第210回国会 衆議院 環境委員会 第4号 令和4年12月22日
立憲民主党の近藤昭一でございます。 今日は、閉会中ではありますが、こうして委員会が開かれ、質問の時間をいただきましたことを関係の皆さんに感謝申し上げたいと思います。
早速、時間も限られておりますので、質問に入らせていただきたいと思います。
まず、化学物質PFOS及びPFOAを環境省が指定物質に追加した件であります。
発がん性等の健康被害が指摘される化学物質PFOS及びPFOAについて環境省は水質汚濁防止法の指定物質に追加することを決めたと、二十一日の新聞では報道されております。今回の改正により、米軍に通報を求める根拠が明確になったと思います。
これまでも、在日米軍基地から出ているのではないかと、PFOS、PFOA、このことについての、周辺の住民の方から、あるいは近くにいらっしゃる方から非常に不安の声が出ておりました。こうしたことに対して、この改正によって、指定物質に追加されたことによって米軍に通報を求める根拠は明確になったんだと私は思うんです。これまで以上に在日米軍に対してきちんと対応するよう求めるべきだと思いますけれども、いかがでありましょうか。
○北尾政府参考人
お答えいたします。
まず、PFOS等を含む泡消火薬剤や水の漏出事故はあってはならないことでございます。この点については、引き続き米側に対し施設の安全管理の徹底を求めてまいります。 その上で、万が一PFOS等の漏出事案が発生した際には、米側からはこれまでも速やかに情報提供がなされてきております。例えば、本年九月に発生いたしました厚木海軍飛行場における事案に際しましては、米側から日本側に対し事案の発生後速やかに情報提供があったところでございます。
防衛省といたしましては、万が一漏出事案が発生した場合には速やかな情報提供等がなされるよう引き続き米側に求めるとともに、関係省庁と連携し、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
○近藤(昭)委員
審議官、ありがとうございます。
この問題、米国連邦議会で審議されている国防権限法というのがあります。この国防権限法にもPFASの規制条項が盛り込まれる、こういうことであります。そういう意味で、米国内及び在外にある米国の施設、これについても今まで以上に厳しい規制が加えられるということであります。
先ほど申し上げましたように、日本でも、この問題、日米地位協定があったりして、日米地位協定の中で、私は一つの課題として、なかなか米軍の基地内の調査等々が十分に行われていない、こういう課題もあると思うんですね。そういう意味では、日米合同委員会もあるわけでありまして、そして、今申し上げましたように、米国でも国防権限法に、より厳しい規制条項が、いわゆる米国の施設としての規制条項が盛り込まれるわけであります。そういう意味では、今防衛省の北尾審議官にもお答えいただきましたけれども、私は環境省としても日米合同委員会の環境の関係のところでしっかりと主張していただきたいと思うんですが、大臣、いかがでありましょうか。
○西村(明)国務大臣
今詳細については防衛省の方からお話があったと思いますけれども、在日米軍に関しましては、これまでも、漏出事故があった場合には米側から応急措置及び日本側への通報が行われておりまして、その都度、政府から関係自治体へ情報共有を行っております。委員御指摘のように、日米地位協定の環境補足協定において適切にこの枠組みを運用してまいりたいというふうに考えております。
また、加えて申し上げますと、今回、水質汚濁防止法の中にPFOS、PFOAを指定物質に追加したということは、国内の事業者に対しまして、PFOS等の漏出事故時において、水質汚濁防止法に基づいて適切に対応するように求めることができるものとなっております。
○近藤(昭)委員
ありがとうございます。是非、非常に大きな問題でありますので、御対応をしっかりといただきたいと思います。
北尾審議官、これで質問は終わりでありますので、退室いただいても結構でございます。ありがとうございました。
それでは、COP27に関して質問させていただきたいと思います。日本政府が現在進めようとしている石炭火力へのアンモニア混焼についてであります。私は多くの課題があると考えておりますので、質問させていただきます。
アンモニア混焼は、アンモニアの製造段階で多量のCO2が排出されること、コストが高く採算ベースにならないこと、既存の石油火力の延命につながりCO2削減に貢献しないことなどの課題があるわけであります。現状では海外からの輸入のインフラ構築を進めているため、エネルギー安全保障上、つまり海外から輸入するということの、エネルギーの安全保障上も、エネルギー自立の観点からも解決策になっていないと私は思うわけであります。COP27においてもこうした批判があったと受け止めておられるでしょうか。質問したいと思います。
○西村(明)国務大臣
COP27の開催前に、NPO等から日本政府に対しまして、石炭火力のアンモニア混焼を直ちにやめるべきこと等を要請する文書が提出されたということは承知しております。
我が国としては、化石燃料への依存を低減することと併せて、エネルギーの安定供給の観点から、多様なエネルギー源をバランスよく活用するということが重要だというふうに考えております。二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向けましては、あくまでその移行期に、アンモニア混焼等の技術を活用してCO2排出を削減してまいります。
加えて、アンモニアにつきましては、早期にライフサイクル全体を通じたCO2排出を削減するために、製造段階でのCO2排出を抑制したアンモニアの利用推進が求められます。政府として、こうしたイノベーションを必要とする新たな選択肢というものを追求してまいります。
○近藤(昭)委員
ありがとうございます。今大臣にもお答えいただいたところでありますが、まだ様々、混焼についても、どれだけCO2が削減できるのか、混焼の割合にもよりますが、ただ、一〇〇%アンモニアを燃やしても、私はCO2の削減は十分ではないと思っております。またこの議論は改めてさせていただきたいと思いますので、次に行きたいと思います。
岸田首相は、今年一月の施政方針演説でアジア・ゼロエミッション共同体についてこのように述べられました。我が国が、水素やアンモニアなど日本の技術、制度、ノウハウを生かし、世界、特にアジアの脱炭素化に貢献し、技術標準や国際的なインフラ整備をアジア各国とともに主導していくことです、いわばアジア・ゼロエミッション共同体と呼び得るものをアジア有志国と力を合わせてつくることを目指します、こうおっしゃいました。
COP27では西村大臣もステートメントでアジア・ゼロエミッション共同体について触れておられますが、日本はアジアの有志国から成るプラットフォームを構築し、省エネ、再エネ、水エネ、CCUSなどの有効活用によりアジア・ゼロエミッション共同体構想の実現を目指しますと述べられて、実はアンモニアについては触れておられません。私は、かなりアンモニアは国際的な批判があるわけでありまして、そういう中でそうした批判をかわすためにあえてアンモニアを入れなかったのではないか、こう思うわけでありますが、いかがでありましょうか。
○松澤政府参考人
お答え申し上げます。 先生御指摘いただきましたCOP27におけます閣僚級セッションにおける我が国のステートメント、これは、パリ協定の目標達成に向けて、アジア・ゼロエミッション共同体構想も含めまして、世界全体の気候変動対策に我が国として貢献し牽引していこうとする、そういった取組の概要を説明したものでございます。
ステートメントでは御指摘のとおり直接アンモニアには言及しておりませんけれども、アジア・ゼロエミッション共同体構想の中では、水素ベースのエネルギーキャリア・燃料としてのアンモニアに関する技術も含めましてアジアの脱炭素化に貢献するというふうにされております。
○近藤(昭)委員
先ほど同僚の篠原議員からも指摘がありましたが、日本の石炭火力、あるいはそれに関連してのアンモニア混焼、かなり世界的に大きな批判が出ている、そういう中で、NGO団体からのあれですが、化石大賞を日本政府は受けている、こういうところはあると私は思いますね。そういう意味で、このアンモニアの問題については本当に、私は、先ほども申し上げましたが、課題があると思っておりまして、またこれも改めて議論をさせていただきたいと思います。
さて、関連して、再生可能エネルギーの導入促進において様々課題があるのではないかと問題が出ている、木質バイオマスの認証偽装のことであります。
FIT制度の意義は、日本のエネルギー自給率を高め、温室効果ガスを排出削減し、気候変動対策としても大変に重要だと思うんですね。しかし、先日、ベトナムから輸入された木材チップがFSC認証を偽装したものであったとの東洋経済の報道がありました。認証された木材チップは、FIT制度においては、認証木材であることに付加価値をつけ、未利用を除く国産材と同じ価格で買取りがされているわけであります。東洋経済の報道によれば、二〇二〇年にベトナムの再大手の木材チップ販売会社が販売した木材チップはFSCの認証システムから排除されたわけであります。
さて、経済産業省はこの認証偽装についてどのように受け止めているのか。国民負担があることを考えれば徹底した実態の把握を行うべきではないか、こう思うわけでありますが、いかがでありましょう。
○井上政府参考人
お答え申し上げます。
委員御指摘の、森林認証制度を運営する第三者認証スキームが、木質ペレットについて虚偽表示を行ったとしてベトナムの木質ペレット事業者の認証を停止したことは、経済産業省としても認識いたしております。
バイオマス発電の安定的な運営には、使用する燃料を長期にわたって安定的に調達することが重要であり、再エネ特措法の下で行うバイオマス発電事業につきましては使用する燃料の持続可能性を第三者認証などによって確認することとしている点は、御指摘のとおりでございます。
今回の事案を踏まえまして、複数の関係企業に経済産業省といたしまして既にヒアリングを行っております。まず、認証の停止以降につきましては、持続可能性が確認できない燃料がFIT、FIPに基づく発電に使用されている事実はないというところを現時点では認識しております。
他方で、議員御指摘のとおり、バイオマス燃料に係る持続可能性の確認は非常に重要な事項だと考えてございます。経産省といたしましては、関係省庁とも連携しながら、認証停止以前についても含めまして実態を適切に把握してまいりたい、かように考えてございます。
○近藤(昭)委員
ありがとうございます。FIT制度、国民の税金が投入されているところであります。厳しく対応していただきたいと思うわけであります。
さて、木材の違法伐採対策ということで、林野庁にお伺いをしたいと思います。
木材の違法伐採対策強化のため、超党派の議員立法で、合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律、通称クリーンウッド法と言われておりますが、これが二〇一七年に施行されております。
近年徐々に増加しているわけでありますが、木材の自給率は三〇%前半と大変に低いわけであります。そして、木材価格も停滞しているという状況であります。その原因として、違法伐採木材の日本市場への流入が指摘されているわけであります。
違法伐採木材は、現地の法令に違反し伐採、販売されたものを指しているわけでありますが、木材そのものの品質では、違法伐採木材かどうかはなかなか分からないわけであります。例えば、欧米の違法伐採対策では、伐採国や地域の汚職腐敗度数に応じてリスク評価、緩和措置を行うデューデリジェンス、合法性の確認というのが行われていますが、日本も同様の措置を行い、日本市場への違法伐採木材の流入を阻止するための法律が作られたはずであります。しかしながら、デューデリジェンスは努力義務にとどまり、違法伐採木材の流入が止まっていないということであります。 林野庁の合法伐採木材等の流通及び利用に関する検討会の中間取りまとめにおいても、デューデリジェンスの実効性の強化を図る必要があり、デューデリジェンスの義務化も考えるべきと報告をされています。
また、合法木材利用促進法に関わった環境NGOは、二〇二二年四月に大手商社等に対してアンケート調査を行いました。調達している木材のリスクにかかわらず合法性証明書類等を入手すれば合法性確認は十分と認識している事業者が多く、つまり書類を入手すればいいと。日本の木材関連事業者の合法性確認のレベルは低いと、つまり現地調査とかそういうことをしていないという意味ですね、指摘されているわけであります。
このことから、デューデリジェンスの実効性の強化のため、事業者のデューデリジェンスの質の向上と義務化は必須であると考えます。また、クリーンウッド法の施行から五年後見直しのタイミングでもありますが、林野庁、いかが考えられますでしょうか。
○前田政府参考人
お答え申し上げます。 違法伐採対策につきましては、平成二十九年に施行されました合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律、通称クリーンウッド法、これに基づきまして、木材関連事業者に対して合法性の確認等に取り組むよう促すとともに、事業者による合法伐採木材等の利用などを推進しているところでございます。
委員からもお話がありましたけれども、クリーンウッド法につきましては、法律の附則におきまして、施行後五年を目途として法律の施行状況について検討し必要な措置を講ずるというふうにされておりますことから、林野庁におきましては、昨年九月に有識者による検討会を設置し、本年四月に中間取りまとめを整理いただいたところであります。
この中間取りまとめにおきましては、クリーンウッド法の意義、評価といたしまして、木材関連事業者が合法性確認に取り組む意義が向上したことや、合法性が確認された木材の取扱量が増加したことなど、一定の成果があったとした上で、木材流通の最初の段階における事業者に対する合法性確認の義務化も選択肢であることや、合法性確認を行う際の内容やルール、手法について政府が指針を示すべき等の御指摘もいただいたところでございます。
これらを踏まえまして、現在、関係団体等の意見も聞きつつ、関係省庁と対応方向について調整を進めているところではございまして、合法伐採木材等の流通及び利用をより一層促進するための方策について検討してまいります。
○近藤(昭)委員
ありがとうございます。そうした検討をされているということでありますが、各方面からその問題点が指摘されているところであります。しっかりと義務化を、検討ではなくしっかりと対応いただきたい、実行していただきたい、こう思うわけであります。
さて、関連して、FIT制度と輸入木材のペレットということで、大臣にも質問させていただきたいと思います。
FIT制度の意義から考えれば、そもそも輸入木質ペレットをFITの対象にすることはおかしいと私は思っているんです。国産材であれば違法木材が混入するリスクは低い、デューデリジェンスの負担も最小限で済ませることができる、つまり国内でありますから。
もちろん、先ほど林野庁に質疑、提案をさせていただいたとおり、質の高い合法木材の確認ができるようになれば、違法な木材によって市場が乱されて認証偽装といった問題は起きにくくなるのかもしれません。しかし、本来のFIT制度の意義に立ち返れば、認証された木材であるからといって輸入によって輸送に多大な温室効果ガスを排出することを許容する、こういうことではなく、本質的なエネルギー自給と持続可能な森林経営、その両立による気候変動対策の強化こそ目指すべきではないかと思うわけでありますが、いかがでありましょう。
○西村(明)国務大臣
気候変動対策、こういった観点からは、バイオマス燃料につきましては、輸送を含むライフサイクル全体の温室効果ガス排出量ができるだけ少ないものが活用されるということが望ましいというふうに考えております。
御指摘のFIT制度につきましては、バイオマス発電の認定に当たりまして、今後はライフサイクル全体の温室効果ガス排出量を確認することが検討されているというふうに認識しております。環境省におきましては、昨年七月に、輸入バイオマスのライフサイクル全体の温室効果ガス排出量の算定等につきましてガイドラインを整理して、経済産業省に情報提供をしているところでございます。
あわせて、環境省として、地域脱炭素移行・再エネ推進交付金などの支援措置も活用しつつ、エネルギー自給や持続可能な森林経営に資する地産地消型の木質バイオマスの活用を更に推進してまいりたいと考えております。
○近藤(昭)委員
大臣、ありがとうございます。様々、偽装等々の課題がある、輸入ペレットではなく、より身近なところできちっとチェックできる、また本質的なCO2の削減につながる、こうした政策を実施する先頭に環境省また大臣に是非立っていただきたい、そう思うわけであります。ありがとうございます。
それでは、林野庁さん、エネ庁さん関係の質問は終わりましたので、御退席いただいても結構でございます。ありがとうございます。
それでは、COP15に関連して質問させていただきたいと思います。
COP10がありました、二〇一〇年であります。当時は民主党政権でありまして、私も当時環境副大臣として、ちょうど、私の地元は愛知名古屋でありますが、愛知名古屋で開催をされたというのがCOP10でありました。愛知目標等が設定されて、厳しいと言われた会議が何とか合意に達した。しかし、残念ながら、あれから十二年たって、そうしたターゲット、目標が十分には達成されていないというところが今の現状であるわけであります。残念なところであります。
しかし、だからこそ、また改めて、COP15、この中で世界が連携をしてしっかりと対応していかなくてはいけない、こういうふうに思っているわけでありますが、幾つか質問させていただきたいと思います。
一つには、政府は、カーボンニュートラルと循環型社会、またネイチャーポジティブを三本柱として今後取り組んでいくということを次期生物多様性国家戦略の説明の中で示しておられます。カーボンニュートラルと循環型社会については、政府の中でも活発に議論されており、方針を示され、施策が実施されています。ネイチャーポジティブについてはまだまだ明確な定義がされていないと理解しておりますけれども、現状、ネイチャーポジティブについて政府はどのような理解であるのか。そのネイチャーポジティブ達成に向けた方針や実施策は、現在構築中の生物多様性国家戦略に反映されていると理解していいか。どうでしょう。
○西村(明)国務大臣
ネイチャーポジティブという表現につきましては、委員御指摘のように国際的に明確に定まった定義はございませんが、生物多様性の損失を止め、反転させ、回復軌道に乗せるという意味だというふうに理解しております。
私が参加いたしました生物多様性条約COP15において採択されました昆明・モントリオール生物多様性枠組の中でも、二〇三〇年に向けて生物多様性の損失を止め、反転させ、回復軌道に乗せるため緊急の行動を取るというふうに明記されているところでございます。
また、現在政府で検討を進めております次期生物多様性国家戦略におきましては、二〇三〇年のネイチャーポジティブ達成に向けて必要な指針や施策を示す予定でございます。改定作業を早急に進めて、年度内をめどに策定してまいりたいと考えております。
○近藤(昭)委員
ありがとうございます。しっかりとした策定をお願いしたいと思うんですが。
今も策定についてのお話があったわけでありますが、こうしたネイチャーポジティブを確保するには、現在、三つの要素が必要とされているところであります。一つは環境保全の強化、二つ目は消費活動の見直し、三つ目は生産活動の見直しであると思います。
環境保全の強化の一つとして、GBFにおいては、現在、二〇三〇年までに陸域、内陸水域、海域の三〇%を保護区とすることが、現在のGBFの議論において、二〇二二年十二月十九日午前の時点でありますけれども示されています。
日本国内の環境保全において、限られた国土面積を持つ日本では、民間が保有する土地を保護区、自然共生サイトとすることで三〇%を目指しているわけであります。保護区拡大や民間の生態系保全への関与は非常に望ましいところであるとは思いますが、面積ありきの保全ではないかと懸念する声が複数聞こえてまいります。
保全においては、面積だけではなく、生態系保全を本質的に追求することが必要である。この三〇%を達成するに当たり、保全を重視した保護区の目標値はどれくらいになるか教えていただきたいと思います。例えば、海洋においてはストロング・プロテクテッド・エリアの検討が必要とされており、陸域、内陸水域、海域において、日本のストロング・プロテクテッド・エリアはどのくらいになると想定しておられるのか。
また、国際的な議論においては、陸域三〇%、内陸水域三〇%、海域三〇%とすることも議論されています。これは淡水に生息する生物が著しく損なわれていることが背景にあるわけでありますが、内陸水域三〇%保全について、政府としての見解はどのようなものなのか。いかがでありましょうか。
○奥田政府参考人
お答えいたします。
今御指摘のサーティー・バイ・サーティーの目標の達成に関しましては、我が国では今年四月にサーティー・バイ・サーティーロードマップというものを発表させていただいております。この中で、一つには、法的根拠に基づく保護地域の拡張と管理の質の向上、そして二つ目に、保護地域以外で生物多様性保全に資する地域、いわゆるOECMの設定、管理を進める、こういったことによってサーティー・バイ・サーティー目標を達成することとしているところでございます。
法的な保護地域につきましては、現在、陸域が二〇・五%、海域が一三・三%を占めております。これをどこまで上げるかという具体的な数値についてはなかなか示すことは難しいですけれども、今後、国立公園等の拡張で現状からの上乗せを目指すということが一つ、それからもう一つ、保護地域内の外来種対策等の保護管理施策や体制の充実を図っていくということで、この目標の一助としていきたい、達成に向けて努力をしていきたいと思っています。
また、二つ目のOECMに関しましても、単純に面積を確保するということだけではなくて、生態系がつながり合うこと、健全に機能するための質を維持向上させる取組を進めていくということが重要だというふうに考えているというところでございます。OECMの取組の一つとして、民間等による保全区域を自然共生サイトとして認定し、国際的な議論及び専門家の意見を踏まえた認定基準を年度内に作成したいというふうに考えているところでございます。
また、御指摘のありました内陸水域に関しまして、昆明・モントリオール生物多様性枠組、いわゆるGBF、新しいGBFにおいては陸域に含めるというようなこととなっております。陸域と内陸水域はまとめて三〇%を保全するということとされたわけでございます。
いずれにせよ、最近の知見では、我が国の陸水生態系を含む様々な生態系において規模や質の低下が長期的に継続している、こういったことが指摘されているところでございます。関係省庁とも連携しましてサーティー・バイ・サーティー目標を達成いたしまして、内陸水域を含めた健全な生態系の保全に取り組んでまいりたいと考えております。
○近藤(昭)委員
ありがとうございます。しっかりと質の高い対策をお願いしたいと思います。
さて、ネイチャーポジティブの確保のために消費と生活活動の改善が求められています。ちょっと簡単に質問させていただきたいと思うんですが、英国や欧州連合においては、そうしたことにおいて、様々専門家からの報告も受け止めて、実践するということを目標として計画も立てている。日本においても、次期生物多様性の戦略の素案においてそうしたことが計画をされているわけであります。
ただ、素案の第二部に記載されている行動計画を見ると、ネイチャーポジティブをどのように確保するのか、なかなか不明瞭な施策が並んでいる気がいたします。
例えば、施策の達成目標の指標が、国内検討会等の開催件数の累積や、TNFDやSBTs・フォー・ネイチャー等への賛同企業数となっていて、会議の回数と賛同企業数で、つまりそういう数、もちろん数も大事なわけでありますが、数さえあればいいというものではありませんので、こういう中でネイチャーポジティブをどのように確保できるのか、御説明いただけますでしょうか。
○奥田政府参考人
お答えいたします。
委員御承知のとおり、次の生物多様性国家戦略では、二〇三〇年目標であるネイチャーポジティブの実現に向けて、一つは、五つの基本戦略をきちっと示すということ、それから二つ目に、基本戦略ごとの行動目標を示すこと、そして三番目として、各行動目標に関する施策を一気通貫で示していきたいというふうに考えております。
ただいま御指摘いただいた次期生物多様性国家戦略素案の第二部において各施策にひもづく指標を示すということも重要だと考えておりますし、特に行動目標ごとの指標を設定して、国家戦略の進捗や効果を適切に評価、点検していきたいというふうに考えております。
来月には、今回COP15で採択された昆明・モントリオール生物多様性枠組、GBFも踏まえて、今の国家戦略の案を修正してまいりたいというふうに考えております。この案そのものは中央環境審議会生物多様性国家戦略小委員会で審議をいただくということで、それの検討に付するという予定でございます。御指摘の面も含めて、今回の決定を踏まえた修正というのを急ぎたいというふうに考えて、その中で実効性のある戦略というものにしていきたいというふうに考えております。
また、御指摘の経済分野に関しましてでございますけれども、経済活動においては生物多様性の保全や自然資本の持続的利用が必要である、こうした考えの下に、一つの、それがどのぐらい意味があるかという御指摘もありましたけれども、やはり、例えば会議の回数ですとかTNFDへの賛同企業数といった指標、これが分かりやすく示せる一つのものとなりますので、政府や企業、金融機関における取組状況を示す指標の案としてお示しさせていただいたものでございます。
また、ネイチャーポジティブの実現には、やはり経済活動そのものの変革が不可欠であるというふうに考えております。このため、生物多様性国家戦略の策定だけでなくて、それに加えて経済分野に特化した戦略の策定にも着手をしているところでございます。
その検討の中では、ネイチャーポジティブの実現に伴って生まれるビジネス機会の分析等も実施しておりまして、そうした得られた知見を経済界に還元すること等によって、ネイチャーポジティブ経済への移行を促進してまいりたいと考えております。
○近藤(昭)委員
ありがとうございます。これも、改めて、しっかりとした質の高い計画、実のある計画を作っていただきたいということです。ありがとうございます。
さて、原発の運転期間延長問題等について改めて質問させていただきたいと思います。
十月二十八日の環境委員会で、原子力発電所の運転期間に関する規定の見直しに向けた拙速な動きは原子力規制庁と資源エネルギー庁のシナリオによるものとの懸念及び両庁によるこれまでの議論の経緯と今後のやり取りを公開する必要性を指摘させていただいたところであります。
山中委員長は、十月五日の原子力規制委員会でエネ庁から運転期間延長の検討状況について説明を受けた後、運転期間の規定が抜け落ちることをその場で了承し、規制庁事務方に法改正に向けた対応の検討を指示した。その後のメディアの取材に対して、それ以前に検討を開始していたことは全くないと述べています。
一方で、それに先立つ九月一日付で、原子力規制庁内で制度改正を進めるため、規制庁職員三名に原子力規制部規制企画課への併任発令の人事異動が発令されたわけであります。昨日の記者会見で山中委員長は、このことは知らなかったと述べておられます。民放のテレビ番組で規制庁に勤務したことのある現役官僚が、規制庁とエネ庁が車の両輪、一心同体となって動いてしまっている、こう指摘しています。
規制委員会の指示を受けずに規制庁がエネ庁と連携して法改正の検討を開始していたとすれば、規制委員会の独立性を揺るがす大問題であると思います。長官の専決事項だとしても、事務方が委員長に無断でこのような人事異動を行っていたとすれば、規制委員会のガバナンスが問われると思います。重大な問題であると思いますが、いかがでありましょうか。
○大島政府参考人
お答え申し上げます。
原子力規制制度を所掌する原子力規制部原子力規制企画課の体制強化を目的といたしまして、九月一日付で規制庁職員三名に同課への併任発令がされたところでございます。
これらの人事異動は、課長補佐以下の人事異動であったことから、原子力規制庁長官までの専決決裁となっております。
いずれにいたしましても、規制制度の変更を伴う判断が必要な場合は、これまでと同様に、公開の原子力規制委員会の場において五人の委員でしっかりと議論されることになっているところでございます。
○近藤(昭)委員
お三人、お二人は課長補佐で、お一人は企画官であったということは間違いないでしょうか。
○大島政府参考人
委員御指摘の三名につきまして、いずれにいたしましても原子力規制庁長官の専決決裁となってございます。
○近藤(昭)委員
専決事項であるということであります。事例は、規制庁の長官は知っていたということであります。
ただ、仕組みとしては、原子力規制委員会というのは三条委員会で、非常に独立性の高いところであります。原子力規制庁というのは、その事務方、事務局としてつくられたところであります。
山中委員長は記者会見でも、最後は原子力規制委員会で決めることだからそれは問題がないんだというような発言を繰り返されていたと思うんですけれども、三人の方を併任ということでやられておる、そして実は人事だけではなくて様々な打合せが行われている、こういうことも指摘をするNPOの内部文書、いわゆる、そうしたことが行われていたということの内部文書があるという、このことの指摘がされて、そのことも記者会見で随分と関係者は指摘をされているわけであります。
さて、このことは、内部文書の存在、記者会見では確認してお答えするというようなことをされておられたような気がしますけれども、それはどうなりましたでしょうか。
○大島政府参考人
お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、原子力資料情報室の会見につきまして、詳細は承知をしてございませんけれども、原子力規制庁の内部文書であるとする資料が公表されたということについては聞いてございます。
このため、委員長より、当庁が作成する文書であるかどうか、また、当庁が作成した文書である場合、どのようにして、どのような目的で作成したものであるか、事実関係を確認するよう指示を受けており、現在調査を行っておるところでございます。
また、この調査結果につきましては、まとまり次第公表したいと考えてございます。
○近藤(昭)委員
調査をしているところで、きちっと発表するということでありますが。
さて、報道によりますと、つまりそうした人事が行われた、そういう中で事務方が十月五日以前にも非公式に接触をしていた、このことはお認めになっているわけであります。
そういう中で、この内部文書も指摘をするところなんですが、通常国会に提出する法案については、秋頃から内閣法制局の審査を開始し、年末年始には形が整っている、こういうのが通常です、通常国会に出されるもの。炉規法の改正について法制局での審査はいつ頃から始まっているのか、来年提出するとすると。いかがでありましょうか。
○大島政府参考人
お答え申し上げます。
電事法の改正につきましては我々の所掌でございませんので、お答えは差し控えさせていただきますけれども、原子炉等規制法につきましては、十月中旬頃から、高経年化した発電用原子炉に関する安全規制の見直しが法制的に成立し得るかどうかにつきまして内閣法制局に相談を始めてございました。
高経年化した発電用原子炉に関する安全規制についての規制委員会における議論と並行いたしまして、その議論の内容が法制的に成立し得るかどうかについて内閣法制局に相談をすることは、事務方としては当然のことだと考えてございます。
○近藤(昭)委員
さて、時間が限られてきましたので、そもそも論ということで、山中委員長にお聞きをしたいと思うんです。 私も、原子力規制委員会設置法の制定のときには環境委員会の委員でありました、これに携わりました。当時は、平たく言うと、規制のとりこになっていた、十分な規制が行われていなかった、だから推進する経済産業省エネ庁と規制するところを分けるということだったんですね。
ただ、そういう中で、山中委員長の最近の発言を聞いていると、運転期間については運用者が決めることだ、それを自分たちはチェックする、そのチェックの仕組みをつくればいいんだというようなことをおっしゃっていますけれども、当時の立法趣旨というのは、規制のとりこになっていて、そうした中で十分な規制ができなかった、だから独立委員会、三条委員会ですよ。三条委員会の委員長は天皇陛下の認証じゃないですか。天皇陛下の認証の委員会はどれだけあるんですか。
しかし、委員長の発言は、運用期間は決めることだ、それについてチェックする仕組みだけをつくるとかですね。そういう中で、十分に規制ができるのかと思わざるを得ないようなことがある。ましてや、事務方が打合せをしていたということは委員長も認めておられるわけです。そして、打合せは問題がないとおっしゃっているわけです。私は、原子力規制委員会というのは独立をしていて、規制庁というのは事務方ですよ。しかし、その事務方が想定をして、そうしたブレーンストーミングみたいなことをすることは何も問題はないとおっしゃっています。問題があると思いますよ。
規制委員長の下でそうした事務方が動くんじゃないですか。頭の訓練、では何をやってもいいんですか。そのことを受け止めて委員長はやるんですか。私は、委員長のお考えを改めて聞きたいと思います。
○山中政府参考人
お答えいたします。
先ほど部長から答えましたように、一般論として、事務方として、あらゆる事態を想定して頭の体操あるいは準備していくこと、これは通常よくあることであると認識しております。
また、人事異動につきましても、あらゆる職員について規制委員長が判断するのではなく、現実的に規制庁内で適材適所で配置することも適当であると考えております。
その上で、現行の運転期間延長認可制度は原子力規制委員会が所管する原子炉等規制法に規定されておりますので、事務方として準備、検討していたのだと承知しております。
いずれにいたしましても、規制制度の変更を伴う判断が必要な場合には、これまでと同様に、公開の原子力規制委員会の場において五人の委員で議論して決定してまいりますので、ガバナンス上問題があったというふうには考えておりません。
○近藤(昭)委員
委員長も今指摘されましたように、運転期間の変更をするためのブレーンストーミングだ、準備だみたいなことをおっしゃるわけですが。しかし、内部文書でも指摘されているところでありますけれども、何のための併任か、今も委員長がおっしゃったみたいに、運転延長、変更をするための、ブレーンストーミングかもしれませんけれども、そういうことをやっていた、こう御自身も認めていらっしゃるわけです。
でも、そのほかに、今度、いわゆる四十年規制等を書いてきた炉規法、これを電気事業法へ移管する、そして束ね法案で通常国会で提出する、こんなことも言われているわけであります。大問題だと思いますよ。三条委員会、独立性が高い、そこの下で管理してきた炉規法、規制庁で。それを今度は、電気事業法、つまり経済産業省の所管のところですよね、そこに移す、こう考えておられるんですか。それは内部文書で指摘されているところですが、委員長、いかがでありましょう。
○山中政府参考人
お答えいたします。
令和二年七月二十九日の原子力規制委員会において、関連いたします運転延長認可制度、これに関する規定、原子炉等規制法におけます第四十三条に関係する条文の中には、運転期間に関する定めと高経年化した原子力発電所の安全規制に関する定め、この二つがセットになっております。
先ほどお話しいたしました、令和二年七月二十九日に、二年前の委員会において既に、運転期間については、原子力規制委員会が意見を述べる事柄ではないというふうな結論を委員会で決定しております。
したがいまして、運転期間については利用政策側が検討していただくもの、私どもとしては、高経年化した原子力発電所の安全規制が継続的に行われるための検討をこれまで行ってきた次第でございます。
○近藤(昭)委員
質問時間が終了しておりますけれども、二年前にそうやって決まった、だからそのことは、今度炉規法を改正して電気事業法に移しても構わないんだよみたいなことをおっしゃるということは、私は、規制委員長として、とても容認できませんね。あの法律を作ったときの立法趣旨は何だったのか。
そして、三条委員会ですよ。改めて指摘しますけれども、三条委員会で天皇陛下の認証の委員長は大臣以外にほとんどいないんですよ。そうやって決まったんだと。事前に打合せもしていた、エネ庁と。併任も、いろいろな想定をすることだから構わないよなと。一体、原子力規制委員会、委員長の独立性って何なのか。
私は、大いに問題だと指摘して、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。