189号/2024年9・10号

計2900回を突破した街頭活動(9/8現在2919回)

岸田総理は総裁選不出馬を表明し、自民党は総裁選で裏金問題等を終わったことにするかの対応をとっています。一方、ほぼ同時期に行われる立憲民主党代表選挙も 9 月 7 日に告示され、23 日に投開票が行われます。今後の抱負などを近藤昭一議員に語ってもらいました。

拝啓 いつも会報を読んでいただきありがとうございます。8 月末、日本列島を襲った台風 10 号は、九州を中心に大雨を降らせただけではなく、台風から離れた関東や東海地方などにも記録的な豪雨を、さらに熱帯低気圧に変わった後も、大雨の危険をもたらしました。
台風の影響で東海道新幹線の一部区間では 3 日間運休し、このため、私もこの間は東京から名古屋に戻ることができませんでした。今回の台風は日本へ近づくにつれ進路が大きく変わり、いつまでも進路が定まらないうえに、スピードも遅くなるなど、これまでの「台風」とは異なる動きを見せました。この進路のズレ等に、温暖化の影響があると指摘されています。
英インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームは 8 月 30 日、人為的な気候変動によって最大風速が 7.5％増加した可能性があり、台風 10 号のような強い暴風を伴った台風の発生頻度も 3 割近く高まっているとの分析結果を発表しました。チームは、コンピューターシミュレーションで、最大風速の予測にも関わる「潜在強度」という指標を分析し、気候変動がない場合には同規模の台風の発生頻度は 10 年に 4.5 回だが、気候変動によって 5.7 回に増える可能性があることも指摘しています。なんでも温暖化に原因を求めるものではありませんが、温暖化という気候帯のズレが、台風の迷走に影響を与えている可能性が高いのです。気候変動への更なる対応が求められますが、現在の政府の対応は十分でなく、私は環境委員会等において何度も改善を求めてきました。しかし、政権を担う自民党は、化石燃料からの脱却を明言せず、裏金作りに奔走し、先の通常国会で成立させた改正政治資金規制法も抜け穴だらけでした。
９月末、わが党も自民党も代表(総裁)を選ぶ選挙を迎えます。政権交代の起こりやすい小選挙区選挙においては、政党の代表は総理候補であるわけで、極めて重要な意味を持ちます。私は、仲間とともに、立憲民主党を創設し、この間も政策をブラッシュアップしてきた枝野幸男さんを推すことを決めました。投票日は自民党総裁選挙の 4 日前の 9 月 23 日となります。これまでに比べ長い期間になりますが、全国 11 箇所で討論会などを行い、活発な議論を展開し、立憲民主党が政権を担いうる政党であることをしっかりとお示ししていきたいと思います。ご注目をお願いします。

2024年9月9日

枝野幸男さんが発表した8つの政策を紹介します。
■徹底的に「人」に着目して「人」を支え、すべての「人」の能力を最大限に引き出す経済をつくる。誰もが存分に力を発揮することができ、ゆとりある暮らしを営み、人生における選択の自由がある。そんな社会であってこそ、全体が発展できる。知識集約型産業が基軸となる経済システムが前提となったいま、人間の多様で多面的な能力の開発・育成が、持続可能な成長のための必須条件だ。あわせて、社会保障・生活保障や社会制度、コミュニティのつながりを丹念に強化する「安心の立て直し」が、力強い経済の基盤である。
1 人の可能性を拓く投資
2 地域経済を生かす投資
3 国民所得の底上げ
4 支え合う社会制度の拡充
5 個人の選択肢の拡大
6 現実的な外交・安全保障
7 災害・危機に機能する政府
8 民主主義のアップデート

立憲民主党環境部門の責任者(ネクスト環境大臣)を務めていますが、現在、｢水俣病問題｣｢PFAS(有機フッ素化合物)問題｣に取り組んでいます。私にとって政治家の役割は｢命を守ること｣です。国を戦争に巻き込まないこと、社会に絶望して命を絶たせないこと、環境破壊や汚染、被爆で命をおとさせないことです。
以前、米軍基地から流出したPFASによる河川汚染の問題で、沖縄県を訪問しました。今では米軍基地だけではなく（愛知県では自衛隊基地のある豊山町での汚染問題）全国的に広がっています。
7月3日に、立憲民主党として東京都・多摩地域を視察しました。ここで水道水源の井戸が発がん性の疑われるPFASで汚染されるという問題が発生し、住民の皆さんのお話を聞かせていただきました。国会閉会後、これまでに7回の環境部門会議を開き、政府ヒアリング中心に、国会図書館から国際情勢報告や、問題(PFAS)に取り組んでいるジャーナリストから話を聞き意見交換するなど行っています。
■「PFAS問題」は幅広く複雑であり、我々は責任をもって総括的に担当する部局を決めるよう政府に要求していますが、厚労省、農水省、経産省、国交省、環境省、消費者庁、消防庁の各部署がそれぞれの所管を担当し、米軍基地の関係については、外務省と防衛省の関係部署が担当すると政府は説明するだけです。
現在の日本では、PFAS(有機フッ素化合物の総称)の中のPFOS、PFOA、PFHxSの3物質のみが規制され、その使用は禁止になったものの、水質管理目標という暫定基準であるため、その後の管理が弱いのが現状です。3物質以外のPFASを含め予防原則で幅広く厳しく規制している欧州連合に倣うべきと考えます。また、水道等の検査を自治体に任せきりにしていますが、汚染が懸念される地域の住民には不安が広まっており、血液検査を国が前面に出て実施し、エコチル調査（子どもの健康と環境に関する全国調査）のデータを活用すべきと求めています。
なお、この間のやり取りで、「発がん性が指摘されているのだから、早く厳しく規制すべきだ」という我々の意見に対して、「発がん性のレベルでいえば、加工肉のソーセージの方が発がん性が高い」というとんでもない発言が政府側からありました。

政府の後手後手の対応の背景にあるのが、こうした認識だと思います。また、 禁止されていないPFASについては、基準がないため、チェックする手続きはないという愕然たる状況で、今後増えてくるのではないかと思われる、半導体工場で使用されるPFOS・PFOA・PFHxSの代替物質についての注意が必要だと思います。EUが製造や使用を全面禁止にする規制案を発表した際に、日本の経産省や経団連がまさかの「反対」を表明し、EUが実施したパブリックコメントにおいて、日本の経産省や経団連、業界団体などが「合理的でない」として反対意見を提出し、全体の17％が日本からのものだったと指摘されています。日本の対応には大きな問題があります。政府はきちんとした「疫学調査」を実施し(これの実施に後ろ向きなのは水俣病に似ていると言わざるを得ません)、厳しい対応をすべきです。
水俣病における有機水銀だけでなく、アスベスト(石綿)等の有害物質の規制を常に経済優先で遅らせてきた政府の対応に大きな危機感を持っています。

7月25日、ジョニー・デップが主演・監督して話題となった映画「MINAMATA」－ミナマタ－の上映会を行いました。「水俣病」はまだ終わっていないのであり、真の解決に取り組まなければなりません。
「有機水銀(水俣病)」後も、「アスベスト」で規制を怠ったために、その被害を拡大させたこと、更には、「PFAS問題」でも、同じ過ちを繰り返す危険性があることを多くの皆さんに知っていただきたいとの思いでした。
映画上映後、水俣病の解決に向けて先の通常国会で立憲民主党が提出した法案の説明も行わせていただきました。

｢沖縄等米軍基地問題議員懇談会｣という野党議員による議員勉強会の会長を務めています。日米地位協定のもとで不公正な状況を強いられ、米軍の軍人・軍属による犯罪が止まず、日本にある米軍基地が他国からの攻撃対象になるという危険性にさらされる状況は問題です。
今回は、7月20日夜に那覇に入り、10名ほどの議員（参加の出入りはありました）で、与那国、石垣、辺野古の自衛隊基地および建設中の米軍基地を訪問し、現地の住民や自治体議員の皆さんと意見交換を行い、23日には沖縄防衛局を訪問しました。
自民党政権は、いたずらに台湾有事を取り上げ、かえって国際情勢の緊張を増加させているだけではなく、地元にきちんと説明せず、南西の島々にミサイル等を配備し軍事要塞化を進めています。視察地での様子を報告します。
【石垣島自衛隊駐屯地】数年前、計画段階で視察した場所ですが、完全に整備され、いまは住民の不安をよそに（米軍と共同）訓練場整備などの拡張を図っています。基地の責任者からは①長距離ミサイル配備予定については、検討中で答えられない。②弾薬庫と住宅地との距離は、火薬類取締法に則って対応している(しかし、民間人も使う火薬を規制する法律とミサイル弾頭を一緒になどできません)。等の説明でした。
【与那国駐屯地】基地を推進する町長とも面談しました。住民の皆さんは、日本最西端の島で、沖縄本島よりも台湾の方が近い中で、緊張を増すことになるミサイル配備に大きな懸念を訴えられました。
【辺野古・大浦湾視察】台風接近のために、海上に出られず。海岸及び高台から視察。最初の計画から28年経ち、普天間の担ってきた機能の多くが、グアムや岩国に移転している上に、当初予算を何倍にも超える工事で、更にこれまで経験のない深さと軟弱な地盤を埋め立てることが出来るのか、造る意味があるのかと疑念が強まっています。

【沖縄県庁】少女暴行事件については、本年5月に外務省から遅れて情報提供を受けた。県警からは事件直後にはなかった（こうした状況は数年前から）。
■日本は、あの戦争への反省から日本国憲法を制定し、専守防衛の｢平和主義｣を宣言しました。そして、戦後一度も他国と戦火を交えることなく、多くの国の信頼を得ています。最近の状況を見ていても、戦争は一度始めると止まりません。そして、多くの人々、とりわけ弱い立場の子どもや女性の犠牲を生みます。平和国家日本のために頑張ります。