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第210回国会 衆議院 環境委員会 第2号 令和4年10月28日

○近藤(昭)委員
 立憲民主党の近藤昭一でございます。
 今日は、質問の時間をいただきましたこと、感謝申し上げたいと思います。
 また、改めて、西村環境大臣、就任おめでとうございます。
 また、今日、私、質問に立たせていただくわけでありますが、私ども立憲民主党も九月の十三日に次の内閣を、我々はこうした社会を目指していくんだ、こうしたことを明確に訴えていく、こういうことで次の内閣というものをつくりまして、私も環境を担当させていただくことになりましたので、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。
 さて、先般、西村大臣の所信に関しての御挨拶をいただいたところであります。時間が限られておりますので、少し具体的に質問させていただきながら、そうした中で私の、また私どもの考え方というのもお話をさせていただきたいと思います。
 まず、福島の復興の問題であります。
 大臣も御挨拶の冒頭で、東日本大震災そしてまた原発事故からの復興再生の推進についてということで冒頭に挙げておられる、そして、大臣も復興担当副大臣も歴任をされて、この問題に非常に熱心に取り組んでおられるんだと思います。
 私も、民主党政権でありましたときに、東日本大震災が発災いたしましたときに環境の副大臣を務めさせていただいておりました。大きな震災があり、そしてまたそれが多くの被害をもたらし、そしてそれが今なお大きな影響を与えている。そして、その大きな影響を与えている中には自然災害の中で起こった原発の事故の問題があるんだと思うんです。それが大きな影響を与えている一つの大きな要素としてあるんだというふうに思っています。
 具体的なことをと言いましたが、ちょっとその前に申し上げますと、私もこの環境委員会で何回も質問もさせていただいている中で、福島からの避難者の皆さんのことを申し上げています。福島からの避難者、県が発表している数でしょうかね、直近でいうと三万人を切ったということであります。確かに、数としては減ったということであります。
 ただ、私が委員会で指摘させていただいたのは、確かに避難場所からは戻った、しかし残念ながら、生まれ育った、元々住んでいたそこに戻れたわけではない、こういう方が多い、こういうことであります。確かに避難者としては数えてはいないかもしれない、でも、御本人からすると、なぜ元々生まれ育ったところに、長く暮らしてきたところに戻れないのかと。そして、残念ながらそれは放射線の影響があるわけであります。
 また、こうした数、関連死、関連の事由で亡くなられた方が、三月の七日の時点で二千三百三十一人、関連で亡くなられたということであります。そして、自殺をされた方が、大変悲しいことでありますが、今年の一月末現在で百十九人ということであります。そして、残念ながらこれは福島に多いわけであります、他県に比べて。
 それは、一部の分析では、やはり放射線の問題があって、大臣も御承知のとおり、家族が分断をされてしまう。高齢の方は、こういう言い方をするとあれですが、やはり高齢の方は早く戻りたいということがある、しかし、若い方は、若い夫婦、子供がいるというような家庭は放射線が低くなってもやはり戻りたくない、こういうことがある、家族が分断をされてしまう。こういうような精神的に大きな負担があるところがあって、残念ながら福島では自死をされる方が多いという分析もされているわけであります。
 ということで、私は本当に、自然災害でありましたが、その中で起きた福島原発の事故というものが本当に大きな要素、そして、そういう中ですから、私は、やはり原発というのは一刻も早くゼロにしていかなくてはいけない、こういう考えでおるわけであります。
 そして、今そうした、全ての災害において精神的な苦痛というか精神的な負担があるわけでありますが、今申し上げたように、特に原発事故の放射線に係るときには非常にそうした関係が多い。先ほど申し上げたこと等々の理由があるわけでありますが、そういう中で、大臣も地元の皆さんの声を多く聞かれておる、御挨拶の中にもこういう話があったわけでありますが、私も現地の皆さんからいろいろなお声を聞かせていただいているところであります。そういうことであります。  そういうことで、今年の四月以降、帰還困難区域の一部、特定復興再生拠点区域が解除されております。自宅帰還の要望は憲法で保障される居住の自由に関わることであり、同区域外の原発事故避難者についても早期に実現されるべきであるということ。もちろん、放射線の問題がありますから安易に申し上げるわけではありませんが、御本人の気持ちはやはり大切にしなくてはならない、そしてそれは憲法にも関わっているということであります。
 二〇二〇年代をかけて帰還意向のある住民が帰還できるよう避難指示解除の取組を進めていくとする政府の方針であります。これに従えば、この先、つまり二〇二〇年代ということでありますから、七年、八年避難生活を余儀なくされることになるわけであります。被災、避難者の多くが高齢化していることを重く考えて、行政の都合だけで解除の手順、方法を決めるのではなく、より早期の解除に向けてより確実な除染をしていくということでありますが、解除に向け万全の手を尽くすべきだと考えるわけであります。
 それで、上記解除に当たって解除の根拠とした放射能汚染線量の測定はどのように行われたのか、また、解除されないまま取り残されることになった特定復興再生拠点区域外の地域、特に解除区域に隣接する地域はどのような線量測定計画に基づき解除しないことになったのか、お聞きをしたいと思います。

○湯本政府参考人
 お答え申し上げます。
 特定復興再生拠点区域につきましては、平成二十八年八月三十一日に原子力災害対策本部復興推進会議が決定いたしました帰還困難区域の取扱いに関する考え方に基づきまして、帰還困難区域のうち、五年を目途に、線量の低下状況も踏まえまして避難指示を解除し、居住を可能とすることを目指す復興拠点として各市町村の実情に応じて適切な範囲で設定するとされたものでございます。  具体的には、政府による航空機モニタリングの線量調査の結果を踏まえまして、放射線量が除染等によりおおむね五年以内に避難指示解除の要件であります年間二十ミリシーベルト以下に低減する見込みが確実であることという要件に加えまして、生活インフラの整備等が効率的に実施されることなど、福島復興再生特別措置法に定められました複数の要件を踏まえて、各市町村が計画を作成し、国が認定しているものでございます。
 本年、葛尾村、大熊町、双葉町の特定復興再生拠点区域の避難指示を解除したところでありまして、今後、残る浪江町、富岡町、飯舘村の特定復興再生拠点区域についても、来年春の解除を目指して取組を進めてまいります。

○近藤(昭)委員
 そうした手続の中で解除を進めていただいているというわけでありますけれども、きちっとした除染、そして線量の測定の下、早急に施策を進めていただきたいわけであります。  さて、原発事故から十年余りを経て大きく変化しているわけであると思います。それぞれの避難指示地域、帰還困難区域があるわけでありますが、それぞれの実情がやはり違うと思います。もちろん、手続的なこと、仕事のこともあるわけでありますが、それはやはり地元の住民の皆さんの声をしっかりと受け止めながらやっていただきたい、それぞれの状況に応じて対策を立てていただきたいと思うんです。
 大熊町や富岡町の帰還困難区域に住居を残す被災、避難者の中には、残念ながら、先ほど申し上げましたように、長い期間がたっている中でそれぞれのお考え方、それぞれの事情があって、住民の方によってはもう帰還を諦める、こういう方もいらっしゃるわけであります。そういう中で周辺住民が帰還を諦め住居を解体した、そうした結果、孤立状態となっているようなおうちがあるわけであります。
 避難指示も避難指示解除も区域を対象にしておるわけであります。そうすると、そういう中で孤立状態となっている被災、避難者に対しては個々の住宅を対象に考えていただかないと、区域で考えていると、もちろん、その方が戻っても区域の中に住まれるわけではありますけれども、個々の住宅を対象に解除を考えるべきではないかと私は思うわけであります。  帰還を希望する被災、避難者の中には、自宅の線量が既に避難を必要としないまでに減衰していることを自ら線量測定で確認した上で、除染をしないで、まあ除染をする必要がないということでありますけれども、避難指示が解除されることを主張する、訴える方もいらっしゃるわけであります。私は、線量が十分に下がっていれば、もちろんこれは確認が必要でありますけれども、そうした除染の必要はないと思っています。
 実は、これはそれぞれの事情があるわけでありますが、私がお聞きをした方のお話では、解除に先立つ除染で庭、畑の土を剥ぎ取られたり立ち木が切り倒されたりすることによって住環境の破壊を強く懸念するということがあるわけであります。本人が希望するならば、また、除染といいましょうか線量の確認をして、それが下がっているということであれば、そうした作業をなくして避難解除というものも考慮されるべきではないかと私は思うわけであります。
 居住者を退去させている帰還困難区域の現状や退去させられた被災、避難者の生活実態など、冒頭も申し上げました居住の自由が奪われている現地の実情を政府は十分に把握していただきたいと思います。そして、少なくとも、個々の帰還希望者の要望に応じて当該住宅の線量測定を早急に行うべきではないか。地域ではなくて、その当該住宅ということでありますが、いかがでありましょうか。

○湯本政府参考人
 お答え申し上げます。
 東京電力福島第一原子力発電所の事故から十一年以上が経過する中で、特定復興再生拠点区域外につきましては、早く自宅に帰りたいという住民の皆様の切実な思いに応えるべく、二〇二〇年代をかけまして、帰還意向のある住民の方々が全員帰還できるよう、帰還に必要な箇所を除染し、避難指示解除の取組を進める方針を昨年夏に決定したところでございます。
 これまで、地元の議会あるいは住民の方々に対しましてこの方針の説明を重ねてまいりました。並行して、この夏から、一部の自治体でありますけれども、帰還意向の確認も開始しているところでございます。
 今後、この方針を踏まえまして対応してまいりますけれども、帰還の御意向をお持ちの住民の方々の御自宅を含みます必要な箇所について安全、安心に万全を期するよう、地元の自治体と十分に協議しながら除染を実施することにより、早期の避難指示解除に向けて取り組んでまいりたいと思っております。

○近藤(昭)委員
 ありがとうございますというか、そうしたことに取り組むというのは既定のことだと私は思っておりまして、そういう中で、今私が申し上げたのは、それぞれの個別の状況に応じた配慮をいただきたい、こういうことなんです。
 そして、どうでしょうかね、そうした地元の自治体との相談の中でそうした個々の状況に応じて御対応していただく、こういうようなことは可能なんでしょうか。

○湯本政府参考人
 お答え申し上げます。
 避難指示解除を進めるに当たりましては、帰還される住民の生活環境における放射線量、これを着実に軽減させまして、安全、安心に万全を期すること、これが大事だというふうに思っております。
 このため、御指摘がありましたように、個々の皆様の御事情、これもしっかりと丁寧にお伺いするということも大事ですし、あわせて、地元の自治体との協議も通じまして帰還意向を踏まえた避難指示解除の取組を進めていきたいと思っています。

○近藤(昭)委員
 それぞれの個々の事情を是非受け止めていただきたいと思いますし、もう一つちょっとお聞きしたいんですが、そういう過程の中で、先ほど申し上げました、あれから時間がたつ中でそれぞれの皆さんが高齢化をしていくわけであります。そして、長いこと地元に戻れない、生まれ育ったところに戻れない、こういうことがある中で、本格的な今までの形の中での解除ということではなくて、いわゆる帰還ということではなくて、例えば、そうしたそれぞれの個別の事情に応じてなるべく制限なく、特に高齢の方からはそういう要望が多いと思いますけれども、制限のない立入りとか、少しその前段階のある種の配慮といいましょうか、そういうものはどうでしょうか。

○湯本政府参考人
 お答え申し上げます。
 御指摘のありました一時立入りに関しましては、これまでも様々な御要望を住民の方からもいただいているところでございまして、そういった声を踏まえまして、一時立入り、どうしても安全確保の観点から必要な部分はあるんですけれども、部分的に可能な範囲で条件の緩和、例えば、一時立入りの回数制限といったものもございましたけれども、こういったものも個々の事情に応じて緩和する形で今運用を進めているところでございますので、引き続きこういった運用の柔軟化といったことにも声に傾けながら進めていきたいと思っております。

○近藤(昭)委員
 是非お願いしたいと思います。  それで、西村大臣、西村大臣も福島など被災地に足を運ばれておられると思うんですが、今私が申し上げたような個別の声というのは随分聞かれておられるのではないでしょうか。いかがでありましょうか。

○西村(明)国務大臣
 私の選挙区もまさに福島に隣接したところでございますし、あの東日本大震災発災の日、私も津波が襲った仙台空港のところでまさに九死に一生を得た状況の中で、本当に被災された皆様の気持ちそしてまた状況というのは様々聞いております。ただ、そうした中で、生活の再建そしてまた将来への歩み、これをしっかりと支えていくというのが国としての責務だろうというふうに考えております。
 特に、帰還の話もございましたけれども、そうした中で、戻られた皆様の安全、そうしたものを踏まえながらしっかりと検討してまいりたいというふうに考えております。

○近藤(昭)委員
 そうした体験をされて、かつ副大臣として、また政治家として取り組んでおられる大臣でありますから、是非それぞれの皆さんの個別の声に寄り添っていただきたいと思います。
 さて、持続可能な社会という観点でちょっと質問させていただきたいと思います。
 私が申し上げるまでもなく、大変に気候変動危機という言葉が使われているわけであります。
 今年も異常な気象だったと思います。台風十四号、沖縄地方以外では初の、初だと言ってあります、この異常な気象の中で初というのが多いわけでありますが、初の暴風、波浪、高潮特別警報が出されたということであります。そして、台風十五号では、静岡県で十二時間で四百ミリ以上の降雨、残念ながら三名の方が犠牲になられました。そして、その復旧は進んでいますが、まだ完全には復旧していないということであります。
 実は、この日私も、東京から名古屋、私、地元は名古屋でありますが、新幹線に乗っておりましたときにこの大雨に遭遇しました。急に大雨が降ってきて新幹線が止まって、私が乗った列車はまだ一時間半ほど遅れただけでありましたが、御承知のとおり、その後の新幹線はもっと遅れた、こういうような状況があって大変な雨だった。私も、列車の中からかいま見たといいましょうか、経験をしたわけであります。
 そして、六月下旬は記録的な高温であり、最高気温を更新したということであります。同時期一週間の熱中症による救急搬送は前年の十倍だったと聞いております。
 こうした大変な気候変動危機の状況にあるわけでありますが、こうした中できちっとした持続可能な社会をつくっていくために、我が国はしっかりとした気候変動対策を行っていかなくてはならないわけであります。
 そういう中で、環境省が行っている電力レビューのことであります。
 環境省は、電気事業分野は我が国全体のCO2排出量の約四割を占める最大の排出源であり、他部門の排出削減努力にも大きく影響を及ぼすことから、電気事業分野の地球温暖化対策は温室効果ガス排出の大幅削減のための最も重要な対策の一つとして、二〇一六年から二〇一九年まで、電気事業分野における地球温暖化対策の進捗状況の評価、いわゆる電力レビューを行っておりますが、二〇二〇年からこれは実施されていないわけであります。
 今年三月の電力広域的運営推進機関、OCCTOの二〇三一年までの供給計画取りまとめによれば、とりわけ排出係数が最も高い石炭火力分野において二〇三一年までの廃止計画が僅かに二基にとどまっている。電力事業者がどのように温暖化対策の目標を達成できるのかチェックすることが、これまで以上に必要だと思うんですね。
 なぜ環境省は電力レビューをやめてしまっているのか、お伺いしたいと思います。

○西村(明)国務大臣
 環境省としましては、気候変動対策、これを所管する立場でございます。そうした立場からも、電力部門の取組状況を厳しく注視する、この姿勢に変わりはございません。また、委員御指摘のように、チェックをしっかりやっていくということも当然必要でございます。
 そうした中で、現在、電力部門の脱炭素化の取組の評価、検証といったものが、地球温暖化対策計画のフォローアップの一環といたしまして、経済産業省に設置された産業構造審議会において行われております。環境省も当然、その議論の場に参加しておりまして、政府全体としての取組の中で電力部門の脱炭素化にしっかりと貢献してまいりたいというふうに考えております。

○近藤(昭)委員
 大臣、私が是非お聞きしたいといいましょうか、私も環境副大臣として仕事をさせていただいたことがあります。私も、政治の世界へ入って環境分野に関心を持ち、そして、短い時間でありましたが、かつて民主党政権を、政権に就くことができた、そしてそういう中で環境副大臣という仕事もさせていただいた、本当に環境行政というものをしっかりやりたい、やらなければならない、こういう思いなんです。そういう意味では今も、今もといいましょうか、環境省応援団といいましょうかね、環境省に頑張ってほしいということでありまして。
 そういう中で、この電力レビューというのは二〇一六年二月に、当時の丸川環境大臣と林経産大臣との合意の中で、これを協力というか連携してやっていこうと。そして、今大臣もおっしゃったように、これは気候変動危機の中でやはり環境省が、まあ合意して一緒にやっていくわけでありますが、私は、やはり環境省が大きなリードをしていくべきだ、こういうふうに思っております。非常に厳しい状況だと思うんですね。決して、経産省がやっているからいい、そこに関わっているからいいということではなくて、やはり環境省がもっと前に出て、しっかりと環境省のレビューで、環境省としての電力レビューをしっかりやるべきだと思います。
 特になぜそのことを申し上げるかというと、非常に厳しい状況の中で政府は、菅元総理も、菅政権の時代にも二〇五〇年カーボンニュートラルということを訴えられたわけであります。そして、私も環境委員会でも何回も質問をしている中で触れさせていただいているところのエネルギー基本計画があるわけであります。
 最新のエネルギー計画でいうと、二〇三〇年、石炭が一九%、LNG二〇%、再エネ等々の目標が書かれているわけであります。しかし、その目標で立てていってもパリ協定の目標を達成するのは難しいと言われている。それは大臣もよく御存じのことだと思います。
 そして、昨日でしたか、一昨日でしょうか、UNEPが発表した予測でも、このままいくとパリ協定の目標はとても達成をされない、もっと厳しい規制をしていくべきだ、こういう指摘もされたところじゃないですか。
 そうすると、今申し上げたエネルギー基本計画で石炭一九%ということを指摘させていただきましたが、OCCTO、いわゆる電力広域的運営推進機関が行っている二〇三一年までの供給計画取りまとめを見ていると、石炭が三二%ということになっています。LNGが三〇%、石油二%、原子力六%、再エネ二九%、こういうふうになっているわけでありますね。
 明らかに、とても目標が達成させられるところじゃない。政府が考えているエネルギー基本計画と比べてみても、今の状況は大変に厳しい状況だということであります。そういう中で、なぜきちっと環境省が電力レビューを行わないのかと思うわけであります。
 そして、こういう中で、私は、やはりきちっと環境省が先頭に立って、今申し上げたようにOCCTOで示されている供給計画は非常に残念な計画であるわけであります、そういう中で、石炭火力とかのパーセンテージでありますけれども、そういう中で排出量がどれくらい増える可能性があるのかとか、そういうことをきっちりと環境省がやるべきだと思うんですが、いかがでありましょうか。

○西村(明)国務大臣
 環境省がやってきた電力レビューの件でございますけれども、最後に電力レビューを公表したのは二〇二〇年七月、それ以降に、地球温暖化対策計画におきまして、非効率石炭火力のフェードアウトを進めるとともにアンモニアやCCUSといったものを活用した脱炭素型の火力に置き換えることがこの地球温暖化対策計画において明記されるということで、大きく政策自体が前進したというふうに承知しております。
 こうした状況の変化を踏まえた上で、電力レビューというような形で環境省が独自に評価を行うということではなくて政府全体として、経産省に任せているという意味ではなくて、政府全体として地球温暖化対策計画のフォローアップを行っていく中で電力部門の取組を評価していくというふうにしていきたいというふうに考えております。

○近藤(昭)委員
 政府全体でやるということでありますが、経産省が経済産業振興ということで、決して疑うというか否定するわけではないんですけれども、経済産業政策という中で経済産業省が活動している、そこに対してやはり環境省が環境を優先してということでしっかりとチェックをしていく必要があると思うんですね。やはりちょっとそれぞれの省の成り立ちが違うんだと思うんです。  そして、今大臣もおっしゃいましたけれども、水素、アンモニアの問題、あるいはCCSの問題。
 CCSの実用化は二〇二〇年と言ってきました。しかし、いまだに実用化されていない。そして、実験というんですかね、トライアルされている中での、CCSの実現、単価というのはいまだに高いわけであります。
 なぜそうした高いところに予算を傾注していくのか、再生可能エネルギーをこの間ももっとやってくるべきだった、この間、私も環境委員会でも指摘をさせていただいてきたところです。そうしたことをやらずして、やらずしてというのは、そういうところをきちっと進めていくということをやはり環境省が率先してやっていくことだと思うんです。そこは是非、もちろん様々な技術開発をしてそういう中で環境対策をしていくということを否定はしませんけれども、どうもこの間を見ていると、そこへの投資は大きいけれども決してその成果が上がっていない、効果が出ていない、こういうふうに指摘をさせていただきたいと思います。
 さて、時間も限られてまいりますので、あと二つほど質問させていただきたいのですが、一点、簡単に質問させていただきたいと思います。
 先ほど、災害が多くなってきた、こういう指摘をさせていただきました。残念ながら温暖化の影響です。そして、高齢化社会というものもあります。廃棄物行政ですから環境省の所管でありますが、実は自治体の現業職員数は一九九四年をピークに減少しているところであります。特に、清掃職員というものは非常に大きく減少しています。
 しかしながら、高齢化社会の中で、ごみを家庭に取りに行く、高齢者が出てこられない、家庭に一部入るようなところがある、そうするとプライバシーの問題がある、そうすると、民間委託ではなくてやはり公共事業として公共の職員の人がやるべきだ、こういう声があります。
 あるいは、自然災害で災害廃棄物が大量に出る、これを処理するに当たって、やはり残念ながら、特に自治体のそうした職員の人たちが減らされている中で、まあ行き過ぎたと思うんですが、行き過ぎた人員削減によってこうした現場が非常に即応できないということになっているということであります。
 そういう意味で、自治体現場において環境、廃棄物行政の業務執行に当たり、今申し上げた自然災害あるいは高齢化社会、こうした課題に確実に対応できるような体制の確保が必要だと思いますが、環境省としてどのようにお考えになるか、お答えをいただきたいと思います。

○西村(明)国務大臣
 委員御指摘のように、非常にごみの問題というのは重要な問題だというふうに考えております。
 私も学生の時代に、今から四十年以上前になりますが、その頃に、これからはごみが非常に大きな社会問題となっていくというような講義を受けたことがございました。また、あわせて、今御指摘のように災害時のごみの問題がございますので、そうした災害廃棄物処理への備えというものも重要だというふうに考えております。
 廃棄物処理法では、市町村は家庭などから排出される一般廃棄物の処理を統括する責任を有しておりまして、こうした適正処理のために、体制の確保を含めて市町村が適切に役割を果たすことが求められております。
 ただ、今御指摘のようにごみの問題というのは非常に重要でございますので、国としても、そうした一般廃棄物の適正処理も含めて災害廃棄物対策等々に市町村が適切に対処できるように、必要な技術的、財政的支援メニューをつくっておりますので、こうしたものを活用しながらサポートしてまいりたいというふうに考えています。

○近藤(昭)委員
 ありがとうございます。廃棄物の行政、地方自治でもあります。ただ、環境省が所管をしておられるので、今おっしゃったように、是非、しっかりとしたバックアップまた連携をお願いしたいと思います。
 さて、時間が限られてきましたので、予定した質問を少し短くしたいと思いますが、原子力規制委員長、お越しいただいていると思います。
 山中委員長は、九月二十八日の規制委員会の場で、経産省が検討を進める運転期間の見直しについて考えを聞くと異例の表明をされたと思います。翌週十月五日の規制委員会で経産省から説明を受け、運転期間の規定が抜け落ちることをその場で了承し、規制庁事務方に法改正に向けた対応の検討を指示した。
 記者会見では経産省から求められて意見を聞いたわけではないと弁解されておりますが、余りにも拙速な展開だと私は思っています。GX実行会議での総理の指示を受け、通常国会への法案提出に向け規制庁とエネ庁の事務方でシナリオがつくられていたのではないか、こう思わざるを得ないわけであります。
 そして、ちょっと限られておりますので、もう一つ聞かせていただきます。
 ただ、そういう中で、今後の規制庁とエネ庁との相談について山中委員長は記者会見で、必ず公開の場でやると発言もされています。規制庁の総務課長が、委員長がおっしゃったのは委員とエネ庁の意見交換を必ず公開するとおっしゃったのであって、事務方同士のやり取りを全て公開されるとおっしゃったのではないと口を入れられました。山中委員長は、公開が原則と強調されました。
 規制庁とエネ庁が相談を始めてから今日に至るまでの経緯と今後のやり取りを全て公開すると、是非約束をしていただきたいと思います。

○山中政府特別補佐人
 お答えいたします。
 原子力規制委員会としては、令和二年七月二十九日、約二年前でございますが、運転期間の定めについては、原子力利用の在り方に関する政策判断であり、原子力規制委員会が意見を述べる事柄ではないと見解を決定しております。
 一方、資源エネルギー庁の審議会で利用政策の観点から運転期間の在り方についての審議が開始されたこと、これについては報道等で私も承知しておりました。
 運転期間の延長に関しましては、原子炉等規制法において、運転期間の定めと高経年化した原子炉に対する安全性の確認の規制の定め、これがセットで規定されております。
 原子力規制委員会が担っている高経年化した原子炉に対する安全性を確認するための規制について、資源エネルギー庁の検討結果によっては原子炉等規制法の条文に影響が出てくると考え、原子力規制委員会の公開の場で資源エネルギー庁から審議会での検討状況を聴取するものとしたものでございます。
 したがいまして、委員御指摘の、原子力規制庁と資源エネルギー庁との間でシナリオがつくられたというものではございません。
 スケジュールの確認あるいは事実確認のために事務方同士が打合せを行うこともあると考えております。事務方同士の打合せについては、議事概要、使用した資料を原子力規制委員会のホームページで全て公開するように指示しております。
 なお、規制制度の変更に伴う判断が必要になった場合には、公開の原子力規制委員会の場において五人の委員でしっかりと議論、検討していくことには変わりはございません。

○近藤(昭)委員
 質疑時間が終わっておりますので、最後、簡単に要望だけ。
 冒頭申し上げましたように、東日本大震災、やはり原発事故の影響が非常に大きい、今もなお続いているということであります。そういう中できちっとした規制をしていかなくちゃいけない、原子力規制委員会は今きちっと公開の場でやっていただかなくてはならない。
 また、四十年規制の問題は、私は是非、パブリックコメントをするとか、もう時間がありませんけれども、科学的な一定の根拠を持った、あるいは予防原則というのもある、あるいは政治の意思というのもある、そういう中で立法、四十年原則というのが入った、このことを是非また指摘させていただきたいと思います。
 ありがとうございました。

近藤昭一 東京事務所
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