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第213回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第2号 令和6年2月28日

○近藤(昭)分科員
 立憲民主党の近藤昭一でございます。  今日は、この第五分科会で質問する機会をいただきまして、感謝申し上げたいと思います。
 さて、早速質問に入らさせていただきたいと思います。国内の空襲被害者の救済についてということでございます。
 一九四五年にさきの大戦が終わって、来年で八十年ということになります。私も戦後の生まれでありますけれども、おじがサイパン島で戦死をしました。二度と戦争を起こしてはならない、そのためにもしっかりと過去に向き合っていかなくてはならない、こう思っているところであります。
 米軍による空襲は全国二百以上の都市で行われ、二〇二〇年の新聞報道では、全国百七自治体が把握している空襲の死者数は約三十八万七千人であり、そのうち自治体の記録で氏名が分かるのは六割にしか満たない、十六万人以上の亡くなられた方は氏名が分からないといい、死者の数を把握していない自治体もあるということであります。
 三月は十万人近い方が亡くなられた東京大空襲がよく知られていますけれども、私は名古屋の選出でありますが、一九四五年の三月は私の地元でも大きな空襲があったところであります。空襲の被害は甚大であり、生き残った方も、親を失い孤児になったり、あるいは障害を負うなど、筆舌に尽くし難い苦労を重ねてこられたわけであります。
 政府はこれまで、国民皆がひどい目に遭ったんだから我慢するべきという戦争受忍論、また、一般国民は雇用関係になかったから補償はできないという雇用者責任論を理由にずっと救済の手を差し伸べてこなかったわけでありますが、二年前の予算委員会では、岸田総理は、政府として更に何ができるのか、議員立法での議論を見守りながら政府として考えていきたいと答弁しておられます。
 また、昨年三月の厚生労働委員会では、加藤厚労大臣が、現在、超党派の議員連盟において、空襲被害者に対する特別給付金の支給、実態調査等を内容とする議員立法に関して議論がなされているというふうに承知をしておりますので、引き続きそうした議論の動きを注視していきたいと答弁されておるわけであります。
 実は、私も、この議員連盟、副会長を務めさせていただいておりまして、空襲被害者等の補償問題について立法措置による解決を考える議員連盟という名前でございます。この議員連盟で、特定戦災障害者等に対する特別給付金の支給等に関する法律案が救済の対象としている五十万円の特別給付金を支給する方は四千六百人と推計されているわけでありますが、亡くなられる方が多いので、残念ながら、もっと少なくなっているのが現状であります。時間がないわけであります。
 来年の戦後八十年を待たずに救済する、来年は戦後八十年でありますし、一刻も早く救済する決断をすべきと考えますが、いかがでありましょうか。

○武見国務大臣
 さきの大戦におきまして、全ての国民が何らかの戦争の犠牲を被って、一般市民の中にも筆舌に尽くし難い労苦を体験された方々が多数おられるということは承知しております。
 一般戦災者に対する補償などは厚生労働省の所管を超えておりますけれども、政府としては、これまでも、一般戦災者に対して、一般の社会保障施策の充実などを図る中で、その福祉の向上に努めてきたところでございます。厚生労働省としては、年金、医療、社会福祉などの社会保障施策の実施に取り組むほか、全国戦没者追悼式を開催をし、一般戦災死没者の遺族代表を招待するなどの取組も行っております。
 引き続き、議員連盟における御議論の動きも私ども注視をさせていただき、厚生労働省として何ができるか考えていきたいと思います。

○近藤(昭)分科員
 大臣、ありがとうございます。
 注視をしていただいているわけでありますけれども、先ほど申し上げましたように、来年は戦後八十年ということであります。そして私も、この課題については、かなり、初当選させていただいてから早い時期から取り組まさせていただいておりまして、もう二十年以上になります。
 そして、二〇一三年でしたでしょうか、名古屋でこの問題に大変に取り組んでおられた杉山千佐子さんという方がいらっしゃいます。全傷連という、全国戦争被害者の救済を図る連絡会というのがございまして、この方が百一歳で亡くなられました。最後まで、私も本当に亡くなられる一週間ぐらい前にお目にかかったところであります。
 彼女が、なかなかきついというか、私もきついと最初は感じましたが、一方で、本当にそれだけ深刻なんだという思いを持ったわけでありますが、国に対して、お見捨てになるのですか、国は私たちを見捨てるのですか、こういう言葉を発せられたこと、また、そうした題名の本を書いていらっしゃいます。
 そしてまた、彼女は、やはり亡くなる前、どれぐらいでしたでしょうか、ちょっと前に新聞のインタビューにも答えている、あるいは様々な場所でおっしゃっているわけでありますが、日本人として死にたい、こういう言い方をされているわけであります。
 つまり、軍人軍属に対してはある種手厚い補償がある、しかし、民間人に対してはそうしたものがきちっとされていない。軍人だけではなくて、民間、我々も、自分も国のために尽くしたんだ、なぜそのことに対してきちっと国は向き合ってくれないのか、私たちを見捨てるのか、あるいは、自分は日本の国民ではないのか、日本人ではないのか、こういう気持ちを持っておられた。そして残念ながら、百一歳、しかも百一歳になられたその日に亡くなられたんですね。ということであります。
 そういう意味で、是非、注視ではなく、大臣、そして今、厚労省の所管を超えているという言い方をおっしゃいましたが、私は、厚労省でこのことをきちっと担当していただく、このことにきちっと法律について向き合っていただく、これしかないと思うわけでありますが、いかがでありましょうか。

○武見国務大臣
 北村誠吾先生、お亡くなりになりましたけれども、議連の活動を非常に熱心にされてこられました。先生も副会長として熱心に関わってこられたことに心から敬意を表したいと思います。
 その上で、軍人軍属に対する補償と比べて一般の被災者に関わる補償がないじゃないかという御議論は一貫して承っているところでございます。
 ただ、実際に、それに関わる対応というものをどうするかということを考えるのは、実はかなり難しい問題もたくさん含まれております。限られた財源の中で、実際に全てのそうした戦災者たちを対象として補償をするということには限りがございます。
 したがって、そういう中で何ができるかということを考えるときに、是非、議連の中での御議論というものを進めていただいて、そこにまた厚生労働省も呼んでいただいてその議論というものにも参加させていただいて、そして御議論を進めていただきたい、そういう思いで、先ほど注視という言葉を使わせていただいたわけであります。

○近藤(昭)分科員
 大臣、ありがとうございます。  是非、今お言葉をいただきましたように、北村先生が亡くなられて、今、会長不在ということであります。ただ、この通常国会中には新しい会長も何とか決めさせていただいて、改めて総会、あるいは、今大臣もおっしゃっていただいたような、厚生労働省の方にもお越しいただいて意見交換をしたいと思います。
 ただ、もう一言だけ申し上げさせていただくと、我々も、議連も、そうした国の姿勢がずっとある中で、いろいろと意見交換、議論をしてきたところであります。そういう意味でも、そして、こういう言い方、こういうのがどうかというのは、議連の中でも、あるいは関係する方の中にも意見があるんです。
 つまり、なかなか補償は難しい、しかしながら、戦争でそうした被害に遭って、本当に人生を翻弄されたんだ、苦しい目に遭ったんだ、そうした皆さんに対して、ですから、五十万円という金額で特別給付金、こういう形で報いるべきではないか、こういうことで議論してきているということと、もう一つは、やはり諸外国というか、杉山千佐子さんもドイツへ訪問されたことがあって、ドイツへ行くと民間人に対してもきちっと補償している、そうしたことを目の当たりにして、本当にそういう意味では、ある種、悔しいというか、自分の祖国である日本にちゃんとやってほしい、こういう思いをすごく強く持っておられたんですね。
 そういう意味で、もう一度、どうでしょうか、大臣、議連の中ではそういうことについても議論をしてきた、ですから給付金という形で考えているのですが、いかがでありましょう。

○武見国務大臣
 議連の中でそうした御議論が行われてきたということは今承知したところでございます。
 改めて、やはりこの問題は、私どもとしても、限られた財源の中で、どこまで、何を対象として、実際に何ができるかということは、我々もしっかり考えなきゃいけないだろうと思います。しかし、その一つの場所として議連で御議論されてきたことについては、これを尊重をして、そして、私どもとしても、そこにお招きいただければ、そこで御議論をさせていただくということになるかと思います。
 そういう点で、実際に私ども厚生労働省の立場としてできることというものには限界がありますけれども、実際に、いろいろとその御議論の中で、何ができるかの検討はさせていただければと思います。

○近藤(昭)分科員
 ありがとうございます。
 名古屋市では、市の独自の給付金という制度もあるんです。金額は大きくありませんが、やはりそうしたことによって戦争に向き合っていく、被害者に向き合っていくということは非常に重要でありますので、是非しっかりと御対応いただければと思います。
 さて、その次の質問に移らさせていただきます。
 沖縄県辺野古新基地建設に伴い、沖縄戦の戦没者の遺骨が混じる南部の土砂が埋立てに使われるのではないかという沖縄戦遺族の御心配の声をお伝えをしたいと思います。
 沖縄県南部の遺骨は、DNA鑑定できるものと、風化してしまって粉々になって、もはや土と見分けがつかない状態になった遺骨があるわけであります。県民や全国の御遺族は、回収できない遺骨は現場安置し、南部の公園内を慰霊の場としてほしいという気持ちであります。そこの土を取らないでほしいということですね。そこをブルドーザーで掘り起こし、米軍基地建設のために海に埋め立てるなど、やめてほしいということであります。
 DNA鑑定できず、風化し粉々になった遺骨について現場で安置し、沖縄戦跡国定公園内一帯を慰霊の場とすることについて、武見厚生労働大臣の見解をお聞きしたいと思います。


○武見国務大臣
 沖縄県では、さきの大戦末期に県民を巻き込んだ凄惨な地上戦が行われて、軍民合わせて多くの貴い命が失われました。特に、本島南部では多くの住民の方々が犠牲になったということを承知しております。
 厚生労働省としては、沖縄県民の気持ちに寄り添い、そして、引き続き沖縄県と連携をして、一柱でも多くの御遺骨を御遺族にお返しできるように取り組んでまいりたいと思います。
 なお、戦跡国定公園内の整備計画につきましては、県において策定をされ、環境大臣がこれを承認する権限を有しているというふうに私の方では理解をしております。

○近藤(昭)分科員
 大臣、ありがとうございます。まさしく、遺骨を遺族の元にお返しをしたい、こう大臣もおっしゃっていただいたわけであります。私もそのとおりだと思うんです。
 冒頭、私のおじはサイパン島で戦死をしたというお話をさせていただきましたが、残念ながらその遺骨は返ってきていない。私もいろいろと資料を厚生労働省からもらったりしたことがあって、本当に具体的にどのサイパン島の戦いで亡くなったかというのは、必ずしもはっきりしないようなところがあるわけであります。そういうことでありますから、残念ながら遺骨も戻ってきていない。
 私も、最近でいう断捨離でしょうか、祖父と祖母の残したものを片づけていたりしましたら、写真集が出てきて、当時の葬儀、あるいは、もっと遡って出征のときの、愛知県の知多半島の内海という小さな町なんですけれども、そこで、地元の神社だったと思いますけれども、出征の式があり、そして、その後、帰ってきたときに、よく言われるように、白い箱に入ってきて、それがいわゆる壇に載せられて、葬儀の様子も写真にありました。
 祖父と祖母にとって、特に祖母にとって、本当にどれだけつらい思いだったのかと思うわけです。ただ、それもやはり、そのときの写真はありませんけれども、箱の中にあったのは、何も入っていないか、あるいは石だけが入ってきた、こういうことだと思うんです。
 そして、沖縄戦で多くの方が犠牲になられましたし、なられて風化する中で、なかなか特定をするのは難しいとかということはあると思うんです。でも、だからこそ、そこから土を取ってしまって埋めてしまうということ、これはまた管轄が違う、防衛省だと思うんですけれども、あるいは公園自体は環境省であるということでありますが、やはり遺骨ということでいうと厚労省の担当であるので、慰霊の場については環境省の所管である、あるいは土のことについては防衛省であるということでありますが、やはり遺骨を返すということであると厚労省だと思うんですね。
 どうでしょう、もう一度、遺骨の混じった土を使うべきでないということを是非大臣には示していただきたいと思うんですが、いかがでありましょう。

○武見国務大臣
 まずは、私の所轄に基づいた発言というものをさせていただくのが基本だということは御理解をいただきたいと思います。
 その上で、こうした激戦地であり、多くの方が亡くなられた、そういう沖縄本島南部の地域においても、やはり一柱でも多くの御遺骨をしっかりと御遺族にお戻しするという努力は私どもとしてはしていきたい、こう考えております。

○近藤(昭)分科員
 是非、それぞれ所管があるわけでありますので、大臣のおっしゃるとおりだと思いますが、やはり厚労省、大臣の立場から、本当に遺骨を返す、遺族に寄り添っていくということでお願いをしたいと思います。
 さて、南太平洋のタラワ島、現在、キリバス共和国でありますが、の戦没者の遺骨返還などについて質問させていただきたいと思います。
 タラワ島で戦死した六千四百六十九人のうち、日本の戦死者は四千七百十三人、このうち四人に一人の千百十七人が、植民地支配下の朝鮮半島から動員された若者たちであったわけであります。
 今年二月二十一日の東京新聞に、日韓関係改善の象徴になれたのに、日本側は式典参加せず、動員された南太平洋で戦死した朝鮮人の遺骨返還という記事が出ておったわけであります。
 こうした遺骨の返還をめぐって、この関係でですが、この遺骨の返還のために、DNA鑑定に日本も参加しているかどうかをお聞きしたいと思いますが、よろしくお願いします。

○泉政府参考人
 お答えいたします。  キリバス共和国タラワ環礁におきまして、米国DPAAが収容いたしましたアジア系の遺骨につきましては、日米二国間及び韓米二国間の枠組みの中で御遺骨の鑑定を行っております。
 鑑定の結果につきましては、日本と韓国がそれぞれDPAAに通知をいたしまして、双方の鑑定結果についてDPAAが確認を行った上で、身元が判明した御遺骨はDPAAから出身国に返還されることになっております。

○近藤(昭)分科員
 これは、返還の枠組みには参加しているということなんだろうが、鑑定に日本も参加しているということでいいですか。

○泉政府参考人
 DPAAから、DPAAが保管しておりますアジア系遺骨につきまして、その検体が日本政府にも提供されており、それの分析を私どももしておるということでございます。

○近藤(昭)分科員
 ありがとうございます。日本側も分析をしているということであります。
 さて、そうした遺骨に関連して、昨年十二月四日、全羅南道霊光で韓国政府主催の追悼式が開催され、日本政府関係者の参列が打診されたが実現しなかった、こういう報道もあります。
 追悼会は御存じであったのかどうか、韓国政府から参列を打診されていたのかどうか、そしてまた参列しなかったのは事実だったのかどうか、これを確認したいと思います。  また、日本が戦争に動員したわけでありまして、日本には遺骨返還の責任があると思うわけでありますが、どうしてこの追悼式には参列をされなかったのか。報道にありますように、日韓関係の改善の象徴になれたのにということも書かれているわけであります。
 鑑定まで日米韓で協力してやっていた、こういう御報告もありました。式典への参加は、動員した日本の責任を果たす最低限のことだと思うわけですが、いかがでありましょうか。

○泉政府参考人
 御指摘の韓国政府主催の追悼式につきましては、御案内のとおり、十二月四日に韓国において開催されたと承知しております。
 日本政府からその追悼式への参加はございませんけれども、韓国政府からの参加の打診の有無など、外交上のやり取りの詳細につきましては、相手国との関係もありますので、お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。

○近藤(昭)分科員
 しばしば、外交上のことで答えられないというお答えもよくあるわけでありますけれども、ただ、冒頭申し上げましたように、当時、植民地支配をしていて、そこから若い人たちも動員をしたということであります。そういう中で、亡くなった人たち。
 大臣、ここは、今審議官からそういうお答えはありましたけれども、先ほど大臣もおっしゃったように、私もおじが戦死をしたという話をさせていただきましたが、遺族からすると、やはり、遺骨が戻ってくる、ですから、それに日本政府も協力はしているということでありますが、やはりそこは、そうした式典には参列をして弔意を示すということが大事ではないかと思うんですが、大臣のお考えはいかがでありましょうか。

○武見国務大臣
 追悼式には参加をしておりませんが、韓国政府からの参加の打診の有無など、外交上のやり取りの詳細については、相手国との関係もあり、お答えを差し控えたいと審議官からもお答えをさせていただきました。
 これは、その他の関連する様々な微妙な問題が実はあるものでありますから、実際に双方、これにしっかりと、慎重にかつ丁寧に、外交的な協議を進めながら、両国がしっかりと将来に向けてお互いの信頼を深めるように解決していかなければなりません。
 それをまさに私どもも注視をして、そして、私どもの所轄の御遺骨に関わる分野については、その範囲の中で私どもとしても協力をしていきたい、こういうふうに考えております。

○近藤(昭)分科員
 大臣、ありがとうございます。  是非、かつては、私は名古屋、愛知県でありますけれども、愛知県の現知事が、大村知事でありますが、厚労副大臣であったときに出席をされた、こういう経緯もあります、事実もあります。是非しっかりと御対応いただければと思います。
 さて、余り時間もありませんので、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 さて、こうした遺骨に関連してでありますが、日本人二人、韓国人一人の三人の遺骨について、DNA鑑定で確認された遺骨返還ができたというわけでありますが、残る収容された遺骨は何件あるのか。
 DNA鑑定で個人に返す方法で三人が確定したわけでありますが、それ以外の遺骨は、DNA鑑定での返還がこれ以上進まない場合、どこで育ったかが分かる、食べ物とかによると思うんですが、食べ物の影響によるものでありますが、安定同位体の分析というのがあるわけでありますが、その安定同位体分析によって日本、韓国に返還する、こういう認識でよいかどうかを確認したいと思います。

○泉政府参考人
 お答えいたします。
 日米韓の専門機関のそれぞれが、身元特定のためのDNA分析を行いました。これまで、日本人戦没者の御遺骨二柱の身元特定に至っております。これ以外に、DPAAから受領いたしまして厚生労働省が保管する検体、五百七十一件ございますけれども、現在、これらの検体のDNA鑑定を行っているという状況でございます。
 御指摘の安定同位体分析につきましては、所属集団の判定に応用できる可能性がありますので、令和四年度よりその実用化に向けた研究事業を開始しております。令和四年度には、骨・歯コラーゲンの標準分析法を作成いたしました。令和五年度には、歯アパタイトの標準分析法及び炭素、窒素に係る日本人の確率分布の作成を進めているところでございます。令和六年度以降には、アパタイト、硫黄、酸素、ストロンチウムに係る日本人の確率分布などを作成することとしております。
 また、沖縄の収容遺骨を対象に、放射性炭素同位体分析を用いました年代分析により戦没者遺骨かどうかを判定しておりますけれども、安定同位体分析による炭素、窒素に係る日本人の確率を用いまして、日本人かどうかの所属判定への実用化に向けた研究を行っているという状況にございます。
 いずれにいたしましても、キリバス共和国タラワ環礁においてDPAAが収容したアジア系遺骨につきましては、先ほど申し上げましたとおり、日米二国間及び韓米二国間の枠組みの中で御遺骨の鑑定を進めているところでございます。
 厚生労働省としては、一柱でも多くの御遺骨に御帰還いただけるよう、御遺骨のDNA鑑定を行っていくとともに、返還に向けた進め方については関係国と適切に協議を行ってまいりたいと存じます。

○近藤(昭)分科員
 ありがとうございます。
 是非しっかりと返還、そして、できるだけ早く返還を実現していただきたいと思います。
 さて、最後の質問にさせていただきたいと思います。
 沖縄や太平洋地域のDNA鑑定へ多くの韓国の方が参加を希望しているということでありますが、日本人が終わっていないことを考慮してほしいということで、厚労省はガマフヤーとの意見交換会や厚労委員会でも回答をしておるわけであります、まず日本人が終わってからと。これはどうなっているのか。
 東京新聞でありますけれども、尹錫悦政権は日本との遺骨返還の交渉を再開したと報道されています。政権間のあつれきが少ない今、韓国の遺族のDNA鑑定を認める決断をすべきだと私は思います。一〇〇%日本人の鑑定が終わるまで韓国が始められないとすれば、遺族が同じように高齢化している韓国政府に対して、私は余りにも誠意、配慮を欠いた対応ではないかと思います。
 厚労大臣の決断を求めたいと思いますが、いかがでありましょうか、大臣。

○武見国務大臣
 実際に日本人に関わるこうしたDNA鑑定というものを確実に進めていく。実際に、二〇二三年十二月末時点でまだ審議できていない事案が千九百件残っておる。鑑定体制の強化が必要であって、令和四年には厚生労働省自らDNA鑑定を実施するための分析施設を設置するなど、科学的鑑定体制の強化、鑑定の迅速化に取り組んでいるところでございます。
 したがって、これだけの多くの申請事案に対して、一柱でも多くの御遺骨を御遺族の元にお返しするというのがまず私どもの基本的な立場であります。
 その上で、朝鮮半島出身者の御遺族からのDNA鑑定の申請については、御遺骨の返還の在り方など、外交交渉に関わる問題でもございますけれども、御遺族の気持ちに十分配慮をして、韓国政府から具体的な提案があれば真摯にそれを受け止めて、我が国の鑑定体制の状況を踏まえつつ、人道的見地から政府部内で適切に対応していきたい、こう考えているところであります。

○近藤(昭)分科員

 大臣、ありがとうございます。
 まさしく遺族の気持ちはどこも一緒だと思うんです。そういう意味では、今大臣がお答えいただきましたように、韓国側から提案があればしっかりと受け止めるということでありますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それと、私は、杉山千佐子さん、先ほどお話しさせていただいて、自分を見捨てるのかという話がありました。ですから、この遺骨の調査の問題も、何も、どちらかを先にやってほしいとかそういうことではなくて、調査であります。先ほど、返還は外交的なことがあると思うんですが、調査でありますから、調査をするときに同時にやれないものかと。つまり、どの遺骨がどこの出身か、米国なのか、韓国なのか、日本なのか、朝鮮半島なのかと分からないということです。ですから、同時にやれないのかと思うわけであります。  是非、もう時間がなくなっております、最後に大臣、よろしくお願いしたいと思います。

○武見国務大臣
 この御遺骨の問題というのは、そういう意味で、多くの関係国が関わってくる国際的な課題だ、外交的な課題だというふうに思います。そして、これらをしっかりとそれぞれの国のお互いの信頼を深めていくためにも解決をしていくことは極めて重要な外交的な課題であろうし、それは外務省の方で外交交渉をするというのが主たる立場だろうと思います。
 私どもは、厚生労働省の所轄の中で、実際に、誠意を持ってこうした遺骨などの課題については取り組むということで、実際にこの問題を外交的にも解決しやすいように協力をするという立場を取りたいというふうに思います。

○近藤(昭)分科員
 どうもありがとうございました。
 終わります。


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