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第213回国会 衆議院 環境委員会 第2号 令和6年3月12日

○近藤(昭)委員
 ありがとうございます。
 廃棄物行政は地方自治が担うということになっているわけでありますけれども、やはり国の、今大臣もお答えいただいたわけですが、国全体として、そしてまた、今申し上げたように、災害というのは一つの地域だけで起こる、自治体で起こるわけではなくて、広域で起こって、自治体をまたぐことも多いわけでありますし、またぐことがほとんどだと思うんですね。そういう意味で、ある自治体で起きた災害廃棄物を隣に運んでいくとか、そういうこともあると思います。
 そういう意味では、きちっと国が方向性を出してやっていただきたいと思いますし、今大臣は、廃棄物が民間委託されているところもあるけれども、国として自治体と連携してしっかりとやっていくということであると理解をしております。
 今回、能登半島地震が起きて、災害廃棄物のことで環境省も大変に御尽力をいただいているところであります。今もお答えの中にありましたが、自治体も被災していますから、環境省から職員の人を派遣していただいて現地で対応に当たっていただいている。たまさか私の秘書官であった職員さんも石川の出身だということで、たまたま地元に帰っていたところでそのまま支援に入ったということを聞いておるところであります。
 さて、全国の清掃工場の多くは、二十年前、ダイオキシン対策に伴って一斉に建て替えられたということであると思います。建て替えの更新時期が重なったわけですね、ダイオキシン対策ということで。そういう中で、焼却炉の建設コストが高騰している、昔の二倍近くになっていると聞いております。
 災害対応時のリスク分散や収集、運搬の時間などを踏まえた施設の在り方と、安定的に処理できる施設整備に向けた予算確保と体制が重要と考えますが、いかがでありましょうか。

○伊藤国務大臣
 昨年六月に閣議決定した廃棄物処理施設整備計画においては、一般廃棄物処理の広域化や施設の集約化を記載しております。そのほか、災害時も含めた持続可能な適正処理の確保を基本的な理念の一つとして示しているところでございます。
 これを踏まえ、災害対応時のリスク分散の観点から、大規模な災害が発生しても一定期間で災害廃棄物の処理が完了するよう、一定程度の余裕を持った廃棄物焼却施設の能力を維持する等、代替性及び多重性を確保していくことが重要であるというふうに考えております。
 このため、環境省では、地方自治体が実施する一般廃棄物処理施設の整備に対しては、循環型社会形成推進交付金等による財政支援を行っているところでございます。
 引き続き、地方自治体において、災害時も含め、必要な一般廃棄物の処理体制が確保されるよう、必要な予算の確保に努めてまいりたいと思います。

○近藤(昭)委員
 大臣、是非必要な予算、まさしく大変に高騰していて、従来にも予算をいただいている、しかし、それが、いろいろなものが、材料費等が高騰しているだけではなくて、先ほど申し上げましたように、二十年前にダイオキシン対策で一斉にやっていて、これは造ることができる企業というのは限られているんだそうですね。ですから、限られている中で余計にというか、それがまたそうした工事料金というか代金というものを上げているんだそうです。
 そういう意味で、まさしく大臣は必要だと言っていただいたわけですから、これが必要になっていて、是非、先ほど申し上げましたように、倍とか、そういうふうになっているようでありますので、しっかりと確保をいただきたいというふうに思います。
 さて、先ほども伊藤委員からも質問がありましたが、ネイチャーポジティブの問題であります。
 二〇二二年十二月、COP15で、自然を回復させていくよう、生物多様性の損失を止め、反転させるネイチャーポジティブの考え方が掲げられた。そういう中で、やはり生物多様性を保全することは最も重要な環境省の仕事だということであります。先ほど伊藤委員からもCOP10の御紹介がありました。私も、当時、民主党政権でもありましたので、COP10を担当させていただいたところであります。
 こうした観点から、環境アセスメントは非常に重要だと思うんです。二〇一三年から完全施行されている現在の環境影響評価法に基づいて環境アセスメントが今行われているわけでありますが、例えば、沖縄県辺野古や鹿児島県の馬毛島における基地建設等において現地の生物多様性が守られるように、私は、もっと環境省は純粋に環境の視点から厳しくチェックをすべきだと常々考えてきております。
 そのような観点から、生物多様性の保全が十分でない場合には事業そのものをやめさせること、これは、環境アセス法が、影響評価法が作られたときからずっと課題になっているところでありますけれども、やめさせることも含め、厳しい制度の運用、あるいは法改正も求められると思いますが、いかがでありましょうか。

○伊藤国務大臣
 お答え申し上げます。
 この環境アセスメント制度の趣旨は、事業者が事業の環境影響について調査や評価、これを行うことで、環境保全の観点からよりよい事業の計画を策定することでございます。議員御指摘のとおり、二〇三〇年ネイチャーポジティブの実現に当たっては、環境アセスメント制度の果たす役割は非常に大きいものだ、そのように考えております。
 実際に、事業が政府の目標や計画と合致しない場合や、環境保全の観点から著しく合理性を欠く場合については、環境影響評価法の環境大臣意見において、事業計画の見直しも含めた厳しい意見を述べており、事業の廃止や大幅な見直しに至った事例もございます。
 引き続き、適切な環境保全の確保の観点から、環境影響評価法に基づく適正な審査を行ってまいりたいと考えております。

○近藤(昭)委員
 ありがとうございます。
 厳しい意見も言ってきたというところであると思うんです。環境省も奮闘していただいているところだと思うんです。
 ただ、やはりまだまだです。まだまだというか、よく言われるように、我々が環境を守っているのではなくて、我々が環境によって守られているわけであります。ですから、環境を破壊しては、我々人類というか、人類だけではありませんけれども、人類を取り巻く環境が壊されることによって、我々も生きづらく、生きられなくなっていくと思うんです。そういう意味では、厳しくこの運用をまずしていただきたいということと、そしてまた、さらに、やはりこれは改正、見直しも近づいていると思うんです、時期も近づいていると思いますので、しっかりとゼロオプションも含めたそうしたことを進めていただければと思います。
 さて、東日本大震災からの復興、昨日は三月十一日だったわけでありますけれども、十三年、東日本大震災が発災してたちました。原発事故と避難計画について質問したいと思います。
 今回の能登半島地震では、改めて原発の危険性が明らかになったと私は思います。志賀原発がもし稼働していたら、また、住民の反対で建設されなかったが、建設が計画されていた珠洲原発ができて稼働していたらどうなっていたんだろうか。
 実は、私も二月の十一から十三日まで被災地に参りました。珠洲市にも参りました。本当にひどい状況であります。あらゆるところにというか、多くのところに亀裂が走って、海も隆起をしたということであります。地元の皆さんは、関係の皆さんは、本当にあそこに造らなくてよかった、市民運動が、住民運動がありました、造らせなくてよかったとおっしゃっているわけであります。
 さて、今回の、今申し上げたように、こういう中で、まさしく海に逃げよう、あるいは海から支援をしようとしてもなかなか難しい状況があの海岸ではあったと私も目の当たりにしたわけでありますけれども、非常に現地は厳しい状況になっていたわけです。そういう中で、屋内退避や避難が困難だったわけであります。
 原子力規制委員会では、それらの課題を想定せず、自然災害への対応は我々の範疇外だと山中委員長は述べておられます。しかし、現実的には、自然災害が起きて、そして、関連するわけでありますけれども、原子力事故が起きる、つまり、複合災害が起きているわけですね。そういう中で、いきなり多くの、非常に避難が難しいわけであります。
 そういう意味では、避難計画も自治体行政になっていますけれども、自治体に任せるだけではなく、自然災害と原発事故が同時に起きる可能性が、今申し上げたように、普通というか、高いわけでありますから、現実を踏まえた避難の在り方を議論し、やはり、自治体の役割ではありますが、しっかりとした指針にすべきだと思うんですが、いかがでありましょうか。

○伊藤国務大臣
 お答え申し上げます。
 原子力防災においては、自然災害との複合災害を想定し、様々な対策に努めているところでございます。
 内閣府では、原子力発電所の立地地域ごとに設置している地域原子力防災協議会の枠組みの下、地域の実情を踏まえ、既に大規模な自然災害と原子力災害との複合災害を想定し、道路が寸断した場合の避難経路や家屋が倒壊した場合の防護措置を含め、緊急時対応を取りまとめ、あるいは取りまとめに向けた検討を進めてございます。
 複合災害を想定した対応としては、具体的には、避難道を複数経路設定するとともに、適宜必要な代替経路を設け、陸路が制限される場合には、道路啓開に着手しつつ海路避難や空路避難を行い、また、避難の準備が整うまでは屋内退避をする、必要な場合には、警察、消防、自衛隊などの実動組織が住民避難の支援を実施することとしてございます。
 また、家屋倒壊により自宅での屋内退避が困難な場合には、近隣の避難所にて屋内退避をしていただくこととしており、さらに、近隣の避難所での屋内退避が困難な場合であれば、三十キロ圏外の広域にあらかじめ定めている避難先へ速やかに避難していただくこととしてございます。
 その上で、昨年の国の原子力総合防災訓練を始め各種訓練においても、道路の損壊や集落の孤立といった状況を想定して訓練を行っております。
 今回の地震を通じて得られた教訓、これもしっかり踏まえながら、自治体の声をしっかりお聞きし、原子力災害への対応の更なる実効性の向上、これに取り組んでまいりたいと思います。

○近藤(昭)委員
 大臣、ありがとうございます。
 ただ、今大臣が答弁していただいたことではとても避難できないのではないかというのが私の認識なんです。
 繰り返して申し訳ありませんが、今、道路が非常に寸断された場合、海路もあるのではないか、空路もあるのではないかと。
 しかし、今回、能登半島で分かったことは、やはり半島として出ていて、幹線道路は一本しかない。そこから道路が枝状に出ていて、この幹線道路は、現地に行きまして、大分政府が頑張って修復していただいているところもありますが、至る所にひび割れが入っていて、そして一本しかないものですから、やはり支援に入るのも大変。ですから、ボランティアの人に今の状況では来てもらっても困るみたいなことも出たわけであります。まさしく道路が大渋滞になってしまう。
 そういう中で、大変に状況が厳しいわけですね。道路が厳しい。じゃ、海路かというと、海路は、海がせり上がってしまってとても近づけない。じゃ、空路はというと、天候もありますし、ヘリコプターが着陸できるところがあるのかということも、今回はなかなか簡単ではなかったということであるんですね。
 そういう意味で、私は、もう一度大臣にお聞きしたいと思うんです。
 自治体とも協力してということでありますが、自治体からは、なかなか現実的な、実際に避難できる計画は難しいということが言われている。だからこそ、国の協力、国の協力というのは、今、自衛隊が飛んでくるとか入っていくとか、そういうことだと思うんですが。
 一方で、やはりそうしたことのためにも、私は原子力指針を、もちろん、これは原子力規制庁、規制委員会の担当ではあるんですが……

○務台委員長
 申合せの時間が経過しておりますので、御協力ください。

○近藤(昭)委員
 はい。
 是非もう一度この指針を見直すべきだと思うんですが、大臣、いかがでありましょうか。

○伊藤国務大臣
 今回の教訓、また議員の指摘なども踏まえ、原子力防災体制の実効性の向上に取り組んでまいりたいと思います。

○近藤(昭)委員
 どうもありがとうございました。

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