります。そういう意味では、うまくいっていない、だからこれを外すということではなくて、やはり最初の段階で、OECMに認定をするという基準を明確に設けて、それをきちっとクリアをしたもの、あるいは、そうしたことがきちっとクリアされていくように、環境省としてバックアップといいましょうか、しっかりしていかなくちゃいけない。やってみた、駄目だった、だから外すではなくて、きちっとした認定基準を設けて、まさしくOECMに登録されるということは非常に重要なことなんだ、ある種の期待が持てるんだ、こういうことをしっかりしていくべきだと思うんですね。
 私は、自然共生サイトの認定基準に関して申し上げますと、生物多様性の保全価値に関する数値基準が設けていないのではないかと思うんです。そういうことでいうと、自然共生サイトごとの保全価値の高低について客観的な判断ができないというのが今の状況ではないかと思います。
 各自然共生サイトが、二〇五〇年を目指すOECMとして適切かどうかを、早い段階できちっと、駄目だったから外すではなくて、適切かどうかを判断をしなくちゃいけないと思うんです。そして、そういうものに、きちっとクリアできるようにしっかりと後押しをしていかなくちゃいけないと思うんです。そういう意味では、それぞれの個別の登録地をきちっと再評価する必要があると思うんですね。
 そういう意味では、自然共生サイトや増進活動をOECM登録する場合には、非常に透明性のある形で審査をすべきだと考えます。基準値を設けて、そして透明性を持って、なるほどといいましょうか、周知の下でそうしたことを進めていくことを思いますが、いかがでありましょうか。

○白石政府参考人
 お答え申し上げます。
 先ほどの答弁の繰り返しになるかもしれませんが、現行の自然共生サイトの認定基準は、IUCNのOECM基準を踏まえて有識者会議で議論して作成してございます。
 数値基準がない、あるいはサイトの保全価値の高低が判断できないではないかという御質問でございますけれども、生物多様性は、地域や生態系のタイプ等によってかなり違いがありまして、我々も検討の中でいろいろ議論はしておりますが、一律な数値指標で比較することはなかなか困難であるというふうに考えておりまして、審査に当たって、論文や文献資料、調査結果等の客観的なデータを用いまして、生物多様性の価値の基準に合致するかを個別に判断をしているというところでございます。
 本法案につきましては、生物多様性を維持する活動として認定した活動場所をOECM登録することを想定してございますが、透明性というお話もございました、計画認定の審査におきまして、自然共生サイトの基準を基に新たに策定する基準や専門家の意見を踏まえまして、活動場所が生物多様性の価値を有するかというのを透明な形で適切に判断をしてまいりたいというふうに考えてございます。

○近藤(昭)委員
 ありがとうございます。
 では、確認しますけれども、そうすると、そういうなかなか難しい面もあるからこそ、一律的というか、基準を設けてというよりも、きちっと審査をするということで、いわゆる自然共生サイトや増進活動からOECM登録する際には、別途慎重にきちっと審査をする、こういう仕組みでいくということでよろしいでしょうか。

○白石政府参考人
 お答え申し上げます。
 認定に当たりましては、透明な形で、まず、この法律に基づきます計画の認定に当たりましては、先ほど申し上げましたような有識者の意見等を交えて適切に判断をしてまいりますし、OECM登録に際しましても、IUCNが示しましたOECMの基準に照らしてきちっと判断をした上で登録をする。
 もちろん、相当重なっておりますので、そこら辺は、審査のプロセスで、認定の際の事実を考慮しながらOECMの登録を行っていくということだと思います。

○近藤(昭)委員
 ちょっと端的にお答えいただければと思うんです。
 もう一度確認しますが、別途きちっと審査をする、こういうことでよろしいですか。

○白石政府参考人
 お答え申し上げます。
 この法律に基づきます認定、それとOECM登録に基づく審査というものは別途の行為だというふうに考えてございます。

○近藤(昭)委員
 繰り返しますけれども、これまでも何遍も、失敗しているという言い方はよくないかもしれませんけれども、目標クリアということでいうと、クリアできていないんですよね、COP6、COP10と。
 是非そういう意味で、環境省、この新たな法律、新法を作り、取り組んでいくということでございますから、しっかりとやっていただきたいというふうに思います。
 さて、絶滅危惧種の国際取引を規制するワシントン条約は、一九九〇年以来、象牙の国際取引を禁止をしていますが、止まらない密猟に対する抜本的対策として、二〇一六年、密猟又は違法取引、輸出と輸入でありますが、に寄与している国内象牙市場の閉鎖を求める改正決議が採択されております。
 これを受けて、日本政府は、二〇一七年に種の保存法を改正し、象牙取引管理の強化を図ったわけであります。
 改正法の可決に当たっては、衆議院及び参議院で、アフリカゾウの密猟を防ぐため、象牙の国内市場の閉鎖が世界的な潮流となる中、国内市場を存続させている我が国においては、違法取引が疑われることのないよう、象牙の管理の更なる強化に積極的に取り組むこととの附帯決議がつけられました。
 この附帯決議の意図は、当時は、象牙の国内市場の閉鎖が世界的な潮流となりつつある過渡期にあるので、当面は、国内市場の存続を認めつつ管理強化に積極的に取り組みながら、国際情勢を見極めた上で次のステップを考えていくということだったと思います。
 ところが、その後、米国に加え、中国、英国、シンガポール等、多くの国で国内市場の閉鎖が進みました。二〇二二年一月には、EUが域内市場を閉鎖をしたということであります。日本を除く世界の主要な象牙市場は全て閉鎖されたと言ってよい状況になったと思っています。また、そういう中では、G7諸国で閉鎖していないのは日本のみなんですね。
 この国際情勢を踏まえれば、次の種の保存法改正に当たっては、次のステップ、すなわち国内象牙市場の閉鎖を実現すべきではないかと考えますが、いかがでありましょうか。
 時間がありませんので、併せて。
 二〇一七年改正種の保存法の施行後五年後の検討を行うべく、施行状況評価会議の第一回会合が二〇二四年三月二十一日に開催されました。そこでは、二〇一七年改正の施行状況を評価し、次回法改正に向け、論点の抽出と整理が行われる。
 環境省としては、条約決議にのっとった国内市場閉鎖、すなわち狭い例外を除く国内取引、を目指すべく、象牙の国内取引規制を次回の法改正の重要論点とする考えかどうか、このことを併せてお伺いしたいと思います。

○白石政府参考人
 お答え申し上げます。
 象牙の市場の閉鎖をすべきでないかという話と次回の話と、二つ御質問を受けました。
 我が国では、象牙につきまして、ワシントン条約の履行のため、外国為替及び外国貿易法により輸出入を規制するとともに、種の保存法に基づき国内取引を原則禁止として、例外取引も厳格に管理をしてございます。
 野生生物の持続可能な利用の観点から、厳格な管理の下であれば取引が認められるべきという考え方を持つ国も、我が国以外にも存在をいたします。
 その我が国の考え方につきましては、二〇二二年の十一月に開催されましたワシントン条約第十九回締約国会議及び昨年十一月のワシントン条約第七十七回常設委員会におきまして、丁寧に説明してございます。引き続き、経済産業省とともに、種の保存法に基づく厳格な国内の流通管理の下で、監視取引や登録事業者への普及啓発に取り組んでまいります。
 それから、次回の改正の論点とすべきでないかという話でございます。
 象牙の国内取引を原則禁止と我が国ではしておりまして、狭く例外的な取引についても厳格に管理をしてございます。特に、前回の改正におきまして、象牙取扱事業者の登録制及び更新制を導入するとともに、全形を保持した象牙の登録審査の厳格化を図ってございます。
 種の保存法につきましては、前回の法改正から五年が経過しておりまして、法の施行状況評価を今年度より開始してございます。象牙の国内市場を含めまして流通実態の最新の状況を把握するとともに、前回改正事項を含む各規定の有効性を評価いたしまして、課題を抽出し、必要な対応を検討することとしております。
 種の保存法に基づき流通が規制される種の種類は千以上に上りますので、論点が非常に幅広いということもございます。
 環境省としては、科学的な知見を基に、種の保存に特に支障を及ぼし得る市場などを中心に、適切な流通管理に向けた方策を検討してまいりたいというふうに考えてございます。

○近藤(昭)委員
 いろいろとお話をいただきましたけれども、そういうことの中で、残念ながら、日本が市場を閉めていないということがやはり大きなポイントで、日本が、ある種の抜け道のようなところに使われている。だから、今回お伺いしておりまして、今も、何か検討していくということで、そうすると、大臣にこれはお答えいただきたいんですが、私は、やはり日本の国内象牙市場の閉鎖を実現すべきだと思うんですが、いかがでありましょうか。

○伊藤国務大臣
 委員からも重要な御指摘をいただいて、また多方面からもいろいろな御意見がありますので、しっかり受け止めて、日本として適切な対応ができるように努力させていただきたいと思います。

○近藤(昭)委員
 ありがとうございました。
 質疑時間が終わりましたけれども、大臣の返答では、まだ検討というようなことであって、閉鎖するというお言葉がいただけなかったのは残念でありますけれども、よろしくお願いします。
 以上です。

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